FC2ブログ

反撃

前回の少し直して頂きました。再掲載と付け足しております。


守助くんがその後一路くんとどうなったか、僕は正直詳しく分かりません。ただ一部の五年生の間でも反守助勢力みたいな動きが強まっていると風の噂で耳にしました。とは言え、あの有名な悪ガキの守助くんが簡単にやられる訳がないと僕は思っていましたし、何かのタイミングでまた守助くんが信頼を取り戻した瞬間、今度こそ一路くんたちは大勢の前でボコボコにされるのではないかと僕は思っていました。
芳彦くんは守助くんがいない時は、何にしても彼の悪口を言いたくて堪らないようでしたし、身体測定のあの事件のことは何度話しても飽き足らないようでした。逆に僕は守助くんが家にいない時も彼の存在に怯えていた為、芳彦くんのそんな会話にも常に神経を尖らせていたかと思います。
それは例の事件から数週間後の出来事だったかと思います。
榊原さんたち父の酒飲み仲間は、六時過ぎに家に集まると皆で我が家に集まります。僕の家は貧乏の割に広かったので居心地がよかったかもしれません。
「アホ信二。何度同じ間違いすんだよ」
富田くんはノートを丸めて僕の頭をポカリと叩きます。僕は芳彦くんと一緒にちゃぶ台に教科書を広げて、富田くんに宿題を教えてもらっていました。
富田くんは僕と芳彦くんが間違えるたびにノートで頭を楽しそうに叩きます。父はいつものように仲間内と演歌中。こちらとしては迷惑極まりないですが、大人は子供のことなんて気にしないのです。暫くすると榊原さんが焼酎の瓶を抱えて持ってきておじさん仲間を沸かせました。
榊原さんは僕たちにスナック菓子を持ってきてくれて、それを机の上に広げました。
「宿題がんばっとんな。たまには休憩せなあかんぞ」
僕と芳彦くんは飛び跳ねて喜びます。
「まだ終わってからだろ〜」と富田くんもため息を着きますが、一緒に広げたスナック菓子を貪り始めます。
「ほんでなんだ。ピギーちゃんはどうした」
榊原さんは守助くんにあだ名を付ける名人です。最近ハマってるピギーちゃんと言うのは『豚の子供』と言う意味らしく何気に僕と芳彦くんのお気に入りのワードです。
「相変わらずギンさんは守助くん好きやなぁ」
他のおじさんたちが笑いながらそう言って、庭の横にある納屋を指差します。守助くんが悪さをすると大抵そこに閉じ込められるので、最近では守助小屋。守助くんが居ない時は、子供同士の間で密かに豚小屋と揶揄されていたりします。
「なんだ?また悪さしたんかい?」
「悪さしねぇ日なんてねーけどな」
「そういや今日なんだっけなあ」
「モリちゃんのこったから、道端で野糞でもしたんじゃねーのか?」
「坂上さんとこに爆竹でも投げ込んだんじゃないか?」
「そりゃいい!あのクソ頑固親父のズラを吹き飛ばしてくれんなら、俺は息子に一票入れるぜ!ほら、飯食わしてやれよ母ちゃん!」
父親がカッカッカッと顔を赤くしながら唾を飛ばして下品に笑います。
「あんた、それやめとくれよ。坂上さんただでさえこう言う噂に敏感なんだから。あんたまでそう言うこと言ったらアタシ外歩けないんだからね」
母親はぷりぷり怒りながら、水道を止めてエプロンで手を拭って、榊原さんにおつまみを出します。
「今日お昼帰ってきて久しぶりに寝ようとしたらアレ。仕事ばっかり増やすんだから」
母はベランダに干してある布団に目を向けました。この時間は通常は布団は干されてはないけれど、守助くんが変な時間におねしょをしたせいでまだ乾いていません。その黄色の地図を目にして父親たちは「そうだ、あれだあれ」と同時に首を縦に振ります。
「なんだ?モリモリちゃんはまだ寝小便垂れ治っとらんのか?」
「へ?ギンさん知らんかったか?三日に一回はやらかしてるらしいぞ」
「今日は朝とお昼だから二回だよ」
芳彦くんがすました顔で言ったのでおじさんたちはどっと笑い声をあげました。
「守助くんやっぱオムツ必要なんじゃないか?」
「だなぁ。しかしなんだあのケツのサイズはあるのかいな」
「こらやめたれ、モリモリちゃんに聞こえたらどうすんだよ」
しかしながら酔っ払い集団のそんな楽しそうな会話は、やっぱり納屋の中の守助くんにまる聞こえだったらしく、母が守助小屋の扉を開けた時には守助くんはシャツとブリーフ姿のまま顔を真っ赤にして大人の集団に突進していました。
「こ、こら!!」
「お、俺じゃねえぞ。モリくん。こら噛み付くなって!! 重い重い」
「守助ッ!!!!!」
母の怒鳴り声が響き、守助くんはすぐにその場から引き離されます。そしてまたしても小屋に入れられそうになっているところを榊原さんがなんとか母にお願いし、守助くんはやっと夕食にありつけておりました。
「ほらほら、食え食え」
榊原さんは守助が美味しそうに大盛りご飯を食べているところを幸せそうに眺め、その横で僕と芳彦くんは彼の汚い食べ方を軽蔑しながら見ていました。守助くんは榊原さんが机の上で広げていたスナック菓子をお米と一緒に口に放り込み、お茶と一緒に飲み込んで蛙みたいにゲップします。守助くんが来る前にどうして全部食べておかなかったんだろうと僕は後悔していました。芳彦くんも同じ気持ちだったと思います。僕らの家庭では一日お菓子一つと決められていましたし、買ったお菓子を守助くんに取り上げられるなんて事は日常茶飯事でした。僕と芳彦くんにとっては小さなお菓子でも貴重なものだったのです。
「ブヒブヒ喰い散らかしやがってきたねぇな」
そんな僕らの気持ち汲み取ってくれたのか、富田くんが守助くんに向かってそう言ってくれました。
守助くんは少し富田くんを睨んでいましたが、気にせずに箸を進めます。富田くんには敵わないのを知っているからでしょう。しかし富田くんはそんな守助くんが面白くないのか、今度は芳彦くんに肩を寄せてこう切り出しました。
「なあなあ芳彦。宿題はいいからさぁ。最近学校であった面白いこと教えてくれよぉ」
「面白いこと?? うーん」
「何かあるだろ〜?! 例えばさぁ。どっかの誰かが体育館で漏らしちゃったとかさぁ」
守助くんは箸を握りしめ、鋭い目つきで富田くんを睨みます。
「ん?なんだモリブタ。飯が上手いならフゴフゴ食ってろよ??」
富田くんは更に守助くんを挑発します。守助くんを怒らせてまた納屋に押し込める算段なののでしょう。
「てめぇ…」
「そんなことより教えろよ。なぁなぁ?? 信二も見てねーか?? 聞いたところによると、そいつ大勢の前で年下に電気あんまされてちびっちゃってんの。 し・か・も その後、保健室連れてかれて女子の前でケツとチンコ拭かれてんだぜw お?? なんだぁモリブタ?? さっきから震えてるけどまたなんか漏れちゃいそうなのか〜??」
ただでさえ例の事件の噂は大きくなって、最近の守助くんは荒れていました。なんせ道端でストリーキングをさせられてからのクラスでのパンツの貼り付け、体育の授業中のお尻丸出し事件に加えて今度は年下の前での公開お漏らしです。
普通のメンタルの持ち主ならまず学校に来れなくなる内容に間違いありませんし、下手すれば恥ずかしくて外出さえ出来なくなるでしょう。田舎でも特に子供が多いこの地域では子供同士の間でも噂は広まりやすいので、どこに言っても後ろ指を指されて馬鹿にされかねません。あまつさえ小学六年生と言う最年長の立場でのこの失態は、何かと敏感な僕らの年頃の子にとってはほぼ学園生活的に死を与えられたも同然なのです。これは言い過ぎでもないと思っています。基本的には守助くんは嫌いな僕も、どうしてかこういう守助くんの自由奔放な性格の強さがちょっぴり羨ましく思えていたりもしたんです。

保健室の事は、実は僕も小鉄くんから聞いていた内容ではありました。実際どこまでが本当か分からないですが、女子も大変大騒ぎだったとか。そりゃあ普段からガキ大将を気取っているデブっちょの守助くんが、下半身を濡らした状態で保健室に登場し、保健の先生に下半身を掃除させられていたら、女子だって平常心で居られるわけがないでしょう。
「うっそお!! 三浦のババーにちんこ拭かれてんのこいつ?!」
目の前の思わず芳彦くんはそう言って立ち上がってしまい、慌てて口を抑えます。
「芳彦くん!!」
僕は口に人差し指を当てますが、間に合わなかったようです。
反射的に守助くんは重い腰を持ち上げると、ちゃぶ台を踏んづけて芳彦くんに飛び掛かって馬乗りになりました。茶碗と皿が同時に床に引っ繰り返って母が悲鳴に似た怒鳴り声を上げました。守助くんは顔を真っ赤にして興奮してしまっていて、もう止まりません。例の事件の屈辱、富田くんへの怒りがいっぺんに芳彦くんに向いてしまっているようでした。
芳彦くんは顔を両手で覆っていましたが、それでも守助くんはグーパンチを何度も芳彦くんの顔面に繰り出します。
「ヲイ!! やめろって…芳彦は関係ねぇだろうが!!」
富田くんも止めようとしますが、守助くんはこうなったらなかなか止まらないのです。
「おめぇら、喧嘩なら外でやらんか!!」
父が唾を飛ばして呑気に怒鳴ります。芳彦くんはその隙に何とか守助くんの体重を振り切って起き上がると、そのまま裸足で庭へと飛び出します。守助くんも怒鳴り散らしながら彼を追います。僕は芳彦くんを何とか助けたい思いでしたが、酔っ払い集団の頭にはアルコールが詰まってしまっているようで何の役にも立たないのです。寧ろ楽しそうに庭を馳け廻る二人を眺めているのです。
「芳彦ちゃん逃げろ逃げろー」
「がんばれ〜」
ふざけた口調で他人事のように芳彦くんを応援する彼らを、僕はこういう時、心から軽蔑していました。
守助くんは納屋の壁際まで芳彦くんをついに追い詰めると、みぞおちや顔面にパンチを何度も繰り出します。守助くんは喧嘩は弱いのに対して一方的な暴力は慣れっ子です。守助のグーパンチが芳彦くんの顔面にヒットし、芳彦くんがワァッと泣きだすと縁側で見ていた母も怒鳴ると言うより呆れたようにため息を付いています。昼間から守助くんの面倒に酔っ払いの相手。既にヘトヘトの様子でした。
「でもよぉ。芳彦はムカシっから口だけ達者な割には弱っちいし情けねえんだよなぁ」
父は仲間に芳彦くんを責めるような言い方をしていました。
「だいたい男なら年上だろうが年下だろうが拳で勝負しんねえとなあ?? おーい聞いてっか芳彦!! いつも言ってっだろ?? 男ってのはなァ、泣いたら負けなんだぞ泣いたら!!」
格好つけてそう言って父は周りの仲間に持ち上げられていました。本当にこの人たちは気持ちが悪いなと僕は辟易していました。榊原さんだけが蹲って泣き止まない芳彦くんを心配そうに眺めています。
「ほら、ヨシヒコ。お母さんとこ来なさい。顔見てあげるから」
母が芳彦くんを手招きます。守助くんは何発も芳彦くんを殴りに殴って満足した表情です。
そう。いつもならここで終わるのです。けれど、今日は違いました。それは次の瞬間でした。なんとあの芳彦くんが守助くんに飛びかかったのです。
僕は一瞬何が起こったのか分かりませんでした。守助くんが芳彦くんに追い打ちをかけたのかとさえ思った程です。でも違います。芳彦くんが守助くんに生まれて初めて勝負を仕掛けたのです。
油断していた守助くんは周り以上に気が動転しいたと思います。こんなことなかったのですから当然でしょう。芳彦くんは泣きながらも庭の真ん中で守助くんに掴みかかり、守助くんは必死で抵抗しようとします。すぐに守助くんが芳彦くんを押さえつけて屈服させるかと思いきや、意外と苦戦しているようにも見えました。
縁側でぼやあっとツマミを齧っていた父達もまさかの展開に「おあっ」と声を上げてしまっていました。
守助くんは何度も芳彦くんに馬乗りになろうとして体重をかけようとしますが、芳彦くんも華奢な身体をさっと引いてそれを避けます。何度かぐるぐる二人は転がります。そして芳彦くんが倒れた瞬間に守助くんが彼の横腹を思い切り蹴り上げました。一発、二発...。今度こそ守助くんに軍配があがると思いきや、それを芳彦くんは待っていたかのように彼の太い足に食いついたのです。
両脚を掴まれた守助くんはバランスを崩して仰向けに倒れ込みました。守助くんに隙が生まれます。その間に芳彦くんは彼の両脚を両手で掴んでその場で体制を整えました。
「なんだヨシヒコのやつ。慣れねぇプロレスでもかけんのか?ったくせっかくいい勝負だったのによ」
おじさん達は残念がってはいましたが、僕は芳彦くんが守助くんの両脚をガッチリと脇に固めたところで彼の狙いに気づきます。僕は既に芳彦くんの勝利を確信していました。
この時の守助くんの怯えた顔つきは、僕は今でも忘れずに胸にしまってありますw
「放せ!! 放せよッ!!!」
「いいぞいけ!! 芳彦。死んでも手放すんじゃじゃねぇぞ!!」
富田くんも縁側の観戦席から応援の声を上げました。
「ヤメろ!! まじで芳彦やったら...てめぇどうなるか....!!」
守助くんは地面で身体を捻って動き回りますが、既に自由は効かないようでした。
そして芳彦くんの足が伸び。その足の裏が、守助くんの股間に添えられます。家で守助くんは白シャツと白ブリーフ一枚の姿のため、体育館の時とある意味条件は一緒です。
それは芳彦くんが初めて自分の意思で守助くんに仕掛ける攻撃でした。守助くんは弱点をつかれ、彼の大の苦手の電気あんまが始まったと同時にビクンビクンと身体を跳ね上がらせました。シャツの上からでも彼のおっぱいとお腹がぶるんぶるんと波打つ様子がわかります。
「だーはっはっは!! 見ろや!! モリくんがヨシくんにおちんちん踏み踏みされちゃってるゾ〜」
「こりゃ傑作だな。おーいヨシヒコやい。そのままモリスケ懲らしめたらお駄賃やるからなあ!!」
おじさんたちも初めてみるその光景に胸を踊らせているように見えました。
「や…ッ…め…ろよぉ…ってめえ…」
守助くんは股間の振動に歯を食いしばって耐えながら、芳彦くんを鋭い目つきで威嚇します。しかし電気あんまの勢いは止まりません。
学校で一路くんにやられた時と違って、守助の両手は塞がってはおりませんでしたが、小鉄くんにやられた時と同様に守助くんは両手が自由だとしても起き上がることが難しそうでした。何度片手を地に付いて大きな身体を持ち上げようとしても、股間で小刻みに振動する足に気を取られてしまっているのか、すぐに力尽きて背中が地面に付いてしまいます。普段の運動不足と肉付きのいい上半身との悪条件が重なってしまって、自分の身体なのにまるで自由にコントロールできていないようにも見えました。

いつの間にか大声を出して暴れていた守助くんの抵抗も静まっていき、彼の反応が鈍くなっていきます。
榊原さんが富田くんに「ちょっと見てやってきてや」と頼み、富田くんが庭に降りて二人の方向へと向かいました。富田くんは仰向けの守助くんを覗きむと、悪戯っぽい笑みを浮かべます。
もう何が起きていたかここで説明する必要もないでしょう。

本来であれば泣き止まない芳彦くんを母が抱き締めて慰め、それを見た守助くんが高々に笑うのが我が家の日常でした。
母は他人への迷惑行為には厳しいのですが、守助くんが僕や芳彦くんをまとめて泣かすなんてあまりにも日常的過ぎて毎回相手にしません。僕や芳彦くんがどんなに泣いて守助くんにやられた辛さや悔しさを訴えようとも、母は兄弟喧嘩においては守助くんに表面上でしか注意はしないのです。注意しても守助くんが聞かないことは分かっていますし、兄弟だから仕方がないと思っていたのでしょう。
まして父親からの対応なんて外道中の外道。
「ああン?? なんだぁ?? 男のくせに喧嘩で負けてピーピー泣いてんじゃねぇよ!! 飯抜きにすっぞ」
弱い方が悪い。泣く方が悪い。をモットーの父の前にして泣いた瞬間に僕らは基本父からは貶されて、弱虫、泣き虫とレッテルを貼られます。守助くんは普段の問題行動があり過ぎるため、僕らより叱られる回数こそ多いのですが、例え僕らを泣かせても父の横ではすました顔で食事をしているのです。そして暇さえあれば泣いている僕らを更に冷やかして追い討ちをかけるのです。無論父は「男のくせにみっともねぇな!!」と言って新聞で僕らを邪魔そうに叩いてあしらうだけ。それが我が家の日常でした。今までは。
しかし今守助くんは仰向けで、ブリーフをぐっしょりと濡らした状態で動きません。太い二の腕で顔を隠して、口をへの字に曲げています。僕は富田くんに呼ばれて庭に来ておりましたが、既に泣き止んで薄っすら笑みを浮かべている芳彦くんを見て、自分の予想が正しかったことに気がつきました。
母はやっと腰を上げてサンダルを履くと僕らの方へとやってきます。僕と芳彦くんは立ち上がったまま守助くんを見下ろしていて、富田くんは意地悪なのか本気で心配しているのか「おーい。聞こえてるのか〜」と守助くんの耳元でしゃがんで守助くんに何度も声をかけています。
「もう...バカ。起きなさい...こんな濡らしてー」
母は守助くんを背中から抱きかかえるようにして起こすと(それだけでも苦労していました)背中についた砂を払いました。
もう夜遅かったですが、我が家の電球が庭を明るく照らしていたため、守助くんの真っ黄っ黄のパンツは室内からでも丸わかりだったでしょう。
立ち上がった守助くんを見ておじさんたちはあんぐりと口を大きく開きます。守助くんが電気あんまで漏らしちゃうなんて、案の定誰も想像だにしていなかったようでした。
「おぃおぃ....!! なんだおめぇ!? まさか弟にチンタマ踏まれて漏らしたんじゃねぇだろうなァ!?」
「よっ!! お漏らし大将!! モリモリちゃんええ格好しとるぞ〜。頼むからこっちくんなよぉ」
「ばっかやろぉ。今ヤツを茶化すなよ。あのパンツごと飛びかかってきたらこっちも相当な被害だぞ!?」
だが守助くんはおじさんたちに向かって行くことはありませんでした。右腕で顔を押さえ、嗚咽を漏らしながらとうとうその場で泣き始めてしまったのです。
「おんめぇ...すげぇよ!? ...やったじゃんか!!」
富田くんは素直に歓喜の声を出して、芳彦くんの頭を撫で回します。そして彼の小さな背中を押して父親たちの元へと送るように走らせました。もしかすると兄弟のいない家庭には異常な光景にも見えるかもしれませんが、あの守助くんが芳彦くんにやられるなんて我が家の大事件、芳彦くんの快挙なのです。その時の父親達の喜びようといったら他に例えようがありませんもの。
「芳彦。おめぇいつのまに強くなったんだぁ!!? 父ちゃんうれしいぞ」
「ヨシくんほんますげぇって!! あのモリくん泣かせたんやぞ?! パーッと今から祝うか!!」
「泣かせただけじゃねえぞ。強制失禁だかんなぁ。こりゃ当分あの悪たれも芳彦くんには大きい顔できんくなるぞ〜」
芳彦くんも浮かれつつ、そして若干照れ臭そうにしながらも、父の膝の上で彼らの笑顔に応えていました。
正直僕にとっては、守助くんが神社から家までフリチンで帰らさせられることよりも、体育館でお漏らしさせられることよりも、弟の芳彦くんにどんな形であれ泣かされることの方が大事件でした。ずっと守助くんのイジメに苦しんでいた僕にとっては、まさかこんな日が来るなんて夢にも思ってもいなからです。本当に夢でも見ている気分でした。
「もぉーあんたは恥ずかしいわねぇ…お尻のところまで濡れちゃってるじゃない....あっ、足にも垂れてる!!」
母は泣いている守助くんをあやすように軽く頭を撫で、優しく声を掛けています。本来なら僕か芳彦くんが守助くんに泣かされたときに母が向けてくれる優しい表情なのです。守助くんは自分が叱られた時以外(あるいは富田くん・大人に懲らしめられた時)で母にこうして慰められていることは滅多にありません。(勿論、実際は僕らの居ない時に甘えたりはしていたようですが)
「ごめんなさいねギンさん…そっち後で片付けるから」
「ああ。気にせんでええぞ。わしも酔っちょるからお構いなくしてくんさい。それにこっちはええもん見せてもらったから気分ええわ〜」
守助くんが大のお気に入りの榊原さんは、泣いている守助をつまみにして気分良さそうに酒を飲んでいます。
「もう泣かないの。汚いから下洗いに行くわよ」
母はそう言って守助くんの手を引いてお風呂場に連れて行こうとします。しかしそこで文句を言い出したのは父でした。
「なぁにぃー?! まった風呂場かよ?! 今日風呂場で守助の小便何回流してんだよ!?」
「朝ション、昼ション、夜ション。こりゃすげぇな。新記録じゃねぇか守くん」
他のおじさんたちが泣いている守助くんをからかいます。だが父は笑っていませんでした。
「あんなァ…言っとくがウチの風呂場は便所じゃねぇんだよ。こいつの小便洗った後の風呂場にどぉーして俺たちゃ我慢して入らなきゃいけねえんだ!?」
「うるさいわね。子供なんだからしょうがないでしょ」
「ばっきゃあろお。どこの世界に一日に三回も漏らす中学生がいるんだよ!? トイレにいけねぇならオムツでもさせときゃいいだろ」
「まだ小学生でしょ。ほんと酔っ払いは煩いわね」
いつものように夫婦喧嘩が始まりますが、今回ばかりは僕も芳彦くんも父の意見に珍しくも賛成でした。そりゃ僕と芳彦くんだって守助くんのおしっこを流したあとの風呂場なんて絶対入りたくありませんもの。実際守助くんはプールや銭湯の中で堂々とおしっこをするのを知っていたので、守助くんが入った後には湯船に浸かりたくない時がほとんどでした。
二人は散々言い合いし、そして今回は先に母が折れたようでした。
「今後漏らしたら、庭の水でてめえのケツ洗いな」
父は当然のようにそう言ってタバコをふかします。意見は変えるつもりは全くないようです。
「ほら、小便小僧を家にあげんなっつーの!! オラ、おめぇも…コラ!! そのまま家にあがんなっって言ってんだろ!!」
汚れた足の状態で家に上がろうとしている、守助くんの頭を父がゲンコツを食らわせます。泣き止みかけていた守助くんの瞳にまた涙が浮かぶのがみえました。
「ほんとなっさけねえやっちゃな。芳彦にケンカ自分で売っといて負けてチビって泣いてんのか?? ちんちん付いてんのか?!」
「付いてるけど寝小便とお漏らししかデキマセーン」
守助くんの横で富田くんがそうからかって、おじさんたちがどっと笑いました。
榊原さんだけがコラコラと優しく注意しておりましたが、やっぱり守助くんが富田くんに憤慨している様子を見て楽しそうです。
「…ほら、守助もこっち来なさい」
母はちょうど縁側の真っ正面にある水道の蛇口にホースを付けているところでした。蛇口をひねってホースの先から水が出るのを確認しています。
「おら観念しろおデブちゃん。お漏らしチンポコ洗ってもらってこい」
「ヤダ!! 俺イヤダ!!」
その場を動かない守助くんにしびれを切らし富田くんが彼の肩を掴むと、母の元へと強引に運んでいきます。
守助くんは半べそをかきながら、母の前では駄々っ子のように「いやだあいやだぁ」と土の上で何度も足踏みして抵抗しています。
そりゃそうでしょうに。縁側に座っている大勢の観客はニヤついた顔で守助くんと母を眺めているのですから。
「俺たち見てないから安心していいぞー」
おじさんたちはふざけて目を覆う真似をしています。しっかりと見ているという何よりのアピールのようでした。
「いやダァ!! 絶対いやだ!!」
「洗わないと汚いでしょ!! バカ!! 早く脱ぎなさい!!」
母は暴れる守助くんを無理矢理万歳させてシャツを剥ぎ取ると、彼の汚れたブリーフに手を伸ばします。守助くんは慌てて腰を引いて逃げようとしますが、その丸い体を富田くんが捕まえました。
「豚カツゲット〜」
「放せよ!! ざっけんなっ!!」
「暴れんなおい!! ってかきったね、濡れたケツこっちに引っ付けんなって!!」
二人が言い合いしているその隙に母は守助くんのブリーフを掴んで、足首まで一気に下げます。
小ぶりのおちんちんが僕らの目の前でピョコンと飛び跳ねてその姿を露わにします。富田くんは素っ裸になった守助くんの小ぶりのおちんちん、そして彼の大福尻を見て堪えきれず吹き出していました。
芳彦くんも父の膝の上で大はしゃぎですし、他のおじさんたちもさっきの約束はもう忘れて手を叩いて笑ってしまっています。
「んおれ..いやだよぉ、かあちゃぁん...!!」
守助くんは股間を手で押さえながら何度も何度も甘えた声を出して足踏みしますが、母が強引に守助くんの肩を掴んで近くに寄せます。
「恥ずかしいなら早くなさい!! もぉおちんちん触ったら手も汚くなるでしょうが!! ほら、お尻向けて」
守助くんは若干屈み腰になったまま大きなお尻を母に突き出すようにします。(彼なりに股間を隠しているつもりだったのでしょう)それからたまに顔を上げると僕らを睨み「見てんなよ!!」と怒鳴り口調でそう叫びます。そしてその都度母にその桃尻を叩かれてしまうので、その場からはもう笑いが絶えることはありません。
「にしても守ちゃんのケツホンマでっぷりしてきたなぁ。普段何食わせてんだよ」
「ケツだけじゃねえだろ。あの肥満体見てみろよ。子豚もビックリだぜ」
「あいつぁ昔っから、信二と芳彦の食いモン奪ってきたんだぜ?! 一人だけブクブク太るのも頷けるぜ」
酔っ払いたちは好き放題言って、守助くんがお尻を洗ってもらうのを楽しんで鑑賞しておりました。
「多恵子さーん。そいつのケツの穴も綺麗にしてやっとくれよお」
そんな声があがると一同が大いに笑って、母もはにかんだような笑みを浮かべます。守助くんだけ物凄い形相で睨み返していましたが、格好が格好なので迫力も糞もありません。富田くんは母に指示されて石鹸を持ってくると母の横に置きました。
母は富田くんにお礼を言ってから、石鹸を手であわ立ててもう一度守助くんのお尻を洗い始めます。やっぱり水だけでは不十分だったのでしょう。
「ほら、前も!! 手邪魔って!!」
「い...いやだよぉ...なんでぇ....」
「守助!!」
あの守助くんでも母の命令には逆らえないようで、観念したように股間から手を放しました。ツボミのような小さく縮こまった守助くんのおちんちんが丸出しになります。
富田くんは母の背中側に移動すると「ちっさァ」と口だけ動かして守助くんにだけ見えるようにして嘲笑の笑みを浮かべました。
守助くんの顔が赤くなるのが僕の位置からでもはっきりと分かりました。母は石鹸のついた手で守助くんのそのツボミの先を摘んで丁寧に洗い始めました。
今日一番の笑いが縁側の方から響いてきたのは言うまでもありません。僕の位置からでも守助くんの表情がくしゃくしゃにしていく様がはっきりと分かりました。
「おめぇママにチンポコ洗われながら泣いてんじゃねえよw」
富田くんのその一言で守助が「ぐぅ…うぐぅ...」と低く唸るようにして泣き声をあげました。母はまたしても大きなため息を吐きます。
「もぉー。あんたも悪いんでしょ?! お尻見られて恥ずかしいならちゃんと痩せる努力なさい!!」
母が守助くんの大きなオケツをピシャリと叩くと守助くんの泣き声が大きくなりました。

その後の記憶は少し曖昧ですが、母は芳彦くんに守助くんにきちんと謝るように指示しました。
芳彦くんは、体を拭かせてもらいパンツまでみんなの前で履かせてもらった守助くんに近づくと「ごめんなさい」と素直に頭を下げました。
守助くんにとってそれはどれだけの屈辱だったか分かりません。芳彦くんを何発も殴った後とは言え、電気あんまでお漏らしをさせられて泣かせた挙げ句、おちんちんとお尻の掃除をみんなの前でやらされてしまった訳ですから。それも全部あの芳彦くんのせいで。
それに母に言われて謝られるというのは、自分より弱い立場にされるほど屈辱的なのです。
榊原さんに宥められながら、膝の上で拳をぎゅっと握りしめて涙を堪える守助くんの丸い背中は見ていて哀れな気持ちにしかなりませんでした。
スポンサーサイト
[PR]

身体測定①

長い時間が空いてしまいました。共同製作の為互いの時間が取れず...なかなか更新できずでした。
お待たせいたしましたが、続きを書いていきます。

守助くんがその後どうなったか気になっている方も多いかと思います。
電気あんま事件で子分達の恐怖心を煽った守助くんは、例のストリーキングがあったにも関わらず一部の子達の信頼を取り戻したようにも見えました。若干、司くんママのおかげで司くんへの集中攻撃は減ったようでした、それでも日替わりでターゲットを決めるととことん追い詰める姿勢は相変わらず変わっていないような気がしました。
クラスでは守助くんは前にも増して浮いていましたが、元々嫌われ者(特に女子からは)の守助くんはやりたいようにやっていましたし、クラス内でも前と変わらず大人しいタイプの男女にはちょっかいをかけていたりもしました。弟としては喜ぶべきですが、守助くんからの暴力を受けている身としてやっぱりどこか残念な気持ちは隠せませんでした。
小鉄くんが仕掛けたのは、司くんママが家に来てからしばらく経った時のことでした。
ちょうど僕らの学校も身体測定の時間を割り当てられて、その日は午前から全学年体育館で身体測定を行うことになっていました。
今と違ってシャツとパンツだけで測定のため、男子はシャツとブリーフの姿、おまけに裸足になり体育館集合。女子は学年交代で保健室で測定を行っていたかと思います。
僕らが体育館に着いた時は四年生が順番に測定を行なっている最中でした。既に右端には五年生が体操座りして並ばされており、僕ら六年生も彼らの横に詰めて待つように指示を受けました。
学年集会の際も子供同士集まると騒がしくなりますが、この日は年に一度の測定の日という事もあり、普段より一層体育館は騒がしかったと思います。金子先生も忙しそうにしながらも、たまにこちらに顔を向けては怒鳴り声をあげておりましたが、すぐに喋り声が大きくなるのをみると半ば諦めるように仕事に戻っていました。
僕は特にすることもなく芳彦くんを探したり、四年生が体重を測定しているところをぼんやりと眺めておりました。
そこでふと周囲が騒がしくなったので僕は顔をあげました。
「お前らもういっぺんいってみろよ」とか 「なめてんじゃねえよ」など尖ったような甲高い声を出しているのは案の定守助くんでした。守助くんは五年生の輪の中にいる少年グループに睨みをきかせていて、下級生の子たちは怯えるようにして輪の中で肩をすくめています。(ことの発端は五年生のお調子者の一路くんが守助くんの下着姿を見て、以前のパンツ事件の話をしたことから始まったらしいですが、その場にいた数人がまとまって巻き添いを食らってしまっていたようでした)ただ一路くんはどちらかと言うと守助くんのアンチ側の子でしたし、守助くんのことを陰で(最近では堂々と)モリ豚と呼んでいることは意外と周知の事実だったりしています。生意気な彼の存在も含めて多分、守助も以前から気に入らなかったことはあったかもしれません。一路くんも流石に上級生を前にして怯えてしまっており、何度もごめんなさいとつぶやいていましたが、守助くんの耳に入るわけがなく、僕が気づいたときは守助くんは一路くんに飛びかかっていました。守助くんは覆いかぶさるように一路くんにのしかかってそのままヘッドロックをかけます。細身で運動神経の良くんも一路くんも巨体の下敷きになってしまうと、押しつぶされながら身動きがとれず、痛さで藻がいておりました。(子供同士の間でも多少の加減はあるのですが、守助くんの場合それがありませんので...)
「てめえまじで許さねえから!!」
守助くんが声を張り上げ、測定中の五年生の数人がこちらに目を向けます。金子先生はちょうどその場にいなかったため別の先生が「コラ!!」と遠くから声をあげていましたが、ほとんど効果はありません。
「ご...ごめんって、も、もりくん...」
一路くんが苦しそうに声をあげます。守助くんは周りで五年生が怯えている表情をぐるりと眺め回し、優越感に浸った顔をしていました。それからさらにその腕に力をこめます。一路くんの苦しそうな声が大きくなりました。
「どうした?おら、首の骨折ってやろうか?」
一路くんの表情が歪み、周りが流石にそわそわしだした頃でした。ふいに彼の身体が背後から捕まれ無理矢理に引き上げられました。学校で一番力のある源太くんでした。源太くんは床に座った姿勢のまま守助くんを背後から羽交い締めにし、壁側へと引き寄せて固定させます。守助くんは一瞬何が起こったのか飲み込めていないような顔をしていましたが、すぐに状況を察すると「てめえジャマすんな!!」と金切り声をあげて手足をバタバタとさせます。が、相手は中学生に腕相撲で勝利したことのある源太くん。そのごつい体にがっしりと支えられているわけなので、守助くんが敵うはずもありません。
「お、おめえ、カンケーねえだろ。放せよ!! 俺と一路の喧嘩だぞ」
「何言ってんだバカヤロー。ただいじめてるだけだろ」小鉄くんも既に守助くんの前にきていました。
「お前下級生いじめて楽しいのかよ」
「うるせえよ」
「まだ粋がれるのかよ、ばっかだな」
小鉄くんはそう言うと、完全に起き上がった一路くんの耳元で何か囁きます。一路くんはそれを聞いて目を丸くしてクビを振っていましたが、小鉄くんが「大丈夫大丈夫」と気軽に笑います。一体何が始まるのかと思いきや、小鉄くんと国彦くんが守助の左右の足を掴み左右に広げたのです。みんなシャツとブリーフの同じ姿なのに、太った守助くんがその姿のまま股をM字に開脚されるだけで、なんとも滑稽な姿になっていたことは確かです笑
「一路くん!!反撃だ反撃!!」
小鉄くんが声をあげます。何をされるか既に想像がついた守助くんは鼻息を荒くしてがむしゃらに身体を勢いよく動かそうとしますが、3人に抱えられるようになってしまい、もう自由はききません。
「放せっ!! 放せよお!!」
守助くんの怒声に小鉄くんは慌てて一路くんを急かしました。
「ほら、早くしないと先生来ちゃうって」
一路くんはあたふたとしておりましたが、年上三人に急かされて、片足を伸ばし、足の裏を守助くんのブリーフの股間の部分に添えるように置きました。既に五、六年生は誰もが興味津々状態で事の成り行きを見守っている状態。守助くんは顔を真っ赤にして一路くんを睨みつけます。
「やめろ一路!! てめえただで済むと思ってんのカ!!」
「大丈夫だって、このデブ動けねえからさ、ほらほら」
小鉄くんがまるで見せつけるように守助くんの丸い頰をペチペチと叩きます。されるがままの守助くんを初めてみた、五年生、六年生の男子は思わず目配せして薄ら笑いを浮かべます。
「一路早くやっちゃえよ」と、声が上げる者までも出てくるのです。
「ぶっ殺す、ぶっ殺す」と守助くんはひたすら一路くんを威嚇しておりましたが、さすが一路くんと言いますか、プレッシャーの中、守助の股間の上にあてがった細い右足をゆっくりと振動させました。
それは五年生からの六年生への電気あんま。想像を絶するほどの屈辱に違いありません。それもパンツ越しに。
守助くんも一路くんが本当にやってくると思っていなかったのか、リンゴのように赤くした頰を硬直させて目を見開きました。爆発的な笑い声が周囲に起き、金子先生の怒鳴り声が聞こえますが壁側で囲いができているため気づいてはいません。
「はは、いいぞ〜、一路くん。でもちょっと弱いぞ。もっと強くやったってーなー」
小鉄くんはもう大はしゃぎしながら、守助くんの表情と周囲の生徒の様子を交代に見ておりました。今考えればあの小鉄くんが自分から力作業を進んで行うことは珍しかったかもしれません。ただその時は敢えて下級生に電気あんまをさせるという選択肢をとったんだと思います。
「強く...って..えっと、こう??」
一路くんの裸足の足の裏が守助くんの股間部分にぎゅうっと食い込んで、守助くんは表情を歪めました。
「ハハッ、超傑作。オーイ、みんな見ろよ!! 守助のデブが五年に電気あんまされちゃってっぞ〜」
国彦くんも守助くんの片足を抑えながらも、高い声で笑って周囲の関心を引きつけます。周囲には神社に来ていた守助くんサイドの子分たち、そして芳彦くんに司くんまでもが居ましたが、皆が皆既に笑いを抑えられない状況だったかと思います。
「なあ、一路くーん。感触どんな感じよ?」ニヤニヤと笑みを浮かべながら小鉄くんが一路くんに尋ねます。
「うーん...いや...」
小鉄くんも困りながらも少し口元を緩めて強張った笑みを作り、「なんかぶにゅぶにゅしてる」と正直に感想を述べました。
「それってこいつの腹の脂肪だろ?」守助くんの力が弱まったのか、小鉄くんは片手で器用に守助くんのシャツの裾をひょいっとめくりあげます。真っ白なシャツがめくり上がると、守助くんの太鼓腹と窪んだ臍が丸出しになり、小鉄くんは太鼓でも叩くかのようにポンポンとその腹を平手で打ちました。爆笑と同時に一気に一路くんの緊張も解けた様子で、彼は足の向きをちょっと変えて今度はつま先の部分を守助くんのブリーフのちょうどチャックの部分に当てました。
おお、と歓声が起きると同時に一路くんはちょっと探るようにつま先を守助くんの股間あたりでモゾモゾと動かします。
ずっと奇声をあげていた守助くんは目を固く結んで堪えるように歯を噛みしめる仕草を見せました。一瞬ですが辺りは静まって、注意をしようとしていた別のクラスの先生もまた四年生のいる方に戻っていってしまいます。みんなの視線が、守助くんのブリーフの部分とそこを刺激するように動く一路くんのつま先に注目されるのは異様な光景だったか思います。
一路くんは途中で、何度か首を傾げながら、ん?と怪訝そうに眉をひそめたり、ちょっとニヤケながらも「あれれ〜」と言って、何度か角度を変えてつま先、更には足の指を守助くんの急所辺りで自由に遊ばせました。そしてある一点のところで足をとめると、「あっ」と声を上げて悪戯っぽい笑みを浮かべます。それから同じ箇所で何度か足の親指と人差し指を小さく動かします。
「…くぅ…」
守助くん小さく呻き声を漏らしたのを近くにいる悪ガキ集が聞き漏らさないはずがありません。
「どうだ?あった?」
「うんw...あ....どこいった...あれ...」もう完全にリラックスした状態で一路くんはふざけながらも「あったあったw」とふざけて舌を出します。既にしわしわになっている守助の股間に置かれた一路くんの足の指は何かを捕らえたような形になっていました。
「いま、挟んでる」ちょっと照れたようななお可笑しそうな顔を一路くんは浮かべて、そのまま周囲のみんなに目配せしました。
「ん?なにをだー?」分かりきったことを国彦くんが尋ねます。
「守豚の....ち...ちんちん」
堪えるようにしていた何かを息を吐き出すかのようにして、一路くんはそのまま弾けるように笑いました。もちろん周囲のみんなもおおはしゃぎです。
「うっそ!?守助くんのちんちんつまんでんの?」
確認するかのように五年生までもがわざわざ前に来て一路くんに尋ねたりさえもしています。
よく見ると一路くんの足の親指と人指し指の間で、ブリーフのポコっと膨らんだ部分が挟まれているのが垣間見えました。
しかしそれはあまりにお粗末過ぎてしまって、本当に守助くんの性器なのかどうかさえ分からない状態でしたが笑
ただその場の皆にわかったことは、一路くんの足の指の間でも挟める程度の大きさということ、です。
「ぎゃはははw おい守助、一路くんがお前のおちんちん発見できたってよ!! よかったなあw」
目尻にうっすらと涙を浮かべながら、息を粗くさせ、守助くんははしゃぐ国彦くんを睨みつけます。既に暴れる力も尽きてしまったのかさっきみたいに騒ごうとしません。しかし腕を解かれたら即彼を殺してしまいそうなような獰猛な目つきをしていたことは確かです。ただどうしても顔の作り自体赤ん坊でしたし、そして赤ん坊のように足を広げられていて、オマケに下級生にちんちんを遊ばれているわけですので、その威嚇もこちらに伝わるはずはありません。
「い...一路てめえ...ぜってぇ...あ、あとで、覚えてろ...おぼえて..ろ」
守助はその瞳を一路くんにも向けますが、一路くんは完全に守助くんの恐怖の感情がすっかり抜け落ちてしまっているようでした。相手の急所を捉えた状態ですし、守助に抵抗はできません。ニヤニヤと口元で笑みを浮かべて守助くんの悔しがる表情を眺めています。
「なあ、一路くん。こいつのちんちんどんな感じだよ〜?みんなに教えてやってくれよォ」
小鉄くんの悪戯っぽい声に一路くんはちょっと考えて「えーでも、なんかさ」と続けます。「ちっちゃ過ぎてよくわかんないよ」
一路くんの言葉にどっと周囲が笑います。一路くんはなおもソレを確認するかのように、そのまま足の親指と人差し指を交互に上下に動かしました。彼の小さな足の指の真ん中で挟まった守助くんの恥ずかしい部分が、反動で上下左右に移動し、守助くんは図体を小刻みに痙攣させます。その反動で丸出しの太鼓腹がぶるぶると震えるので絶えず笑い声は尽きません。
「うわぁ...なんかめっちゃくにゅくにゅしてる」
「一路くんいいぞ〜まだ先生こんからそのままやったれよ〜」
「あ、こいつ大人しくなったな?あ、もうそろそろっぽいなぁ」
そこでずっと守助くんを後ろから羽交い締めにしていた源太くんが、気づいたように声をあげます。後ろから守助の顔だけ覗き込み何かに気がついたようです。
「源太、マジ?お前そんなのわかるのか?」
「だって、おれんちの弟と同じだもん。小鉄くんも知ってるだろ?」
そう言えば源太くんは意外と家では面倒見がよく、園児の弟のおやつやトイレの世話をしていたりと聞いたことがあります。
「へへっw 守助くんは何ちゃいなのかなぁ〜」
小鉄くんがからかうように守助くんの頬っぺたをつまみました。守助くんはもう青ざめた表情のまま何も答えることができません。すなわちほぼ限界まで来ている状態だったのでしょう。
「一路くんそのまま、こいつのちんこ刺激してってなぁ、ゆっくりな」
源太くんが真面目な顔で一路くんに指示をだし、後ろから首を伸ばして守助くんの表情を同時に眺めます。
「うん!了解」一路くんもそう声をあげて再び指を動かします。
「ン....!!ぐ...!!あぐぅ....」
一路くんの指が動くと同時に、守助くんの細い呻き声だけが響きます。
「おーい、おめえら、すげーもん見られるぞぉ」
小鉄くんの言葉に興味津々に子供達は身を乗り出すようにして守助くんを眺めます。僕も彼らの意図が分かったとき、小鉄くん達に逆らうと本当に怖いんだなとその時改めて実感させられた記憶があります。まさか体育館で五、六年生みんなの前で守助くんにアレをさせるなんて。そんな恐ろしいこと、半ば信じられない気持ちも強かったんだと思います。
「…だ…あ…だ…ッ!!も、もう…ぐぅ…やめ…ッ!!」
守助くんの声がかすれ、源太くんが笑みをこぼします。「あ、もうちょいかな、あと20秒くらいで出るぞ」
「え?マジ、なにが?」
周囲も源太くんの言葉の意味に気がついたのか、ざわざわと響めきが上がります。
「出るってなにが?」
「え…?ホントに?うそだろ!?」
一路くんも慣れてきたのか、指先を器用に動かし、それを摘まんだ状態で振動を小刻みに与えます。守助くんが表情を強ばらせ「ングゥ」と喉の奥から絞り出すような低い声をあげました。
その次の瞬間のことです。一路くんの足の指先に挟まれた白い布地の先端が、ジワリと黄色く色を変えました。一路くんはうわっと悲鳴をあげて足を引っ込めます。
ソレを発見した生徒が悲鳴と笑い声をあげ、一気に騒ぎになります。
「守助のデブ、漏らしやがったぞ!!」
「うわああ!! ったねえええ!!」
「すまんすまん、タイミング間違えたわ〜」と源太くんだけ苦笑いして一路くんに謝っています。
「一路!?足に守助くんの小便ついてねえか?!」
五年生もゲラゲラ笑ってそうはしゃいだので、一路くんは立ち上がって右足の指先を床に擦り付け、そしてなんと守助くんの顔にも足の指先を擦りつけました。守助が潤んだ瞳をかっと見開いた時にやっと金子先生が怒鳴り声をあげて向かってきたため、源太くんたちは守助くんの体を解放しました。
金子先生の叱責の中、守助くんは股間を隠すように体操座りしてじっと地面を眺め、そんな彼をあざ笑うかのように一路くんや他の五年生らはにやついた笑みを浮かべていました。

お尻叩き

教室でのパンツ貼り付け事件については、結局母親が学校まで取りに行って金子先生に平謝り。なんとかパンツは返してもらったそうですが、当の守助くんは最後まで認めていなかったみたいです。
学校でもそのことは有名になりましたが、空き地で子ども同士遊んでいるときもその話題が出るたび、男女問わず子ども同士でケタケタ笑い合っていました。(もちろん守助くんが不在の時w)
守助くんには気の毒ですが、笑っていた子は守助くんを慕っていた年下の子分ばかりだった記憶があります。
それから数日後のことです。ぼくは朝早くに芳彦くんに起こされました。芳彦くんは普段から早起きだったので珍しくはなかったのですが、何だかその日は朝から芳彦くんはテンション高くはしゃいでいて、まだ寝ぼけたぼくの手を引いて洗面所まで連れて行ったのです。
「ど、どうしたの?」
僕はまだ寝ぼけながらそう言うと、芳彦くんは悪戯っぽい笑みを浮かべて洗面所と隣の風呂場を指さしました。お風呂場で水道の蛇口をひねる音、ホースから水が滴り落ちる音が聞こえてきていました。
ドアが半開きになっていて、僕は芳彦くんと一緒に中を覗き込みます。中にいたのは守助くんでした。守助くんは素っ裸でややふて腐れたような顔で、顔を伏せるように立っていました。その横で袖を捲った母がしゃがんで、ブツブツと小言を言っているのが聞こえます。
「全く、アンタは六年生にもなって。これで今週何回目よ」
母さんのその言葉から僕は何が起きたのかすぐに判断することができました。と言うか守助くんのオネショ自体家庭内では珍しくないことだったのですが、それでも近年は守助くんも彼なりにオネショを隠すようになってきていました。
万一現場を見かけても怖くて話題に出せなかったため、ある意味見て見ぬふりを続けていたのかもしれません。
そんな訳もあってこうして守助くんが素っ裸で母に下半身を洗ってもらっている光景を直に見るのは、同じ屋根の下にいても数年ぶりだったのです。
「へへ、だっせェ」
「はは、だね」遠慮がちに僕は同調します。
「あいつまだちんちん洗ってもらってるんだな?これって大ニュースw」
そんな恐ろしいことを言う芳彦くんに僕はたじろぎながらも、母がホースを守助くんのアソコに当てているのを凝視していました。相変わらずのぷよんぷよんの身体のお肉が水滴で光っていて、そのまん丸のお尻がこちらに向けられています。
つい神社で起きた出来事を思い出してしまって、芳彦くんと一緒に表情を緩めてしまいそうになるのを堪えました。小鉄くんたちはこのだらしない身体を女子や年下までに見せてしまったと思うと、すごいことだなと改めて思いました。ましてやこのオネショのことまで暴露されてしまっていたのですから。
「お尻こっち向けなさい」
「ヘイヘイ」
守助くんは面倒くさそうにしながらも若干気恥ずかしそうな口調でそう言ってから、慣れた仕草で母にお尻を向けるため、全身をこちらに向けました。神社で見た同サイズ。もしくは若干もっと萎んで見える彼のおちんちんがこちらに向いたかと思うと、芳彦くんが堪えきれずぷっと吹き出してしまいました。その音で守助くんがやっと扉の隙間から見える僕らの顔に気がついたのです。彼はさっと股間に手を置くと同時に、表情を途端に歪めて発狂しました。風呂場と洗面所に怒鳴り声が響き。母さんが耳を押さえて守助くんのお尻をひっぱたきます。
「もぉ…手、邪魔でしょ」
「出てけ!! 出てけよぉ!!!!!!!」
守助くんはひっきりなしに騒ぐので、僕らは慌てて洗面所から飛び出しご飯を素早く食べて早めに学校に向かいました。もちろん登校時は守助くんのオネショの話題で持ちきりでした。(笑)

それからしばらく経ったある日のことですが、父の例の仕事仲間(酒飲み仲間)を家に招き入れて、いつものように集団で酔っ払っておりました。丸い食卓を囲みながら歌ったり、縁側に腰掛けて馬鹿騒ぎしているおじちゃんもいます。
僕と芳彦くんは畳の上で大人しく本を読んでいましたが、隣の家の富田くんとその妹が親に連れられて遊びに来たため、一緒に食事を取ることになりました。
富田くんの妹の夏木ちゃんは僕と守助くんの同級生。隣のクラスの女子です。守助くんとは言うまでもなく気は合いませんが、特に害のない僕と芳彦くんとは昔からの付き合いのため悪い関係ではなかったかと思います。狭い食卓で四人で食事を取ることになったため、おじちゃんたちは縁側の方に押し出されてそこで酒を飲んでいる状態になっていたかと思います。
守助くんはと言うと、昼間に何か悪さをして(何か忘れましたが)庭の横の納屋に閉じ込められていたのですが、おじさんたちが母を説得して支え棒を外してのようやくの登場となりました。
守助くんは常に汚れたシャツとパンツでいるため、納屋から出た時も同じ格好をしておりました。閉じ込められた時に泣いていたのかやや腫れぼったい目をしていましたが数時間ほど大人しかったので、中で寝ていたのかとも思いました。
「コラ悪タレ、今日は何やらかしたんや?」
「腹減ったやろ?美人のママが作ってくれとるで、食え食え」
むすっとした表情の守助くんにおじさんたちがしきりに声をかけますが、彼は無視して畳の上にあがります。
「足拭きなさい!! あと、先にお風呂!!」
守助くんは母の怒鳴り声にもツンとした表情まま風呂場に一人で向かいます。怒りの象徴のように足を床にドンドンと叩きつけながら廊下を歩く背中を見て、夏木ちゃんはとても不快そうな顔をしていました。

風呂からすぐ出た守助くんは新しいシャツとパンツに着替えると、どすんと僕の隣に腰をおろしました。機嫌の悪さは一目瞭然でした。守助くんは僕の皿から残しておいた唐揚げを奪うとあっという間に平らげて、芳彦くんの皿にも手を伸ばします。僕らは何も言い返せずに黙って皿がなくなっていくのをただ見ているだけでした。いつもは助けてくれる富田くんもテレビに夢中です。
するとたまたま横でその様子を見ていた榊原さんたちが萎縮している僕らの肩に手をかけて笑いかけてきました。
「なんだァお前たち。相変わらずこのデブちゃんのいいなりなのか?」
僕らはうんともすんとも言えません。実はこの前オネショを目撃して調子に乗って広めたせいで、酷く痛い思いをしたのです。親にも言えませんでした。
「ったくなぁ、男のくせに情けない。だいたい信二はモリスケちゃんと同じ年だろが?唐揚げ取られて何も言い返せんでどうするんだで」
酔ったおじちゃんたちは口々にそう言うのですが、まるでお説教みたいに聞こえてしまって僕はいい気分がしませんでした。
「信二くん、ちんちん付いてんか?」と一人のおじちゃんがそう言うと、大人たちがどっと笑いました。その場にいる夏木ちゃんまでも笑われてしまい、僕は顔がかっと赤くなるのを感じました。守助くんも『ちんちん』ワードに反応して、大げさにちゃぶ台を叩いて下品に笑い声をあげ「こいつオカマだからついてねぇだろ!!」としつこく大声で僕を冷やかしました。
益々僕は惨めな気持ちになりますが、誰も助け船を出してくれません。きっと大人たちは逆上した僕が守助くんに飛びかかるのを期待していたかもしれません。もしそうなったらきっとみんな揃って僕の肩を持ってくれていたことでしょう。けれど当時意気地なしの僕にそんな勇気はありません。
涙ぐんでいる僕を助けてくれたのは富田くんでした。
「なんだ、デブ。おめぇのちぃいっこいちんぽこ、手術してから言えや」
素っ気なくそういう富田くんに守助くんの顔が歪みます。富田くんは続けました。
「俺知ってるぜ~?お前ちんちん女子にみんなに見られたんだってなァ?」
これにはおじちゃんたちが大騒ぎです。そう言えば夏木ちゃんもあの場にいたことを僕はその時初めて思い出しました。
「こーんなんだったらしいぜ?な、夏木?」
富田くんは親指と人差し指で豆粒サイズを作って、さもそこに守助くんのちんちんがあるように見せます。これには酔ったおじさんたちは大受けです。
夏木ちゃんさえご飯を頬張りながら「やめてよぉー」とおかしそうに笑い、守助くんの顔がみるみるうちに赤くなります。
「み……見られてねえよ!!」
守助くんは箸を床に投げて富田くんに飛びかかりますが、あっという間にプロレスの技をかけられて床で藻掻きます。父は酔って演歌中ですし、母も忙しそうなので誰も相手にしません。
その場にいる大人たちだけいやらしい顔を浮かべて夏木ちゃんに「どんなだった?」と問いかけます。夏木ちゃんは初めは「知らない」で通していたものの、「ちっこかったかぁ?」と聞かれると素直に首を縦に振ってしまいました。僕と俊彦くんは顔を見合わせて笑いを堪えます。憤慨した守助くん畳の上でなんとか図太い身体を身体を持ち上げると、今度は夏木ちゃんに突進しその太短い足で夏木ちゃんの頬を思い切り蹴り上げました。夏木ちゃんは床に横向けに倒れ榊原さんに助けられます。そして、ここにきて今まで静かだった母が激怒したのです。

守助くんの頬をひっぱたくかと思いきや、母は正座して厳しい口調で一言「ここに来なさい」とだけ言いました。母は指で自分の畳んだ足下を指します。それが何を意味をするのか、僕と芳彦くんならすぐに分かりました。
守助くん母の本気の怒りに怯えながらもすぐにその意味を理解して「やだよ」と小声で言います。
「いいから!!」
母のその声に縁側で仲間と騒いでた父たちがやっとこちらに向き直ります。なんだまたやらかしたのか、とそんな顔をしていましたが正座している母と畳のを口に当ててメガホンのようにして「お!! 我が家の名物、ケツ叩きが始まるぞォ」と大きく叫びます。
一斉に笑い声と好奇の目がデブ少年に向けられますが、守助くんはそれどころじゃない様子。六年生でお尻叩きなんてされるのは守助くんくらいでしたし、ましてや幼なじみとは言え、同学年の女子生徒の前では絶対にされたくなかったのでしょう。しかし守助くんが何度ぐずっても母は譲りません。夏木ちゃんのお父さんも「別にいいよ」と建前上は守助くんを庇うような言い方もしておりましたが、ほとんど酔っているため酒を注ぎながらことの成り行きを見るような姿勢に、すぐに変わってしまいました。
「だってぇ…こいつが」
「言い訳しない!! 早くなさい!!」
地団駄を踏んでいる守助くんに、母がぴしゃりと言い放ちました。当時も今と変わらず女の子に手を上げるのは子どもの間で特に重罪だったのでしょう。(彼の場合足ですが)
守助くんはとうとう母の気迫に押されてのろのろと身体を動かすと母の膝元にお腹を付け、寄りかかるような体制になりました。小さな頃は身体ごと膝の上乗せるだけで済むのですが、六年生となってくると身体も大きいため膝を曲げてちょうど四つん這いの姿勢にならなければなりません。さっき履き替えたばかりの真っ白なブリーフがこちらに向くと一同がまた大きく笑いました。
「パンツ、邪魔でしょ」
「なんでぇ…なんでえ、やだ、やだ。イヤだってぇ」
守助くんの普段出さないちょっと甘えたような声がおかしいのか、可愛いのか、榊原さんたちも大はしゃぎの様子。
「なんだ、未だにママにパンツ脱いでペンペンされとんか?」
榊原さんが小声で僕と芳彦くん笑いかけました。実際守助くんの尻叩きは有名だったのでこの中でも見たことがない人はいないくらいだったかもしれません。しかしこんな大勢の前でというのは数年ぶり以来だったかと思います。僕ら兄弟でさえ間近で見ると守助くんに後でどんな目に合わされるか分からないため、お仕置きの時はできる限り部屋を移動するときが多いのです。こんなに近くで見るのは本当に久しぶりだった気がするのです。
「早く脱ぎなさい!!」
母の言葉にも四つん這いでいやだいやだとしぶとく抵抗している守助くんでしたが、それでもよっぽど恥ずかしいのか、喉から甘えた声を出して身体を揺すります。その度に彼の大福餅みたいなお尻が左右にぷりんぷりんと揺れるのですから、僕と芳彦くんは笑いを堪えるのに必死でした。
そうこうしてるうちに、富田くんが素早く身を動かしたかと思うと、守助くんのパンツを掴んで膝元まで素早く下ろしました。「おおー!!」と言う歓声と同時に、プリッとした守助くんの桃尻が露わになって、今日一番の笑い声が床の間に響き渡りました。
夏木ちゃんだけが目を押さえてキャーキャー言っておりましたが、酔っ払いのオヤジたちはそれも含めて余興に感じていたのでしょう。守助くんは首だけを富田くんの方向に向け、頬をリンゴのように赤く染めながら奇声を発しますが、もうそれ自体言葉になっていません。そして気の毒にもそんなデブ少年の丸出しのお尻に平手が打たれのです。
ぴしゃん、ぴしゃん、ぴしゃり、と。生々しい音が家中に広がり、母の平手によって守助くんのお尻の脂肪が波打ちます。守助くんは痛さなのか、恥ずかしさなのか藻掻くように手や足を動かしたりお尻を振ったりしますが、それでも状況は変わりません。四つん這いで尻を突き上げながら、う゛ーと唸るような低い声を上げたり、またその真横でニヤニヤしている富田くんを睨むのがやっとのようでした。
「夏木ちゃん。ほれちゃーんと見とれよ。また悪さしたら守助の母ちゃんに言ったればいいんやからな」
おじさんたちが口々にそう言って夏木ちゃんと守助くんの反応を交互に楽しんでいるようでした。こんな光景は滅多にありませんもの。酒のつまみになっているのでしょう。
しかし夏木ちゃんはもう一度守助くんのお尻を見た途端、目を見開いたかと思うとキャッと小さく悲鳴を上げて手で目を覆ってちゃぶ台に顔を伏せました。
「ヤダ!! サイテー!!」
「ん?どうした?」
「モリモリちゃんのコーモン様でも見ちゃったとかか?」
おじさんの声に夏木ちゃんは、守助くんのお尻を指さしました。その指の先にあるのは守助くんのでかっちりだけのはずですが…。おじちゃんたちも一人、また一人と気づいたのか面白おかしそうにちょっと顔を見合わせて含み笑いを浮かべました。お尻叩きされている守助くんに同情して、流石に大声で笑うのをよしたのかもしれません。富田くんや芳彦くんも一緒になって守助くんの後方に移動します。
それに最初に気づいたのは芳彦くんのようでした。芳彦くんは富田くんに耳打ちすると富田くんがブブーッと吹き出します。守助くんは怒りと不安の入り混ざったような顔付きをしていましたが母はお構いなしに尻を叩いているので守助くんは身動きがとれません。
僕も手招きされて守助くんのお尻側にようやく座り直しました。守助くんの赤みのかかったお尻が目の前にどすんと佇んでいる状態。その割れ目の下には守助くんの絶対に見られたくない肛門様までも見えているのですから(笑)、僕は食事をした後でよかったと本気で思ったほどです。最初はその肛門のことをみんな笑っているのかと思いましたが、どうやら違ったようです。穴のその下の方にお尻から何かはみ出ているというか、飛び出ている物体がありました。
榊原さんも僕らの反応に不思議そうな顔をし、それから屈んでそのはみ出ているモノを目にします。そして素っ頓狂な声でこう言いました。
「なんだ、守助ちゃん。おまたの間からタマタマこんにちわしとんで!!」
大真面目のその言葉に、子どもだけでなく大人までもが周りがどっと笑ってしまい、夏木ちゃんもお腹を押さえて笑い始めます。
「一瞬ナニかと思ったわw」
「ほんま。お尻の割にちっちゃなタマキンやなあ」
「ほれ夏木ちゃんも、男のどうなっとるかよう見ときぃw」
「いやよ!! きたないもん!!」
「ガハハハw竹内、おめえそれセクハラだで!!(笑)」
そんな騒ぎ声を遮ったのは、すすれたような小さな泣き声でした。見れば膝の上で守助くんは顔をくしゃくしゃにして大粒の涙を流しています。次第にその声は大きくなっていき、大泣きに変わりました。
おじさんたちは笑うのを止めてあたふたとして守助くん擁護に入りますが守助くんの泣き声は収まりません。
「あー、俺は知らねぇゾ」父は頭をかいています。
「アンタたち!!」
とうに尻叩きをやめていた母は酔っ払い集団を睨むと、守助くんを起こすと赤ん坊のよう抱きかかえて慰めを始めました。守助くんも珍しく強がらずに母の背中に手を回し、胸に顔を埋めて泣いています。おじさん達はさっきとは打って変わって守助くんが可哀想じゃないかと口を揃えるのですから、大人は都合がいい生き物だなと、僕は思ってしまいました。
結局その日は母は、守助くんを連れて寝室に向かい泣き止むまでずっとあやしていました。僕は守助くんのようにお仕置きなんてされたことがありませんが、同様にあんなに可愛がってもらったことは指で数えるくらいしかありません。
榊原さんたちも守助くんをからかうのは可愛くてしょうがないんだと、僕は子どもながらに分かっていたのかもしれません。その日は、そんな複雑な気持ちを感じた日でもありました。そしてそれはもしかすると、芳彦くんも同じだったかもしれません。

守助くんはその頃になるとクラスで完全に孤立してしまっていました。
以前のようにクラス内でも彼の相手をする子もいなくなり、守助くんも休み時間になると一人で教室から出て行ってしまうことが多くなった気がします。下級生のクラスに行って王様気取りでもしてるんだろ、とクラスメイトが嫌みったらしく言っているのを聞いたことがありますが、きっと本当のことだったと思っています。
ある時、体育の授業中のことです。僕らは運動場で一組と合同で授業を行っている最中のことです。体育の授業は内容によっては自由のものも多いため、その日は体育館近くの第二校舎の屋根を日陰で数人でおしゃべりを楽しんでいました。
すると小鉄くんが国彦くん源太くん、他にも1組のやんちゃグループを率いてこんな話を大声で話し始めたのです。
「なぁなあ、聞いてくれよお。六年にもなってさぁ、母ちゃんにケツたたきくらってるやついるんだってさ~」
「やばいじゃん、はっずかしい!!」
「それほんとかよ?」
「しかもケツ丸出しでピーピー泣いたらしいぜ?(笑)」
小鉄くんのわざとらしいくらいの大声で一気に、周囲の視線は彼らに集まります。ちょうど運動場から水飲み場に駆けてきた守助くんもその声に、少し視線を泳がせましたがどうやら聞こえていない素振りをしているようでした。小鉄くんは続けます。
「本当なんだって。父さんと宇津見のおじさんに聞いたからほぼ確定。ここにも目撃者がいるんだなあ」
小鉄くんは楽しそうに笑って、近くで固まっている女子グループに目をやります。その中にいた夏木ちゃんは照れたような表情でプイッとそっぽをむきました。
「佐藤(夏木ちゃんの名字)さんさー、お前そいつのケツ見たんだろー?」
「うっさいわね、変態」
「ギャハハ、マジ?」
「肛門と金玉の裏も見たんだろ?な?な?」
「ちょっと、男子だまりなさいよー!!」
「そうよいい加減なこと言わないでよね、へーんたーい」
「だまれよブース」
ふざける男集団に、迷惑そうな夏木ちゃん庇うように他の女子が口出します。
男子も負けずと言い返す辺りいつもの光景なのですが、夏木ちゃんが思わず、「別に見たくて見たわけじゃないわよ」と言ってしまったため、注目が小鉄くんから夏木ちゃんへと移りました。
「マジかよ、誰のケツなん?」
「エー、佐藤さん本当なのそれ?」
「佐藤さ~ん言っちゃいなよ」
夏木ちゃんはちょっと頬を赤らめながらちらりと横の水飲み場で顔を洗っている守助くんの背中を見詰めました。その視線は窮屈そうな体操ズボンを履いているそのお尻だったかもしれません。
それだけでも答えは十分でした。
「やべぇ、あのでぶのケツ?」
「てかモリブタって実はマザコンなの?」
「ぷっwやめろ聞こえるって!!」
守助くんはすぐそこにいましたが顔を洗っているため、聞こえているかどうか分かりません。すると小鉄くんがそっと守助くんの背後に忍びよりました。みんながみんな急にシンとなって小鉄くんの動きを目で追いました。なんだか期待の込めた目をその場にいる女子までもがしていたような、そんな不思議な雰囲気でした。
「なあ、お前が見たケツってさあー」
小鉄くんはそう言うと、守助くんの背後でしゃがみ込みそして彼の体操ズボンに手をかけ--。
彼が何をするかもう僕らは気づいていたかもしれません。けれど止めるものはいませんでした。僕もゴクンと唾を飲み込みます。
「………こーんなのだったかよ!?」
小鉄くんのその悪意の満ちた陽気な声と同時に、守助くんのズボンは膝元まで下がりました。いや、ズボンだけじゃありません。ピチピチのズボンのせいでブリーフごと膝まで下りてしまったのです。
運動場の隅で女子の悲鳴と男子の馬鹿笑いが響きます。だって、顔を洗って屈み越しになっていたデブ少年が、運動場の隅で下半身丸出し。更にはその特徴のでかっちりをその場全員に突き出すような格好になっているのですから。(笑)
守助くんは一瞬何が起こったか分からない様子で戸惑いながらも、慌ててパンツとズボンを腰まで引き上げます。その顔は当然ながら怒りと屈辱の色で赤く染まっています。
「見た?見た?」
「見たってやべぇ、ケツでっか!! うんこつまってんじゃね?w」
「おぇえ……給食前にでぶの生尻見ちゃったんだけどー」
男子や女子が固まってわいわい騒いでます。幸運にも前は見られていなかったのでしょが、もう12になる僕らにとってはブリーフさえこんな運動場で晒されたら死にたくなるでしょう。
「てめぇら…おい!!」
守助くんは拳を握りしめ、振るわしながら怒りを露わにしました。これが数年前であれば彼の迫力にたてつく者は誰もいなかったかもしれません。
しかし、今この場で怯えているのは、一部の女子と僕かもしれないとその時僕はふと思いました。彼のまん丸のお尻を見た生徒達は半ば嘲るように笑っているだけなのです。
「誰がやった!! 誰だ!! ぶっころしてやる!!」
守助くんは構わず吠えました。運動場の反対側にいる先生はこちらにはまだ気づいていません。
「なんだー、どうしちゃったんだよ~モリスケくんそんな怒っちゃってさぁ。クラスメイトなんだから仲良くしようぜ~んん?」
まるで今ことを知ったかのような口ぶりで小鉄くんが輪の中からまた出てきます。守助くんは小鉄くんを精一杯睨み付けました。
「てめぇか!!」
「なんだよ?ナンカアッタノー?」
「ざっけんな…てめぇがやったかって聞いてんだよ!!」
「だから、何をって。いってぇ、いちいち服掴むなってぇー!!」
「じゃあ誰だよ!!」
興奮する守助くんは小鉄くんに殴りかかろうとしますが、小鉄くんは相変わらず動じない姿勢を見せています。
「誰かがさぁ、守助のズボン下げたら、でかパンも一緒に下がっちゃったらしいぜ?」
まるで他人事のように言う源太くんの声に、小鉄くんは「うっそー」と楽しそうに声をあげます。
「ごまかすんじゃねぇよ!! てめぇがやったんだろ!? ア!?」
「いてててて……俺じゃねえって、てか守助くんそれ本当なのか?まーたお尻丸出しになっちゃったのかぁ?」
「な、な…なってねぇよ!!」
「だったら怒らなくてもいいじゃんかよ。怒る理由なんてないだろう?」
まるで小鉄くんの言葉の誘導でした。守助くんが自分からお尻を見られましたなんて言えるわけがないんですから。守助くんは突き飛ばすように小鉄くんの服を放すとその場の全員を睨み付けます。もう笑っているものはいません。みんなちょっととぼけてるような、知らん顔をするものがほとんどでした。
守助くんの瞳は怒りや悔しさで燃えていましたが、その莫大な屈辱のせいか、その瞳の奥には光るものがありました。最悪それにいち早く気づいたのも目の前にいる小鉄くんだったのです。
「あれっ、あっれれ?守助くぅん、ちょっと泣いてないか?」
「泣いてねえよ!!」
守助くんはそう言ってもう一度顔を素早く洗いました。最早僕らからすれば涙を隠しているようにしか見えないものでした。悪態を付きながらもその場を立ち去る守助くんの巨体はどこか寂しそうなものでした。それは守助くんへのイジメが始まる前兆だったと思います。

脱糞パンツ

小鉄くんは散々守助くんのおちんちん遊びを終えると、やっと一息ついたところでさっき脱がしたばかりの守助くんのでかパンを拾い上げました。そして、それを広げると目をまん丸くさせて、オェエエと叫んで舌を突き出しました。見ると白のブリーフの内側は所々黄ばんでいます。
「んじゃこれぇ!!…ったねぇえ!!」
「ひょっとしてさ、電気あんまでオマル我慢できなくなっちゃったのかぁ?(笑)」
源太くんたちも横でそう言って笑いを誘います。正直僕としては守助くんの汚れてないブリーフなんて見たことがなかったので、区別なんて付きっこなかったですが(笑)。けれどいつもよりほんの少しばかり黄色の染みが広がって見えたことは気のせいでなかったはずです。
「んなぁなァ、女子ももっと近くで守助のチンチン見ろって~。おもしれぇゾ」
「…えっ、待ってよ!!あたし、絶対嫌だから!!」
「ええや~ん、生のチンコなんて普通見れんやろぉ?チャンスやってえ」
「見たくないわよ!!そんなもん、汚い!!…って、ちょ…ちょっとぉ!!引っ張らないでってばァ!!」
既にほとんど抵抗がなくなった守助くんを源太くんに任せ、手の自由になった国彦くんが進んで女子の腕を引っ張って守助くんの股間の前に座らせようとします。女子はみんな悲鳴をあげてはいるけども、正直あまり嫌がっているようには見えませんでした。いつも女子に嫌がらせばかりする守助くんが初めていたぶられている様子を見て、みんな内心成り行きを楽しんでいたのかもしれません。
「待てって、逃げんなってー」
「やめてよ!!もう見たからいいじゃないのよ」
「ちっこいから分からんやろォ?こっちのが見やすいって(笑)」
そんな彼らの楽しそうな会話が繰り広げられる中、守助くんが黙ってそれを聞き続けられる訳がなく徐々に顔をくしゃくしゃにしていきました。彼にとどめを刺したのはやっぱり小鉄くんでした。
「モリスケ~?どーすんだ?おめえのちっちゃい赤ちゃんチンチン、これから女子全員にじーっくり観察させられちゃうみたいだぜー?」
「…うっ、ぐっ、や…だ、い、い、やだ…」
「泣くなよぉ?大丈夫だって、ちゃーんと女子全員にお前のチンポコ拝ませた後にさ。ちゃんと指でピコピコ弾かせて遊んでやっからよォ、もちろんここにいる全員でな(笑)」
小鉄くんのその言葉が真意だったかどうか、その時はまだわかりませんでした。
しかし小鉄くんの言葉には妙に迫力があるせいか、近くにいる僕でさえもその台詞を聞いて戦慄を覚えてしまいました。小鉄くんが女子全員にその行為をやらせている姿が容易に想像できてしまったからです。もちろん、当人の守助くんにとってはそれ以上の衝撃だったのではないでしょうか。
その言葉を引き金に、守助くんはとうとう爆発したかのようにウワッと声を上げて大泣きしてしまったのです。みんな始めて人前で泣く守助くんの姿にピタリと動きを止め、不安げな顔付きになりました。小鉄くんだけはエッエッと満足げに笑みを浮かべています。
「おいおい~お前らイジメ過ぎだろォ?守助クンが泣いちゃったやんか~」
あくまで小鉄くんは第三者目線で嬉々としてそう言って、源太くんに両腕を放すように指示しました。守助くんはその場に裸で座り込み、股間を覆うようにして丸くなると、声を上げて泣きながら大量の涙をこぼしていました。
それはまるで家で母に怒られた時の守助くんを見ているようでした。逆に言えば外で彼のこんな姿を見たのは何年ぶりかと感じてしまいます。
それから僕は、もしかしてもうパンツを返してあげるのかなと、内心ドキドキしながらもどうしてか半ば残念な気分になっていました。しかし小鉄くんはまだ満足していない様子で…。
「本当はかわいそうだから返してやりたいんだけどさあ、でもこれって約束じゃん?だからしょうがないよなあ」
小鉄くんはそう言うと足下で砂まみれになった守助くんのくしゃくしゃのズボンを拾い上げて、守助くんの着ていたシャツ…パンツごとを丸めて強引に国彦くんに持たせました。それから悪戯っぽくニカッと笑って
「そんじゃ、俺らはかーえろっと」と言いました。
ポカーンとして立ち往生する僕ら。蹲って泣いている守助くんを気にかけながらも、僕らは何とも言えない表情になります。
「ほら、みんなも帰ろうぜ。俺腹減っちゃってさー。あ、そうそう今日おれんちこねーかー?」
小鉄くんは何事もなかったかのように国彦くんと源太くんと話しながら、神社を去って行きます。続いて女子。守助くんの傘下の子分達。全裸で蹲っている太った男子を哀れんだ目で見る子もいれば、もう完全に馬鹿にしている表情の子。それは色とりどりでした。また一人、また一人と、子供達はその場を後にしていきました。

僕も実は帰ろうと誘われて途中まで帰宅をしかけていたんですが、やっぱり弟ですし多少なりとも罪悪感があったのかもしれません。踵を返して、僕は神社に戻ってました。守助くんは同じ位置で、同じ姿勢で蹲っていました。どうやって慰めたらいいのかわからずあたふたしていると、
「……なに……見でん……だ……よ……」
守助くんは涙ぐんだ声でそう僕に言いました。泣きはらした顔を上げて、僕を睨み付けます。
「さ、さっざど……よごぜ!!」
「……え?」
「ズボンに決まってるだろっ!!」
守助くんがもの凄い勢いで怒鳴りました。戸惑いましたが、彼の気迫に押されて慌ててズボンを脱いで渡してしまいました。しかし幸運にもぼくはその日、自分でもきつめの半ズボンを履いていました。ですからそれが守助くんのお尻のサイズに入るわけがなく…。
守助くんはよたよたと立ち上がると、寺の建物の影でズボンに何度か足を通そうとしておりました。しかしいくら力んでもズボンは太股のところで止まってしまいます。死ぬほど隠したい巨大なお尻や、小鉄くんに嫌と言うほど弄られたおちんちんを隠すことはできないようです。
「な……な…んなんだよぉコレえッ!!!こんちくしょおぉお!!!」
守助くんがとうとう苛立ちの声を上げました。そうして彼が試行錯誤しているうちに、神社にいくつかの人影が現れました。すぐに同じ小学校の生徒達だと僕には分かりました。
校則で帰宅時に神社への侵入は禁止されておりましたが、何人かの帰宅生徒がたまにショートカットでここを通るのを僕は知っていました。何より決闘を見学に来てしまった僕が言うのもおかしいでしょう。

慌てて僕は守助くんにそれを伝えました。するとズボンが上がらない守助くんは慌ててそのまま走ろうとするのですが、ズボンに足が突っかかっているため、ヨチヨチ歩きになってしまっています。
パンツ姿の僕が言うのもなんですが、前も後ろも丸出しの状態でヒヨコ走りするデブ少年の姿ほど可笑しいものはありませんでした。僕は笑いを堪えながらも守助くんを連れて逃げるようにして反対側の舗装されていない山道に出ました。そこで守助くんは僕のズボンを僕に投げ返してきました。
「こんなもん…なんで履いてんだよ!」
今度こそ守助くんは素っ裸です。どうするかと思いきや、守助くんはなんとフルチンのまま、ランドセルを股間に押しつけながら走り出したのです。
その光景はというと、十一年間生きてきた僕が今まで見て来た中で一番悲惨で、滑稽なものでした。なんせ太っちょのガキ大将が全裸でお尻や胸、腹をゆっさゆっさと揺らしながら山道を下っていくのですからね。園児だってこんなみっともない真似はごめんでしょう。それを小学校の最高学年の少年がやるのだから凄い光景なのです。
たまに人の声がすると、守助くんは警戒するように木の陰に隠れては、辺りをキョロキョロと不安そうに見渡し、僕に人が来ないかどうが尋ねてきます。学年は同じでも、日常で兄の守助くんに頼られたことがなかった僕はそれだけで優越感に似た感情を覚えました。守助くんはきっとそんな余裕さえなかったんだと思いますがw
「な、なあ…いねえよな?だ、だれも……ほんとに…来てねえよな………」
守助くんの焦りには悪いですが、僕は何とか口元に浮かび上がる笑みを隠しつつ、一応は真剣に辺りを確認しつつ、全裸の守助くんの誘導に務めました。
しかし、山道を抜けると田んぼが並んだ広い路地へたどり着いてしまい、守助くんの肥えた身体を隠す木々もほとんど見当たらなくなってしまいます。家までは目の前の道を真っ直ぐ走るだけでしたが、まだ数百メートルはありました。みんなで喋っていればすぐに辿り着く距離でしたが、ただでさえ足の遅い守助くんが走っても数分はかかってしまいそうです。
登下校の生徒達はちらほら帰路を並んで歩いていましたが、誰一人としてこちらに気づいた様子はありません。
守助くんは側の大木に身を隠しながらしばらく辺りを窺っていましたが、意を決したように大きく深呼吸したかと思うと飛び出して、全速力であぜ道の上を駆け出しました。周囲にできるだけ人がいない瞬間を見計らって飛び出たしたと言えど通学路です。数人の子供にはどうしても出くわしてしまいます。誰もが全裸でランドセルを背負って走り抜ける少年の姿を見ると、一瞬目をまん丸くさせて仲間同士顔を見合わせ、どっと笑い声を上げます。
それがガキ大将の守助くんと認識している子がどれほどいたかわかりません。乱暴者の守助くんは小さな田舎町では有名人でしたので、体型と背丈で気づいていた子も何人かいたはずで。
途中でもちろん大人の人にも会いましたが、呆れたように笑ったり「こら!」と冗談っぽく叱ったりする人だけでした。思えば四年生くらいまで守助くんは素っ裸で外なんて平気で歩いてましたし、大人から見ればたかが二年なんて変わらなく思ったのかもしれません。
幸か不幸か………あの守助くんがまさか素っ裸にされてストリーキングさせられているなんて誰も思わなかったようでした。
守助くんは家につくと早速家の中に猛ダッシュして入り、急いでパンツを履くと床に頭を付けてその場でまた声を上げて泣き始めました。先に帰ってきてテレビを見ていた芳彦くんは、全裸で帰ってきた兄を見て目をまん丸くさせておりました。僕もやっと今日の出来事の実感が湧いてきて、初めて守助くんに同情の視線を投げかけました。しかし僕と芳彦くんが、守助くんの近くに寄ると守助くんは真っ赤な目をこちらに向けて「見てんじゃねえ!!!」と力強く怒鳴ります。僕らに見下ろされて馬鹿にされていると思ったのかもしれません。いつものように暴力を振るう勢いすらない守助くんが、何だか可哀想に思えて仕方がありませんでした。

そう言えば、家での守助くんですが、よくどんな感じか聞かれますが、本当に自由です。朝はいつだって起きるのに時間がやっとかかります。母の怒鳴り声を四度くらい聞いてからやっと身体を起こして、太鼓腹とまん丸の尻をぼりぼり掻きながらやっと食卓にやっくるのが日課です(笑)。
あの事件の翌日も、守助くんが朝食にとりかかる頃には、僕と芳彦くんは既にランドセルの中身を再チェックして登校の準備を整えておりました。守助くんは朝便を快適に終えるとまた寝転がろうとして、母に無理矢理立たされています。幼稚園の時からずっとコレなので僕と芳彦くんは驚きもしません。意外だったのは守助くんは昨日散々泣いた後に一眠りして、その後は特に堪えた様子なく普段通りの傲慢な態度に戻っていたことでした。来年中学になる少年が家から数百メートル先の神社から全裸で走って帰宅。そんなとんでもないことを成し遂げた後のこの開き直りは、当時の僕にはもう一周回って尊敬に値してしまいそうでした。

予想はしていましたが、その日僕と芳彦くんは学校に向かう途中で様々な学年の子に声を掛けられました。山道を登りながら、登校中の子どもはみんな守助くんの話で持ちきりでした。昨日神社にいた少年達の間からデブ少年の全裸帰宅の噂がとんでもない速さで広まっていたようでした。「モリくん、フルチンで帰ったってマジなんか!?」
「ちんちん見たの?」
「なんかさ、花岡くんにボコられて女子もいる前でちんぽこ丸出しにされたらしいぜ、んで全裸で大泣きしたんだってよ(笑)」
「あのモリくんが!?ウッソだろ!?」
守助くんは年下の間で特に恐れられている存在であったせいか、その出来事を半ば信じられない顔付きで聞いている少年は数少なくありませんでした。
僕は守助くんを気遣って彼らの質問に曖昧に答えていましたが、芳彦くんはその話には至極ノリノリで、当事者でないのに何故か自慢げに兄の失態を語っています。芳彦くんは僕に似て大人しいタイプでしたが、僕と異なって守助くんの嫌がらせにも滅多に泣くことはありませんでした。我が儘で天真爛漫な守助くんとは違い、昔から頑固で我慢強い性格のタイプの持ち主なのです。
「俺もいたわ~、しっかもさ寝小便暴露されてやんの、アイツ」
「エ゛ー!! たまに布団干してあんのさ、あれ信二くんかと思っとったわ~w」
五年生の中でもやんちゃの一路くんの言葉にみんなが笑います。
「もう、何で僕なのさぁ」
僕は情けないことに普段から五年生にからかわれることも少なくはありませんでした。昔から守助くんに虐められていたせいか気の弱いイメージが定着してしまっているようでした。
「信二くんなわけないよ。あのデブに決まってんじゃん」
芳彦くん当然と言った口ぶりで僕を庇ってくれました。こう言うときの芳彦くんは本当に頼もしく思えます。実兄を批判して義理兄を助けるなんておかしな話ですが、幼い頃から毎日一緒の芳彦くんは弟と言うより親友みたいなもので
した。
「うげぇ、マジかよ。まあなーとなく気付いてたけどよ。んでもさぁ六年でオネショとかありえないよなあ」
「じゃあ今度、この中の誰かがモリ豚に聞いてみるってのは」
「俺、殴られん嫌やし。お前が聞けってー」
いつにも増して楽しそうな彼らの会話を聞いているといつの間にか古びた小学校の校舎に辿り着いていて、僕らは下駄箱で上履きに履き替えてから別れました。教室に入るとそこでも賑やかな生徒達が目に入ります。
「ああん、チンチン見ないでェ!!」
黒板の前のところで小鉄くんはクラスメイト二人に肩を組まれていました。小鉄くんはオカマみたいな口調で叫んで周囲の注目を浴びています。彼の周りにはいつものようにグループの輪ができているのですが、今日はどうやら女子も数人混ざっているようでした。
「ほれ~、これでも喰らえ!!」
輪の中にはいつものように盛り上げ役の国彦くんも中心にいます。彼は小鉄くんの股間にめがけて、軽く指ぱっちんをします。すると小鉄くんは「いやああん、ボクのおちんちんがァあぁッ!!」とか「ダメェエエ!!」とか次々とガラスを引っ掻いたような声を上げて周囲の生徒を笑わせます。
内容を聞かなくとも昨日の実演をしていることは容易に想像できました。僕は黙って席に着こうとしましたが、そこでちょうど右隣の守助くんの机を見てギョッとしました。守助くんの机の上はびっしりと鉛筆で悪口や落書きが書いてあったのです。守助くんにとってタブーである『デブ』とか『豚』はもちろん『ミニチンポ』『寝小便豚』との彼にとって酷なワードもビッシリと羅列していました。そしてその中央には『ちんぽこ丸出し帰宅 おめでとう』との文字があり、その横には肥満体型の少年の肖像画が描かれていました。絵の少年はパンツ一枚身につけておらず、股の付け根にはその体型に不釣り合いな小さな性器の絵が丁寧に描かれています。
「それやったの、小鉄たちだよ」
近くで席について座っている数人の男子が、僕にこっそりと教えてくれました。
「流石にちょっとやり過ぎだよな」
兄弟の僕を気遣って言ったのか、本心で言ったのか分かりませんでした。しかし彼はそれだけ言っただけで興味なさそうにそっぽを向いてしまいます。まだ守助くんは教室にきていません。僕はランドセルから筆箱やノートを取り出して引き出しにしまい。それから守助くんの机の上の惨状にもう一度目を移しました。消しゴムでそれを消すことは簡単でしたが、目立つ行為はしたくはありませんでした。小鉄くんたちに何か言われるに決まってますし、運悪く守助くんが教室に入ってきたらまるで僕がやったかのように思われてしまいます。
しかしそれと同時に、守助くんがこれを見たら一体どんな気持ちになるのだろうと別の感情が僕の中で渦巻き始めておりました。それは子どもの好奇心から来る一種の興奮に近い感覚だったかもしれません。高鳴る心臓の音を感じながら、僕は守助くんがどんな反応をするのか想像せずにいられません。罪悪感はありました。しかし実際守助くんはこの手のイジメで、大人しい女の子たを何人泣かせてきたことでしょう。先生に注意されても全く反省せずに繰り返し行うため、母が学校に呼ばれたことだって何度かありました。確かに彼の机の落書きの内容は見過ごせないものがありましたが、彼の今までの非道な行いからすればそれに見合った報復…いやもしくはそれ相応のレベルにさえ達していないのが本音です。
それから数分後、守助くんはいつものように遅れて学校に教室に入ってきました。守助くんを見ると小鉄くんたちは話すのを止めて彼に注目します。守助くんは彼らに一つの視線も投げかけず席に向かいます。そして予想通り机を見ると立ち止まり、体を硬直させました。
守助くんは拳を固く握りしめ、丸い頬をぶるぶると震わせておりました。いつもならこの場で怒声を放つ彼も、今日ばかりは唇を噛みしめてランドセルから筆箱を取り出します。そして滅多に使わない筆箱が空のことに気がつくと、僕の筆箱を乱暴にひったくって消しゴムを取り出します。僕の筆箱が音を立てて床に落ちて鉛筆がバラバラになりました。近くにいる女子が疲労のを手伝ってくれましたが、落書きを消す守助くんを助ける生徒は誰一人としていません。
初めて見る守助くんの必死な姿を楽しんでいる生徒もいましたし、彼の怒りに怯えている女子生徒もいました。僕は守助くんが落書きを消し終えてから今にも小鉄くんに殴りかかるのではないだろうかと気が気ではありませんでした。
しかしその小鉄くんは自ら守助くんの席にやってきたのです。
「よお、モリモリスケくん!おはよう~今日も天気がいいですなあー」
やけに明るい声を出して小鉄くんは守助くんのふとましい肩をポンポンと叩きます。そして今その落書きに気付いたようにわざとらしく声を上げました。
「うっわ!! なんだぁ、この落書き!! ひっでえなァ!!? 誰がやったんだよぉ」
守助くんが小鉄くんをギロリと睨みました。小鉄くんは怯みません。
「うはっ。なんか寝小便豚とか書いてあるんだけど、ひどくね!!? つーかコレ誰のことなんだよぉ、なァ…モリスケくーん?」
「…んめェ!! だ、黙りやがれッ!!」
守助くんがとうとう小鉄くんの襟を掴んで近くに引き寄せました。周りの女子から悲鳴があがりますが、小鉄くんはそんな状況でも「まあまあ」とヘラヘラと笑ってこう続けます。
「でもカワイソウだよなぁ、こんな落書き書かれたらさー。まるでモリスケくんがクラスのみんなにイジメられてるみたいだよなァ?」
イジメられている。その言葉を聞いて守助くんは頬を紅潮させました。プライドの高い守助くんとしては絶対に人から言われたくなかった言葉だったんでしょう。しかもクラスメイト全員の前で。
「……もういっぺん言ってみやがれ!! 誰がイジメられてるんだって!? あァ!?」
守助くんは鼻息を荒くさせながら更に小鉄くんの顔を引き寄せて、もの凄い形相で睨み付けました。背が低く丸顔童顔を生まれ持った守助くんでも、ここまで鶏冠に来ていると迫力が並大抵のものではありません。あの国彦くんたちでさえ心配そうに事の成り行きを見詰めていました。しかしここで怯まないところが小鉄くんのすごいところです。
「いちいち近くでうっさいなあ、くっせえツバ飛ばすなってのー」
「…ッ!? なんだとこらァ!!」
申し遅れましたが守助くんこそ町一番の問題児として有名でしたが、小鉄くんも当時はやんちゃな性格においては守助くんに引けをとっていなかったかと思います。ただ小鉄くんの場合は大人の前では建前上礼儀正しくしていたこと、いざという時には身を引くずる賢さもあってか彼の存在があまり目立っていなかっただけかと思います。(もちろん守助くんの悪戯の内容が常識の範囲を逸脱し過ぎてしまっていたのが一番ですが)その小鉄くんを支える狐顔の国彦くんは何かとばかりにキャンキャン騒ぐようなクラス一の盛り上げ役(お調子者?)として知られていましたし、国彦くんとは正反対に無口で無愛想な表情をいつもしている源太くんは、まるで中学生に見えるようながっちりとした体躯の持ち主で、年上でも彼にケンカを売る子は見たことがなかったくらいです。まあでもそんな彼がチビの小鉄くんには頭が上がらないのですから、周りから見るとますます小鉄くんの偉大さが引き立てられるのでしょう。
話は変わりましたが…そんな小鉄くんらグループが守助くんの弱みやコンプレックスを知ってしまったので、守助くんにとっては相当都合が悪かったかもしれません。大泣きした守助くんは口が裂けても昨日のことは大人には話さないでしょうし、ある意味小鉄くんにとっては守助くんを陥れる最高のチャンスだったかもしれないのです。
「こいつ、ぶっ殺す!!!」
守助くんが小鉄くんに殴りかかろうとしたその時、ちょうど始業チャイムが鳴りました。しばらく守助くんは拳を振り上げたままでいましたが、先生が来ると同時に腕を下ろすと小鉄くんを思い切り突き飛ばしました。体重の軽い小鉄くんは軽くよろめくと床に尻餅を付き、痛そうに打った尻をさすっています。
小鉄くんの歪んだ顔を見ると、単純な守助くんはそれだけでちょっと満足したようにニヤリと笑い、どかっと重い腰を下ろしました。クラスメイト全員の前であの小鉄くんを突き飛ばしたことは、守助くんにとってはさぞ気持ちいいものだったかもしれません。太い腕を組んで自分の強さを周囲にアピールするかのようにフンと鼻で笑っています。どう足掻いたって昨日の全裸帰宅の事実は消えないというのに、と僕はさっきは守助くんを同情した気持ちをもう忘れて、半ば呆れた気分になっていました。

小鉄くんは数名の女子に体を支えて起こしてもらっていました。ちょうど教室に入ってきた担任の金子先生は緊迫したクラスの空気に気付いたようでしたが、どうせ守助くん絡みのいつものことかと思ったのでしょう。軽くため息を付くだけで特に何も言いません。
突き飛ばされ小鉄くんも意外にも言葉を発さずに、ニヤニヤ笑っている守助くんの横を通って自分の席に大人しく戻ります。国彦くんと源太くんは相変わらず心配そうに小鉄くんを見ていましたが、号令が始まると真っ先に前を向きました。
担任の金子先生は体育会系の若い男の教師で、子どもには性別年齢関係なく厳しいタイプの人でした。金子先生は二年連続僕と守助くんの担任でしたが、その理由は言わずもがなです。守助くんは教室で毎日問題を起こしていましたし…最近は減りましたが一日一人は女の子が泣いたり早退したりしていた事だって珍しくありませんでした。三年生の時に担任の優しい女の先生が交代したこともありますが、僕も子どもなりにも原因は何となく分かっていたつもりです。
今と比べると体罰だって当たり前だったし、クレームもほとんどない時代でしたが、それでも度を過ぎる守助くんの行いに黙っていられない保護者は毎年毎年後を絶ちませんでしたもの。
金子先生は淡々と本日の連絡を済ませると、朝の会を始めました。
いつもと同じ一日が始まるかと思いきや、そこで事件は起こります。金子先生は教壇の中に入っているあるものに気がついて、唐突にそれを引っ張り出しました。
「なんだァ、これは…???」
その白い物体がナニか分かったとき、途端にクラスが爆笑の渦に包まれます。なんと金子先生が引っ張り出したのは一枚の汚れたブリーフでした。どうやら教壇の引き出しの中にそれは押し込まれていたようで、今やクラス中の視線の的になっております。金子先生の手によって。
「面白くもなんともないぞ!!誰の悪戯だ!?」
金子先生は図太い声で笑っている生徒達を叱責します。いつもはその迫力でみんな静まり返るのですが、今回は目の前のブツがブツだけになかなか笑い声が止まることはありません。金子先生がもう一度声を張り上げてやっとクラスが静まりかえります。
「誰がやった!!」
とは言われても、だいたいこんな悪戯をするのは守助くん以外には通常はあり得ません。あの鬼の金子先生の引き出しに、ダンゴムシを大量に忍ばせたり、ネズミの死体を押し込めることができるのも彼しかいないのです。
極めつけにその通常よりビックサイズのブリーフを履いているのは、どう考えても守助くんしかいないわけで…。ある意味守助くんにとって逃げ場がない状況でした。小鉄くんがさっきやられた姿を敢えて金子先生に見せた意味を、僕はようやくその時に分かった気がしました。
「…正直に言えって言ってんだろう!!」
金子先生は教壇を拳で叩きつけました。僕はやってもいないのにそれだけで怖さで震え上がってしまいそうでした。他の生徒も同じ様子で、さっきまでの賑やかさが嘘のようにシンと静まり返っています。
ただ金子先生も鼻からみんなを疑っているわけではないようで、その目は守助くんを真っ直ぐに捉えています。(ある意味この状況では致し方ないのですが)守助くんはいつも悪戯をしたときは目を反らしてニヤニヤしていますが、今日はもちろん顔を真っ赤にさせて俯いていました。他の生徒の視線も守助くんに集まっている気がしました。
そこで間の延びた声が教室に響きます。
「ねえーセンセー」
小鉄くんでした。と言うよりこんな状況で言葉を発することができるのは、守助くん以外には彼しかいないでしょう(笑)。
「なんだ?!」
金子先生は鋭い瞳を小鉄くんに向けます。小鉄くんは特に怯んだ様子もなく、「あのぉ、そのパンツ……オシッコ付いてませんか?」と、遠慮がちに言いました。
その言葉に教室の雰囲気が少し変わりました。金子先生は怖い顔付きを和らげ、口元にちょっと意地悪な笑みを浮かべて「本当だな」と言って初めて笑いました。その反応に安心した生徒たちも少しずつざわつきます。
「センセー、名前書いてないんですか、それ」
今度は国彦くんがおかしそうに訊ねました。すると金子先生はパンツを広げながら色々な角度で眺め、それから何を思ったのかパンツを裏返しにしました。
所々汚れていてもまだ白い部分もあった布も、裏返しとなると完全に黄色や茶色の濁った色が遠くからでもはっきりと分かります。
「うわ~!! 糞と小便まみれじゃん!!」
小鉄くんがそう言うと吐くまねをして、クラス中が爆笑に包まれます。中には「オェエエ!!!」と吐く真似をしている子もいました。怒りなのか、恥ずかしさなのかそれとも両方なのか、隣の席の守助くんは拳を握りしめて小刻みに体を震わせていました。
「でも、恥っずかしいよなあ、だってあれやろォ!? そいつは脱糞パンツ履いて毎日登校してるってことやろぉ!?」
「脱糞パンツって言えてるw」
「あれじゃね?毎日でかいケツ揺らしながら、糞プリプリ垂れ流して歩いてん
じゃねーのソイツ」
国彦くんも調子付いて、お尻を左右に振って「ブリッブリッ!!」と下品な声を上げて周りを沸かせます。
「ギャハハ!!クッセークッセー、てかそいつの席からここまで臭ってきそうだわ~」
国彦くんの言葉に、守助くんの近くの席の男女が顔をしかめると、机と席の位置をできるだけ遠くに移動させました。守助くんは俯いて唇を噛んだまま何もいいません。
「コラー、静かに。そんなこと言ったらこのパンツの持ち主が可哀想だろう」
金子先生も口元を曲げながら、珍しく大人しくなっている守助くんをチラリと見ると満足げにブリーフの両端を手に持ち、パン!!パン!!と音を立てて広げました。またもや生徒の歓声が湧き上がる中、なんと金子先生は黒板の上部についたレールの上に守助くんのブリーフを引っかけたのです。しかも、ちょうどシミの集中した部分がクラスに向けられるような位置で。
女子が軽く悲鳴を上げて、男子生徒からはけたたましい笑い声が響いています。朝の会でこれほど騒がしくなったのは初めてかもしれませんw
金子先生は一端みんなを静かにさせると、「パンツをここに入れたってことは、みんなに見てもらいたいって言ってるのと同じだもんなァ?」と、守助くんの方に目をやりながら言いました。小鉄くんもまさか守助くんのパンツが黒板に貼り付けられるなんて思ってもしなかったのでしょう、もう笑い声を抑えるのに必死な様子でした。席の近い国彦くんと源太くんは笑いすぎたのかヒーヒーと苦しそうに息を整えています。
「そんなに自慢のパンツを見て欲しいんだったら、お望み通り今日一日みんなに見てもらおうな。その…花岡なんつったっけ?」
「脱糞パンツ!!」
小鉄くんのその言葉にどっと生徒達が吹き出しました。
その後、一時間目の授業は国語でしたが、誰もがみんな授業内容なんて頭に入っていなかったと思います。金子先生の背後で広げられたブリーフは恥ずかしい部分を強調させながら、窓からたまに流れてくる風によってひらひらと揺れているわけなのですから。授業中守助くんは一言も発さず、教科書やノートすら開かずに無言で拳を握りしめ、何もない机をひたすら睨んでいました。金子先生は守助くんのそんな様子を気にも留めず、授業を続けていたかと思います。

パンツ下ろし

普段は静かな神社に、守助くんのまだ声変わりのしていない焦りと恐怖の入り交じった叫びが響き渡っていました。守助くんは両腕を両サイドから源太くんたち二人にガッチリ組まれているせいで身動き取れずにいました。何度もそれを振りほどこうとしていましたが、例の電気あんまによって体力を消耗し切っていることから、まともな抵抗はできない様子でした。小鉄くんはニタニタしながら無防備なデブ少年の目の前まで歩き、彼の目の前で屈みます。そして、ニヤッと笑うと彼のブリーフの両端を両方の手の指先で摘まみました。
「…や………やめろぉ…」
守助くんは恐怖と焦りの入り交じった声を発します。その表情は僕が立っている位置からは見えませんでしたが、だいたい想像がつきます。
「…嘘でしょ?」
女子の数人の声が聞こえました。さっきの小鉄くんの過激な発言は周囲を湧かせておりましたが、あまりにも現実味がなかったためみんな笑っていたんだと思います。だってまさか、あの守助くんを本当に素っ裸にしようとしてるなんて、思いもよりませんし。しかし、次の瞬間。小鉄くんは声を上げました。
「おっしゃ~!!んじゃ、みんなしっかり見とけよぉ~~!!それでは、守助くんのチンタマ公開十秒前~!!」
小鉄くんがカウントを始める。気づいた国彦くんと源太くんも楽しそうに声を揃えた。嘘だよね?と僕は心の中で何度もその言葉を反芻させました。やんちゃな小鉄くんでも流石に女子や下級生のいる前で、こんなこと…。五、四とそのカウントは徐々に少なくなります。半ば半信半疑だった守助くんもカウントに徐々に焦り始めたのか、興奮した口調で小鉄くんに叫びました。
「てめえ…おい!!…ま、まじで…そ、そんなことやったら…絶対ぶっコロす!!!!……ぜ、ぜったい…殺して…や、やる…から!!」
守助くんは何だか最後の力を振り絞って、全身全霊で吠えているように見えま
した。しかしその言葉はいつになく震えていて語尾に力がありませんでした。半ばパニックになったな表情で周囲を不安げに見渡す守助くんのその瞳は、助けを請うような縋る色さえ含んでいました。
そんな守助くんが始めて見せる表情も気にせず、三人組は益々ヒートアップしていきます。
「ウオーッ!!これさ、ひょっとして歴史的な瞬間来ちゃうんじゃね!?w」
「アッハ、小鉄くん。マジかよ!?マジでやっちゃうんか!?」
国彦くんと源太くんも守助くんを押さえつけながらはしゃいでいます。その様子は今思えば、これから刑を執行される死刑囚のようでした。そして誰もが見守る中、その残酷な公開処刑が行われたのです。
「……にーっ、いち…!!……でわ~みなさんお待ちかね!!」
小鉄くんは興奮した口調でそう言うと、改めて周囲をなめるように見回し、それから守助くんに向き直り、その指先に力を込めました。
「ブタのケツとチンコ大公開(笑)!!そんじゃ、イッキマース!」
「…だッ、ダメ!!!」と叫ぶ守助くんの意思を無視して、楽しそうな「せーの」
と言う小鉄くん達のかけ声が上がりました。次の瞬間、守助くんの真っ白なブリーフは彼の太い膝まで一気にズリ下がったのです。

僕はちょうど守助くんの後方に立っていたので、まず目に飛び込んだのが守助くんの大福餅みたいな色白のまん丸なお尻でした。下着が下がった反動で彼の頼りない尻肉がプリンと波打ったのが分かります。義理とは言え、僕も同じ屋根の下に住む兄弟です。守助くんのお尻なんて家で腐るほど見てましたけど、外で見ると改めて大きく、その脂肪詰まったもちもち感が何とも情けなく見えてしまいます。
守助くんの子分として見学に来ていた少年達も、まさか守助くんがケンカに負けた挙げ句こんな醜態を晒してしまうとは思ってもいなかったんでしょう。
腹を抱えてゲラゲラ笑ってます。女子も予想外の出来事に悲鳴を上げ、そして女の子同士で固まって囁き、笑い合い「なにあれえ」とか、「さいてえ」とか好き放題言いながらも決してその場を立ち去ろうとはしません。
その中でも一番ウケていたのは近くで見ていた三人組でした。だって小鉄くんなんてぶぶーっと吹き出してしまってたし、国彦くんなんて彼の腕を固めるのを忘れて、地面に尻をつけて笑い転がっている状態…。
「ギャッハッハッハ!! オイ、源太も見ろって!!コレコレ!!!びっくりするほどちっこいてぇー!!」
「バカ!!国彦!! 手放すなって!! この豚逃げんだろうが〜」
地べたで笑い転げる国彦の代わりに、源太くんが守助くんの両腕を押さえる羽目となっておりましたが、図体のでかい彼はどんなに守助くんが暴れようとも涼しい顔を見せていました。そして普段は無口でポーカーフェイスで知られている彼も、この時ばかりは周囲の反応を楽しむかのように口元をいやらしくにやつかせていたのです。
「わりぃな、源太。でもよぉ、コンナノ誰だって笑うぜ?」
国彦くんが「コンナノ」と言いながら守助くんの下半身を指さしたように見えました。守助くんは沸騰したように赤くなり、国彦くんに飛びかかろうとしましたが、学年一力の強い源太くんには到底敵いません。
「おーい、お前らもこっち側来いってw守助くんのおちんちん見えるぞ〜?」
「や…やめろ!! やめろお!! はなせよ!!」
守助くんは無我夢中で喚きますが、全裸で喚いているデブ少年の言葉なんて誰が聞きますでしょうか。それに年頃の僕ら子どもにとってはこんな面白い出来事、滅多にありませんし…。
後方(守助くんのお尻側)で見物していた生徒達はみんな揃ってぞろぞろと前方へと移動しました。男子はもちろんのこと、女子もキャーキャー言いつつとすんなりと動いたのは意外だったかもしれません。やっぱり女子もそれだけ普段拝めない男子生徒の股間の代物に興味津々だったと思います。
ちょうど守助くんのいちもつが見える位置に移動すると、そこには国彦くんたちに羽交い締めされた守助くんのなんとも痛ましい姿がありました。守助くんは今にも泣き出しそうな顔で、喉の奥から嗚咽を何度も何度もこぼしていました。自由の効かない裸体を右に左に捩って抵抗していますが、ただでさえ力の強い源太くんたち二人に両脇を固定された今、座りこむ仕草さえ許されないようでした。
彼のコンプレックスでもとも言えるとんでものサイズの小さなおちんちんはとうにさらけ出されていて、まるでその性器を乗せているだけのような役目に見える小さな玉袋も丸出しです。
面白いことにみるなァみるなァと彼が叫んで身体を揺する度に、おちんちんがぷるんぷるんと震えるので却って滑稽なのです。僕は見慣れていましたけど、やっぱりみんなには新鮮みたいでした。
数年前まで裸なんてへっちゃらだった守助くんですが、六年生にもなると普段は意識して隠すようにはなります。とは言えどんなに守助くんが努力しようとしても六年生になってもおねしょ癖が治らない守助くんは、朝になって下半身裸で母に尻叩きされてるなんてこともよくありました。それでも反省が見られないときは納屋に裸のまま放り込まれる時もあるくらいなので…。(当然これは口が裂けても人に言えないですが)

思い返せば守助くんが裸を恥ずかしがるようになったのも、五年生になった頃からでした。
確か母が近所のおばさんの赤ちゃんの面倒を見ることになった時。父がいつものように仕事仲間を家に集めて酒を飲んでました。酔っ払った父がオムツ替えしてる赤ん坊とたまたま風呂上がりの守助くんのおちんちんを不意に見比べて、
「おんめえ、赤ちゃんとおちんちんのサイズ一緒じゃねえか~?」
とか言ったもんですから、大勢のおじさんたちが、赤ちゃんと守助くんの股間のちょびっと付いたものを見比べ、それから一斉に吹き出しました。
「同じっちゅうか、モリモリちゃん微妙に負けてねーか?w」
「アッハ、そういや守助くん去年まで寝小便垂れとったくらいだもんなあ?」
「はァ?去年だってェ?なぁに言ってんだよ!!今年どころか、今朝も一発ドでかい水鉄砲かましてんぜ、コイツァよぉ!!」
彼らの楽しそうな言葉に酔った父が反論してピシャリと守助くんのお尻を叩きます。
「ほんま、勘弁して欲しいわ!!」
それを聞いたおじさんたちは一斉にガハハハと笑います。守助くんは耳たぶまで真っ赤になっておりましたが、父が怖いのは知っているので刃向かおうとしません。酒飲みのおっさん達には守助くんのオネショトークをつまみにしながら、何も言わない守助くんをいいことに父に様々な質問をぶつけていました。
普段から小生意気で悪ガキの守助くんの恥ずかしい欠点を弄るのを、この大人達は大好きなのです。中でも榊原と言う近所のおじさんが特に目立って守助くん弄りが大のお気に入りのようでした。
榊原さんは、ちょうどオムツ替えが終わった赤ん坊を指さし、
「モリスケちゃんもさ、ホレ、せっかくだで。赤ちゃんの横にオネンネしてママにオムツ付けてもらい行きぃ!!」
と言って父の真似をして守助くんの生尻を叩いて茶化します。母はと言うと、「みんな下品ねえ」だとか暢気な事を言いながらも全くもって気にしてない様子でした。
逆にテレビを見ていた僕と芳彦くんは彼らの非常識なやりとりにはケタケタと笑ってしまっておりました。僕らだって守助くんがからかわれるのは大歓迎なのです。
ただその時の守助くんと言えば、今まで見たことがないくらい真っ赤になっておりまして、表情は怒りと悔しさに満ちていました。根っから仕切りたがりの守助くんは、プライドだけはいっちょまえのところがあったのです。特に普段から格下に見ている僕ら弟の前でそれを言われたくなかったのでしょう。
ぼくと芳彦くんがそれに気がついた時には遅く、怒り狂った守助くんは僕らに裸のまま突進して背中や腹を蹴り上げました。母が怒鳴り声を上げましたが守助くんは、今度は酔っ払いのおじさんたちに向かって飛びかかっていき机の上の残った料理を握っては、彼らに投げつけました。結局いつもの尻叩きと納屋コースになったかと思います。
長くなりましたが、特に去年のその事件からは守助くんは特に裸を見られることを辟易していたかと思うんです。
そんな守助くんが六年になった今になって、女子や子分がいる前で一糸まとわぬ姿にされて観察されているわけですから、その屈辱と言ったら言葉で形容しようがありません。

守助くんの気持ちとは裏腹に、国彦くんと源太くんは口々に感想を言い合っています。
「ふぇー!!それにしてもすんげぇなあ~!!俺こんな近くで生んぽ見たの初めてやわ~」
「んだな。んにしてもこれってさあ、さっすがにチッコ過ぎでねえの?w」
「あっはっは!!だなあ~!!こいつこんなんもん股にくっつけて今まで調子こいてたんやろ~?クッソだっせえんだけど(笑)」
彼らの楽しげな会話に同調するかのように、最早守助くんの子分や女子達までもが薄ら笑みを浮かべ、素っ裸でとうに半べそをかいている守助くんの股間の代物を凝視しています。
「あれれェ、モリスケくん?…もしかしておちんちんちっちゃいのすっごく気にしてたのかなァ」
やっぱり一番楽しそうなのは小鉄くんだったかもしれません。守助くんの目の前でしゃがみ込んで、彼の小ぶりのいちもつをなめ回すように見つめ、ニタニタしながら守助くんの泣きそうな表情を下から眺めています。
「……はな…せよ……は、はなせよぉおお!!!」
守助くんは怒声を何度も発していますがほとんどが枯れて嗄れた涙声でした。
小鉄くんは守助くんの話なんて全く聞かずに、
「ほらほら~おしっこパンチュも脱ぎ脱ぎしまちゅよー」
と赤ちゃん言葉でそう言って彼の膝下まで下がっていたブリーフを丁寧に足首から抜き取ります。そして小馬鹿にするように守助くんにこう言い放ちました。
「家でさあ、いっつも朝かーちゃんにこうやってもらってるんだってなァ?」
「…な、何のことだよ………」
頬を硬直させた守助くんは思わず、動揺して小鉄くんから目を反らしました。でもそれ程分かり易い反応もありません。国彦くん源太くんは興味津々に身を乗り出して「え?どういうことなん?」と小鉄くんに尋ねます。おかしそうな、そして小馬鹿にしたような目を時折守助くんに向けながら。小鉄くんはニヤニヤが止まらないようです。
「言ってもいいんけどさァ~こんなとこでこの秘密バラされたらさ、守助くんのプライドズタズタになっちゃうぜ?自殺モンかもよ?」
それから答え合わせをするように、顔を僕の方にやって、「なあ?」と問いかけてきます。慌てて僕は顔を背けました。小鉄くんが言わんとしていることは、何となく分かりました。誰から聞いたかって。それを知ってる人はおのずと限られてきます。
「ええやん、既にこの状況でプライドも糞もないやろ」
源太くんの尤もすぎる台詞に一同がどっと笑いました。
「せやって。せっかくやし、洗いざらい話してもらおか?なっ、ぷるぷるおちんちんくーん?」
国彦くんが守助くんの赤ちゃんみたいな丸い頬をぺちぺちと叩いて冷やかしています。あの守助くんがもう完全に赤子扱いの状態でした。
守助くんはと言うと怒りと悔しさで頬を震わせながらも、小鉄くんを威嚇するように睨むしかできないようでした。
既にその瞳は涙で潤んでいるため、何の迫力も持っておりませんでしたが…。
「まあまァ、そんな怖い顔すんなって。どうせバレんのも時間の問題やろォ?俺も父ちゃんに色々聞いってけどさ、母ちゃんに口止めされてたんよな、守助くんが可哀想でしょうとか言ってさあ。んだからさぁ、いつか虐める機会があったら暴露してやろうと思ってたんだよな。んまっw今日がちょうど良さそうだなぁ~」
僕はふと、小鉄くんはどこまで知ってるんだろうと不思議な気持ちになりました。しかし思えば家に父の友達の酒飲みが集まることは多いので、家庭内の守助くんの知られたくないことは、意外にも簡単に外に駄々漏れしている事実に気がついたのです。
「んじゃ、ええやーん、小鉄くんシブンなってぇ。はよ教えてよお」
国彦くんがじれったそうに声をあげました。小鉄くんはエッエッエッと笑ってから守助くんに向き直り、「こいつさあ」と切り出します。そこで一端言葉を切ってからみんなの方を振り返って、皆が注目しているのを確認して……。
「毎朝、オネショしてるらしいぜ?」
小鉄くんのその言葉に、一瞬周りはシーンとなり、女子から「うそでしょ?」とか「マジなのそれ?」とか半ば半信半疑のような声があがりました。
守助くんの子分の下級生達も、初めて聞く事実に驚きの様子は隠せていないようでした。しかし数人は笑う代わりに小さく頷いていたので、やはり知られていたんだなと僕は確信しました。実際、守助くんのオネショ布団は三日に一度のペースで庭に堂々と干してありましたし、友人に聞かれても僕も芳彦くんは苦笑いするだけで何も答えられず会話を濁すだけ。聞いてきた子達も事情を察したのか、それ以上突っ込んで掘り下げてこようとはしなかったのです。
「マジなんだよなあ、なあ信二?」
急に僕に話を振られて僕は固まりました。違うよと言おうとしましたけど時既に遅く。返事がないことを真実と見抜いた彼らは騒ぎ始めました。
「衝撃の事実じゃね!?コレ!!」
「おい!!マジかよデブ!!まだオネショしてんの?おめえイクツだよ!!(笑)」
源太くんたちはゲラゲラ笑いながら守助くんの両肩を掴んだまま、彼の身体を揺らします。その拍子で守助くんの小さなおちんちんがフルフルと揺れてしまい、気づいた子ども達は手を叩いて笑います。
「………ち!!ちがっ!!…ちがう!!…ちがうって!!」
守助くんは頬を赤く染めながらも、必死に否定するのに精一杯な様子でした。
違うと言いつつもすっかり動揺してしまっている守助くんの瞳は、もう完全に泳いでしまっているので、あからさまにバレバレなのです。元々単純な性格の守助くんは嘘なんてつけっこないため、わざわざ僕に聞くまでもなかった事だったかもしれません。それにそもそも…裸の状態で弄ばれてる彼の言葉は誰の耳にも届いていないようでしたし…。
強いて彼を庇うなら、毎日ではなくて三日に一回くらいが正しい気がします。
去年まではもっと酷かったですが、これでも大分回数は減ったと母なりに褒めていました。酒飲みの父は相変わらず守助くんをからかっていましたけどw
「ヘヘッ、しかもさあオネショの度に、ママに洗ってもらってんだってなァ?
…おめえのコノ、ちっちゃな、ち~~~っちゃな……」
不意に小鉄くんが右手を守助くんの股間辺りに伸ばしました。何かをされると察した守助くんは表情を強ばらせて、咄嗟に腰を引こうと身体をがむしゃらに動かします。しかし両サイドの二人は阿吽の呼吸で彼の体を力強く押さえつけました。小鉄くんの指が伸びたのは、案の定守助くんの股間の手前でした。小鉄くんはそのまま狐みたいな指の形を作ったかと思うと、折りたたんでいた中指をピーンと弾いて、守助くんの股間に命中させました。
「オチン・チィーン」
その言葉と同時に守助くんの小ぶりのおちんちんがぷるっと揺れました。
「…ンア゙ァ!!!」と守助くんは喘いでしまい、その何とも情けない有様や光景に、その場の全員がけたたましく笑い声を上げました。
守助くんは完全に怯えた目を小鉄くんに向けて、言葉にならない奇声を発して国彦くん達の腕から逃れようとします。しかし小鉄くんの優秀な部下たちの腕からはどう足掻いても逃れられないようでした。
守助くんとしても、年下や女子のいる前で自らのコンプレックスの部位を遊ばれることだけは絶対に避けたかったのでしょう。しかし時既に遅し。小鉄くんの魔の手は止まることなく動き、まるでビー玉でも弾くかのようにリズミカルにデブ少年のおちんちんを弾きます。
「………ングッ!!………ダアッ!!…ン…め………ろぉッ!!」
「ハハッ!!ホレホレ、どーしたデブ?ケツ振って避けてみろよォ~」
小鉄くんはまるで新しいオモチャを発見したような子供じみた笑みを浮かべながら、その『遊び』を楽しんでおりました。今考えても年頃の少年にとってそれはどれほど残酷な行為だったことか…。その時受けた守助くんの莫大な屈辱は計り知れないものでしょう。
守助くんのおちんちんは小鉄くんの指に弾かれる度にバネのようにピョコピョコと跳ねては戻り、また揺れては元の位置へと戻ります。その度に守助くんは声変わりのしていない高い声で呻いて、太い図体をびくんびくんと痙攣させます。肉付きのいい身体をくねくねと動かせば、脂肪たっぷりのおっぱいやお腹がブルンブルンと波打ち、同時にまん丸のお尻の肉も小刻みに揺れるので、もう周囲からは笑い声が途切れることはないのです。
「ソーレソレ~踊れデブ♪みんな見てんゾ~。ヨ!!!もっとケツ振れ、ポコチン揺らせ。ア、ソーレソレ♪」
小鉄くんは歌でも唄うように言いながら、守助くんのおちんちんを弾くのを繰り返しました。守助くんは小鉄くんの指先から逃げるように、肉厚のお尻をプリプリと左右に動かして避けようとするのですが、彼の剥き出しの生尻を今度は国彦くんたちはケラケラ笑いながら平手で打つので、その反動で守助助くんは体をのけぞってしまい、情けなくもクラスメイトにおちんちんを突き出す体勢になってしまうのです。
「ほ〜れ、もいっちょいくぞ〜w」
その瞬間を待っていたかのように小鉄くんは彼のおちんちんに指を近づけて容赦なく弾きます。まるで守助くんが、小鉄くの小さな指先だけで恥ずかしい裸踊りを強要されているようにも見えなくもありませんでした。
六年生になっても家では相変わらずの守助くんでしたが、外では傲慢な態度を貫いていて、僕らの前ではそれを決して崩すことはありませんでした。一度たりとも。しかしそこにいるのはもうガキ大将の守助くんではなく、完全に股間の代物をオモチャにされている、惨めで哀れなデブ少年だったのです。