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仕返し

学校でのそんなストレスが守助くんに募る一方、守助くんの年下への暴力は日に日に増す一方でした。その頃の主な対象は芳彦くん。そして芳彦くんのクラスメイトの司くんだったかと思います。司くんは貧弱な体型をしていて、僕と似て気が弱い性格だったので、元から守助くんのイジメの対象にはされていましたが、近頃では特に守助くんに的を絞られていたと思います。それもそのはず、守助くんのオネショ事件・夏木ちゃんの目の前でのお尻叩き事件(ハミ金も含む)を司くんに話したのは芳彦くんでしたし、それを大勢に広めたのは司くんなのです。ただ、お尻叩きの件については近所でも有名になってもいましたし、情報通の小鉄くんのように二人に聞く前から知っていた子も大勢います。守助くんは体育授業でのパンツ下ろし事件(パンツが下がったのは偶然だったかもしれませんが)の恨みや怒りの矛先を全て二人に向けていましたが、あれは起こるべくして起こった事件だったのかもしれません。
そしてその暴力の内容はと言うと、殴る蹴るはもちろん、大勢の前で二人で殴り合いのケンカをさせたりだとか、ダンゴムシを食べさせたりとか…小鉄くんに劣らぬ残酷な内容だったそうです。普段は何でも相談をしてくれる芳彦くんもこの時ばかりは酷く守助くんを恐れていて、何を尋ねても口を開いてくれませんでした。僕もそんな芳彦くんを気遣って、家にいるときはできるだけ一緒
にいたり、また二人でできるだけ母の近くにいるようにしたりはしていましたが酔っ払い親父には甘えん坊はいらねぇと叱られるので、どうしても家の中だと守助くんの暴力からは逃れられなかったのです。
そんなある日の日曜日のこと。守助くんは今日は面白いものを見せると言って、お昼過ぎに四、五年生を空き地へと集めました。嫌な予感しかしませんでしたが逆らうと後でどんな目に遭うかわかりません。僕と芳彦くんが到着した時には殺風景な空き地で六人程の子が地面に体操座りしていました。彼らの目の前で薄気味悪い笑み浮かべて立っています。何が始まるのが考えるだけで心臓の音が跳ね上がりそうでした。近くで数人の女子が縄跳びをしていましたが、こちらのグループには死んでも首を突っ込んでこないでしょう。僕らは女子の近くを通り過ぎて、守助くんの方へと向かい輪の中に座りました。
「まあまあ、お前ら。そうビクビクすんなって。今日はいつもの特訓とかじゃなくってな。本当に楽しいゲームなんだよw」
守助くんが言う特訓というのは意味もなく空き地の周りを走らされたり、川に突き落とされてずぶ濡れになったりすることです。特訓じゃないならまだマシですが、一体何なのだろうと思いました。
守助くんはふふふーんと上機嫌に豚っぱなを鳴らし、「司、来い」とだけ言って座っている司くんを手招きさせました。
司くんはノロノロと立ち上がり前に進みます。当然ですが、怯えた表情をして。
「お前は俺の一番の親友だよな?」
守助くんはそう言って司くんの肩を組みます。年は違えど、守助くんは背が低く童顔のため同学年、もしくは年下に見えてしまう人がいるかもしれません。この状況を知らなければ、ですが。
「う、うん」
「そうだ、そうだよなあ。じゃあ今日はお前で面白い実験やっからさあ。ちょっと座れよ」
守助くんはもう一度その場に、司くんを座らせると。彼の両足を掴みました。フヒヒヒといやらしい笑いをしてその細い目は、彼の股間を見つめています。守助くんが何をしようとしているのか、その時点で僕たちは察しました。
彼が小学四年生の時に、一時ハマっていたあの遊びです。どうして今になってその遊びを行おうとしたのか検討もつきませんでしたが、守助くんはスタートの合図もせずに司くんの股間に靴を食い込ませたのです。悶え苦しむ司くんを目にして、彼が三年生の時、毎日守助くんに電気あんまをされて泣いていたことを思い出しました。あの時は富田くんのおかげでその遊びは止まりましたが、中学になった富田くんとは前より遊ぶ機会も減ってしまっていたため(その時は守助くんはだいたいいませんが)クラスメイトの問題を除けば、ある意味守助くんの天下だったのでしょう。
次の瞬間、守助くんの足の裏が勢いよく司くんの股間を踏みにじるように刺激を与え、その振動で司くんの華奢な体は強く左右に揺さぶります。子どもというのは不思議なもので、例えそれが仲間がやられていたとしても反応がおかしければ笑ってしまうのです。彼らは司くんの惨めな姿に笑いを堪えきれず、ついには声を出して笑ってしまっていました。
「オラオラァ〜昔みたいに泣けよぉ!! ぁあ?俺がいつお前の前で泣いたって?」
「…ご…ご、ごごめ…なさぃい」
どうやらまだあのお尻叩きの件を守助くんは根に持っているようでした。その腹いせにこの場で司くんを泣かせようという企みでしょう。都合のいいことに近くでさっきからこちらを心配そうに見えている女子も、司くんや芳彦くんと同じ五年生のはずです。女子の前で電気あんまで泣いてしまうなんて、五年生にだって精神的苦痛は大きいはずですから。
司くんは途中股間を手で覆い隠しましたが、守助くんはそれに構わず砂の付いた靴裏をその手にねじ込めます。痛さなのか、司くんは小さく悲鳴をあげて両目をぎゅっとつぶりました。守助くんは「まだまだ〜」と元気いっぱいに笑って今度は子分に彼の両手を持つように命令しました。指示を受けた四年生二人が司くんの両手を持ち上げると今度こそ両手が彼の股間から放れ、股間の部分に障害がなくなります。守助くんは舌なめずりしてその太い足をもう一度彼の股間に忍ばせました。そして思い切り振動を与えます。司くんの体は飛び跳ねるように藻掻きますが、情けないことに四年生二人の力もあって全く身動きがとれないようです。
「マジで泣かないと金玉つぶすからな!! ほら泣ーけ !! 泣けよ泣き虫 !!」
守助くんがそう吠えたその途端、一瞬痙攣していた司くんの体が大人しくなり何だかモジモジと奇妙な動きを見せました。
「ん?」と守助くんは眉をひそめて電気あんまを止めます。司くんは泣いてはいませんが、顔が火照って赤くなっています。僕と芳彦くんは目を見合わせます。
一昨年、守助くんが富田くんに電気あんまをされて、お漏らししてしまった光景が目に浮かんだからです。あの時は空き地に僕と司くんと芳彦くんだけでしたが、ここには大勢いるのです。もし司くんがお漏らししてしまっていたら、一気にこのことは広まってしまうでしょう。
「か、かわいそうだよ…」
僕は小さな声でそう言いましたが、守助くんには聞こえていません。守助くんも僕らと同じことを考えていたのか重たい腰を上げると、掴んでいた司くんの両足を放しました。司くんはもう体力が残っていないくらい消耗していましたが、依然として四年生に両手を捕まれているため自由の利かない身です。
「エッヘッヘ、急に大人しくなってどうしたんだよ、司。まさか、やっちゃったとかかぁ?」
守助くんは彼の腰をずらしてお尻の下を確認します。しかし予想に反してそこに水たまりができた後はありませんでした。僕と芳彦くんの予想も外れ、司くんは特に漏らしていなかったと言うことになります。守助くんは悔しそうな顔をして腹いせに彼の股間をぎゅっと足で踏み込みました。
「あぅぅ…!!」
と司くんのあえぐ声。そして守助くんの表情が変わりました。
「なんだ、これ?」
守助くんは司くんの股間をもう一度探るように踏みつけます。横で見ている数人の子どもは既に勘付いている子もいたのでしょう。ソレを指さして声を上げて笑う子までおりました。
見れば、司くんの半ズボンの股間の部分はぽっこりと膨らんでしまっておりました。その瞬間、僕は恐ろしいことが起きたことを察したのです。
「ん?えー?なんだこりゃ。なんか、カテぇの入ってんだけど?」
守助くんは不思議な表情で、靴裏で司くんの股間をまさぐるように踏みつけます。
その度に司くんは切らしていた息を早くしたり、我武者羅に体を捩ったりするのですが、その仕草が面白いのか少年たちは笑い守助くんが益々面白がるのです。
「マジでちんこか、これ?お前のちんこなんででっかくなってんの!?」
大声でそう言った声が向こうの女子にも響いたかもしれません。女子数人がこちらに顔を向けます。
これが『勃起』と言う現象で、その言葉や症状の意味を知っているのはきっとこの場で僕と五年生、一部の四年生だけだったでしょう。後の子はつられ笑いかもしれません。そして僕がその時一番驚いたのが守助くんもその意味を知らなかったことです。
「マジどうなってんだよ、お前のちんこ。ちょっと見せてみろよ」
守助くんは興味津々にそう言ってしゃがみました。意地悪と言うより最早好奇心で言ったような台詞でした。が、この場では残酷そのものです。
「…やっ、やめ、イや…!! 放して!!」
司くんは死に物狂いで暴れますが、残念なことに人に嫌がる反応を見てつげあがるのが守助くんの性格です。
「いいじゃんいいじゃん。ちょっとだけだろ?見ても減らねぇじゃんか。お前らもこいつの手ぜってぇ放すなよ」
「あ、あ…ダメだって、こ、これは、だ、ダメだよ!! …や、やめでよ!!」
「うっせえなー。あ、おーい、女子もこっち来いよ〜!! なんか司のちんこさ、チョーでっかいんだぜ〜」
「もりぐん!! ダメだってばぁア!!!!」
うわっ!!と司くんが爆発したように大声で泣き崩れました。四年生は驚いて手を話、司くんは股間を隠すように体操座りになって、その場でワンワンと泣き始めました。守助くんは「つまんねー」と吐き捨て、それでも満足げな顔をして立ち上がると子分数人を引き連れてその場を後にしました。守助くんがいなくなった後も司くんは蹲って泣いたままその場を放れることはありませんでし
た。

その夜、家のチャイムを鳴らしたのは司くんの母親でした。ドアの前で司くんは俯き加減で立っていて、その隣には派手な服で眼鏡をかけ女性、彼の母親が腕組みして佇んでいます。要件の分かっている僕は母を呼んでから部屋にいって宿題をしている芳彦くんの隣に座ります。
「やっぱり来たね」
「だね」
芳彦くんは肩を竦めて見せましたが、それだけでした。家では苦情の電話や突然の来店なんて日常茶飯事なのです。なんせあの守助くんが屋根の下にいるのですから、昔からこう言ったクレームには子どもの僕らも慣れてしまっていました。
「守助!!! 来なさい!!」
母の怒鳴り声と、そして部屋をバタバタと逃げ回る音。追いかける音。騒がしい音が聞こえ、また玄関口からガミガミと説教の声が聞こえます。今思えば、母のクレーマーへの対応力も神対応と言っていいものだったかもしれません。
(逆に言えばそれだけ場数を踏んで着たと言うことにもなりますが)
ただ当時子どもの僕はそんな母が哀れに思え、子どもとしてできることをやっておりました。そっと襖をあけて廊下の奥に目をやります。玄関口で母が何度も頭を下げながらも、その左手にいる守助くんの耳を引っ張って逃げないように固定しています。そして司くん親子が目に入りました。
僕はしょぼくれている司くんにそっと手招きをします。司くんはちょっと迷った表情を見せましたが、何度か手を振っていると靴を脱いでそのまま部屋まであがってきました。
「ぼく、司くんの面倒見てるからね」
面倒と言っても、僕にとって年下はどれもほぼ同級生のような存在でしたが、そう言うことによって母は安堵の表情を浮かべ、司くんママも少し落ち着いた表情を見せるのです。僕の顔をちらりと見て少し表情を和らげました。僕と芳彦くんが司くんと大の仲良しなのは知っているからです。
「気にすんなよ、明美たちさ。気づいてなかったぜ」
芳彦くんが椅子に座ったままペンを回して、芳彦くんに話しかけました。明美とは昼間空き地にいた五年生の女子のことです。
「それに勃起なんて男なら誰だってするよ、自然現象」
「っていうか、お母さんに言ったの?」
「何を?」
「いや…そのさ、あれ」
芳彦くんが股間で指をちょっと持ち上げたような仕草をし、司くんが恥ずかしそうに首を振ります。
「だよね、やっぱ」
「電気あんまのことは言ったよ。ズボン泥だらけだったし、ばれちゃったよ。
あのことは……言えるわけ…ないよ」
「そんな恥ずかしがることないって」
僕もそう言って友人の背中をさすりました。
「うん、笑ってたやつだって知ってたから笑ってたんだろ」
「そうそ、六年生なんてみーんな知ってるからね。恥ずかしいことじゃないんだって」
「へへ、まあ僕は信二くんの勃起みたことないけどね」
芳彦くんが僕をからかって、僕らは笑い合います。そこでやっと芳彦くんも少し笑ってくれました。
「あのデブがおかしいんだぜ。勃起も知らないとか、なんだっつーの」
「本当に初めて見た感じだったよね?」
「あのちっちゃいちんちんじゃさ、立ってもわかんないんじゃない?」
そう言って僕らはまた楽しく笑い合います。
それから数分後、司くんの母親の明るい声が聞こえました。どうやら僕らの作戦はうまく言ったようでした。僕らは玄関まで見送って、最後に司くんにこう言いました。
「もうちょっといなくていいの?」
「そうだよ、こっから面白くなるのにな〜」
「なんで?」
きょとんとした顔で司くんが僕らを見返します。その顔に僕と芳彦くんは目を見合わせて笑いました。
「決まってんじゃん。尻叩きだよあのデブの。ケツ出して泣く姿見られるんだぜ?」
「んじゃ、今度見に来るよ」
司くん楽しそうにフフっと笑うと、母の手を取ってたんぼ道を並んで歩いていきました。夏になりかけの夕暮れ時。小さくなっていく親子二人の背中を見た映像は今でも鮮明に思い出すことができます。
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お尻叩き

教室でのパンツ貼り付け事件については、結局母親が学校まで取りに行って金子先生に平謝り。なんとかパンツは返してもらったそうですが、当の守助くんは最後まで認めていなかったみたいです。
学校でもそのことは有名になりましたが、空き地で子ども同士遊んでいるときもその話題が出るたび、男女問わず子ども同士でケタケタ笑い合っていました。(もちろん守助くんが不在の時w)
守助くんには気の毒ですが、笑っていた子は守助くんを慕っていた年下の子分ばかりだった記憶があります。
それから数日後のことです。ぼくは朝早くに芳彦くんに起こされました。芳彦くんは普段から早起きだったので珍しくはなかったのですが、何だかその日は朝から芳彦くんはテンション高くはしゃいでいて、まだ寝ぼけたぼくの手を引いて洗面所まで連れて行ったのです。
「ど、どうしたの?」
僕はまだ寝ぼけながらそう言うと、芳彦くんは悪戯っぽい笑みを浮かべて洗面所と隣の風呂場を指さしました。お風呂場で水道の蛇口をひねる音、ホースから水が滴り落ちる音が聞こえてきていました。
ドアが半開きになっていて、僕は芳彦くんと一緒に中を覗き込みます。中にいたのは守助くんでした。守助くんは素っ裸でややふて腐れたような顔で、顔を伏せるように立っていました。その横で袖を捲った母がしゃがんで、ブツブツと小言を言っているのが聞こえます。
「全く、アンタは六年生にもなって。これで今週何回目よ」
母さんのその言葉から僕は何が起きたのかすぐに判断することができました。と言うか守助くんのオネショ自体家庭内では珍しくないことだったのですが、それでも近年は守助くんも彼なりにオネショを隠すようになってきていました。
万一現場を見かけても怖くて話題に出せなかったため、ある意味見て見ぬふりを続けていたのかもしれません。
そんな訳もあってこうして守助くんが素っ裸で母に下半身を洗ってもらっている光景を直に見るのは、同じ屋根の下にいても数年ぶりだったのです。
「へへ、だっせェ」
「はは、だね」遠慮がちに僕は同調します。
「あいつまだちんちん洗ってもらってるんだな?これって大ニュースw」
そんな恐ろしいことを言う芳彦くんに僕はたじろぎながらも、母がホースを守助くんのアソコに当てているのを凝視していました。相変わらずのぷよんぷよんの身体のお肉が水滴で光っていて、そのまん丸のお尻がこちらに向けられています。
つい神社で起きた出来事を思い出してしまって、芳彦くんと一緒に表情を緩めてしまいそうになるのを堪えました。小鉄くんたちはこのだらしない身体を女子や年下までに見せてしまったと思うと、すごいことだなと改めて思いました。ましてやこのオネショのことまで暴露されてしまっていたのですから。
「お尻こっち向けなさい」
「ヘイヘイ」
守助くんは面倒くさそうにしながらも若干気恥ずかしそうな口調でそう言ってから、慣れた仕草で母にお尻を向けるため、全身をこちらに向けました。神社で見た同サイズ。もしくは若干もっと萎んで見える彼のおちんちんがこちらに向いたかと思うと、芳彦くんが堪えきれずぷっと吹き出してしまいました。その音で守助くんがやっと扉の隙間から見える僕らの顔に気がついたのです。彼はさっと股間に手を置くと同時に、表情を途端に歪めて発狂しました。風呂場と洗面所に怒鳴り声が響き。母さんが耳を押さえて守助くんのお尻をひっぱたきます。
「もぉ…手、邪魔でしょ」
「出てけ!! 出てけよぉ!!!!!!!」
守助くんはひっきりなしに騒ぐので、僕らは慌てて洗面所から飛び出しご飯を素早く食べて早めに学校に向かいました。もちろん登校時は守助くんのオネショの話題で持ちきりでした。(笑)

それからしばらく経ったある日のことですが、父の例の仕事仲間(酒飲み仲間)を家に招き入れて、いつものように集団で酔っ払っておりました。丸い食卓を囲みながら歌ったり、縁側に腰掛けて馬鹿騒ぎしているおじちゃんもいます。
僕と芳彦くんは畳の上で大人しく本を読んでいましたが、隣の家の富田くんとその妹が親に連れられて遊びに来たため、一緒に食事を取ることになりました。
富田くんの妹の夏木ちゃんは僕と守助くんの同級生。隣のクラスの女子です。守助くんとは言うまでもなく気は合いませんが、特に害のない僕と芳彦くんとは昔からの付き合いのため悪い関係ではなかったかと思います。狭い食卓で四人で食事を取ることになったため、おじちゃんたちは縁側の方に押し出されてそこで酒を飲んでいる状態になっていたかと思います。
守助くんはと言うと、昼間に何か悪さをして(何か忘れましたが)庭の横の納屋に閉じ込められていたのですが、おじさんたちが母を説得して支え棒を外してのようやくの登場となりました。
守助くんは常に汚れたシャツとパンツでいるため、納屋から出た時も同じ格好をしておりました。閉じ込められた時に泣いていたのかやや腫れぼったい目をしていましたが数時間ほど大人しかったので、中で寝ていたのかとも思いました。
「コラ悪タレ、今日は何やらかしたんや?」
「腹減ったやろ?美人のママが作ってくれとるで、食え食え」
むすっとした表情の守助くんにおじさんたちがしきりに声をかけますが、彼は無視して畳の上にあがります。
「足拭きなさい!! あと、先にお風呂!!」
守助くんは母の怒鳴り声にもツンとした表情まま風呂場に一人で向かいます。怒りの象徴のように足を床にドンドンと叩きつけながら廊下を歩く背中を見て、夏木ちゃんはとても不快そうな顔をしていました。

風呂からすぐ出た守助くんは新しいシャツとパンツに着替えると、どすんと僕の隣に腰をおろしました。機嫌の悪さは一目瞭然でした。守助くんは僕の皿から残しておいた唐揚げを奪うとあっという間に平らげて、芳彦くんの皿にも手を伸ばします。僕らは何も言い返せずに黙って皿がなくなっていくのをただ見ているだけでした。いつもは助けてくれる富田くんもテレビに夢中です。
するとたまたま横でその様子を見ていた榊原さんたちが萎縮している僕らの肩に手をかけて笑いかけてきました。
「なんだァお前たち。相変わらずこのデブちゃんのいいなりなのか?」
僕らはうんともすんとも言えません。実はこの前オネショを目撃して調子に乗って広めたせいで、酷く痛い思いをしたのです。親にも言えませんでした。
「ったくなぁ、男のくせに情けない。だいたい信二はモリスケちゃんと同じ年だろが?唐揚げ取られて何も言い返せんでどうするんだで」
酔ったおじちゃんたちは口々にそう言うのですが、まるでお説教みたいに聞こえてしまって僕はいい気分がしませんでした。
「信二くん、ちんちん付いてんか?」と一人のおじちゃんがそう言うと、大人たちがどっと笑いました。その場にいる夏木ちゃんまでも笑われてしまい、僕は顔がかっと赤くなるのを感じました。守助くんも『ちんちん』ワードに反応して、大げさにちゃぶ台を叩いて下品に笑い声をあげ「こいつオカマだからついてねぇだろ!!」としつこく大声で僕を冷やかしました。
益々僕は惨めな気持ちになりますが、誰も助け船を出してくれません。きっと大人たちは逆上した僕が守助くんに飛びかかるのを期待していたかもしれません。もしそうなったらきっとみんな揃って僕の肩を持ってくれていたことでしょう。けれど当時意気地なしの僕にそんな勇気はありません。
涙ぐんでいる僕を助けてくれたのは富田くんでした。
「なんだ、デブ。おめぇのちぃいっこいちんぽこ、手術してから言えや」
素っ気なくそういう富田くんに守助くんの顔が歪みます。富田くんは続けました。
「俺知ってるぜ~?お前ちんちん女子にみんなに見られたんだってなァ?」
これにはおじちゃんたちが大騒ぎです。そう言えば夏木ちゃんもあの場にいたことを僕はその時初めて思い出しました。
「こーんなんだったらしいぜ?な、夏木?」
富田くんは親指と人差し指で豆粒サイズを作って、さもそこに守助くんのちんちんがあるように見せます。これには酔ったおじさんたちは大受けです。
夏木ちゃんさえご飯を頬張りながら「やめてよぉー」とおかしそうに笑い、守助くんの顔がみるみるうちに赤くなります。
「み……見られてねえよ!!」
守助くんは箸を床に投げて富田くんに飛びかかりますが、あっという間にプロレスの技をかけられて床で藻掻きます。父は酔って演歌中ですし、母も忙しそうなので誰も相手にしません。
その場にいる大人たちだけいやらしい顔を浮かべて夏木ちゃんに「どんなだった?」と問いかけます。夏木ちゃんは初めは「知らない」で通していたものの、「ちっこかったかぁ?」と聞かれると素直に首を縦に振ってしまいました。僕と俊彦くんは顔を見合わせて笑いを堪えます。憤慨した守助くん畳の上でなんとか図太い身体を身体を持ち上げると、今度は夏木ちゃんに突進しその太短い足で夏木ちゃんの頬を思い切り蹴り上げました。夏木ちゃんは床に横向けに倒れ榊原さんに助けられます。そして、ここにきて今まで静かだった母が激怒したのです。

守助くんの頬をひっぱたくかと思いきや、母は正座して厳しい口調で一言「ここに来なさい」とだけ言いました。母は指で自分の畳んだ足下を指します。それが何を意味をするのか、僕と芳彦くんならすぐに分かりました。
守助くん母の本気の怒りに怯えながらもすぐにその意味を理解して「やだよ」と小声で言います。
「いいから!!」
母のその声に縁側で仲間と騒いでた父たちがやっとこちらに向き直ります。なんだまたやらかしたのか、とそんな顔をしていましたが正座している母と畳のを口に当ててメガホンのようにして「お!! 我が家の名物、ケツ叩きが始まるぞォ」と大きく叫びます。
一斉に笑い声と好奇の目がデブ少年に向けられますが、守助くんはそれどころじゃない様子。六年生でお尻叩きなんてされるのは守助くんくらいでしたし、ましてや幼なじみとは言え、同学年の女子生徒の前では絶対にされたくなかったのでしょう。しかし守助くんが何度ぐずっても母は譲りません。夏木ちゃんのお父さんも「別にいいよ」と建前上は守助くんを庇うような言い方もしておりましたが、ほとんど酔っているため酒を注ぎながらことの成り行きを見るような姿勢に、すぐに変わってしまいました。
「だってぇ…こいつが」
「言い訳しない!! 早くなさい!!」
地団駄を踏んでいる守助くんに、母がぴしゃりと言い放ちました。当時も今と変わらず女の子に手を上げるのは子どもの間で特に重罪だったのでしょう。(彼の場合足ですが)
守助くんはとうとう母の気迫に押されてのろのろと身体を動かすと母の膝元にお腹を付け、寄りかかるような体制になりました。小さな頃は身体ごと膝の上乗せるだけで済むのですが、六年生となってくると身体も大きいため膝を曲げてちょうど四つん這いの姿勢にならなければなりません。さっき履き替えたばかりの真っ白なブリーフがこちらに向くと一同がまた大きく笑いました。
「パンツ、邪魔でしょ」
「なんでぇ…なんでえ、やだ、やだ。イヤだってぇ」
守助くんの普段出さないちょっと甘えたような声がおかしいのか、可愛いのか、榊原さんたちも大はしゃぎの様子。
「なんだ、未だにママにパンツ脱いでペンペンされとんか?」
榊原さんが小声で僕と芳彦くん笑いかけました。実際守助くんの尻叩きは有名だったのでこの中でも見たことがない人はいないくらいだったかもしれません。しかしこんな大勢の前でというのは数年ぶり以来だったかと思います。僕ら兄弟でさえ間近で見ると守助くんに後でどんな目に合わされるか分からないため、お仕置きの時はできる限り部屋を移動するときが多いのです。こんなに近くで見るのは本当に久しぶりだった気がするのです。
「早く脱ぎなさい!!」
母の言葉にも四つん這いでいやだいやだとしぶとく抵抗している守助くんでしたが、それでもよっぽど恥ずかしいのか、喉から甘えた声を出して身体を揺すります。その度に彼の大福餅みたいなお尻が左右にぷりんぷりんと揺れるのですから、僕と芳彦くんは笑いを堪えるのに必死でした。
そうこうしてるうちに、富田くんが素早く身を動かしたかと思うと、守助くんのパンツを掴んで膝元まで素早く下ろしました。「おおー!!」と言う歓声と同時に、プリッとした守助くんの桃尻が露わになって、今日一番の笑い声が床の間に響き渡りました。
夏木ちゃんだけが目を押さえてキャーキャー言っておりましたが、酔っ払いのオヤジたちはそれも含めて余興に感じていたのでしょう。守助くんは首だけを富田くんの方向に向け、頬をリンゴのように赤く染めながら奇声を発しますが、もうそれ自体言葉になっていません。そして気の毒にもそんなデブ少年の丸出しのお尻に平手が打たれのです。
ぴしゃん、ぴしゃん、ぴしゃり、と。生々しい音が家中に広がり、母の平手によって守助くんのお尻の脂肪が波打ちます。守助くんは痛さなのか、恥ずかしさなのか藻掻くように手や足を動かしたりお尻を振ったりしますが、それでも状況は変わりません。四つん這いで尻を突き上げながら、う゛ーと唸るような低い声を上げたり、またその真横でニヤニヤしている富田くんを睨むのがやっとのようでした。
「夏木ちゃん。ほれちゃーんと見とれよ。また悪さしたら守助の母ちゃんに言ったればいいんやからな」
おじさんたちが口々にそう言って夏木ちゃんと守助くんの反応を交互に楽しんでいるようでした。こんな光景は滅多にありませんもの。酒のつまみになっているのでしょう。
しかし夏木ちゃんはもう一度守助くんのお尻を見た途端、目を見開いたかと思うとキャッと小さく悲鳴を上げて手で目を覆ってちゃぶ台に顔を伏せました。
「ヤダ!! サイテー!!」
「ん?どうした?」
「モリモリちゃんのコーモン様でも見ちゃったとかか?」
おじさんの声に夏木ちゃんは、守助くんのお尻を指さしました。その指の先にあるのは守助くんのでかっちりだけのはずですが…。おじちゃんたちも一人、また一人と気づいたのか面白おかしそうにちょっと顔を見合わせて含み笑いを浮かべました。お尻叩きされている守助くんに同情して、流石に大声で笑うのをよしたのかもしれません。富田くんや芳彦くんも一緒になって守助くんの後方に移動します。
それに最初に気づいたのは芳彦くんのようでした。芳彦くんは富田くんに耳打ちすると富田くんがブブーッと吹き出します。守助くんは怒りと不安の入り混ざったような顔付きをしていましたが母はお構いなしに尻を叩いているので守助くんは身動きがとれません。
僕も手招きされて守助くんのお尻側にようやく座り直しました。守助くんの赤みのかかったお尻が目の前にどすんと佇んでいる状態。その割れ目の下には守助くんの絶対に見られたくない肛門様までも見えているのですから(笑)、僕は食事をした後でよかったと本気で思ったほどです。最初はその肛門のことをみんな笑っているのかと思いましたが、どうやら違ったようです。穴のその下の方にお尻から何かはみ出ているというか、飛び出ている物体がありました。
榊原さんも僕らの反応に不思議そうな顔をし、それから屈んでそのはみ出ているモノを目にします。そして素っ頓狂な声でこう言いました。
「なんだ、守助ちゃん。おまたの間からタマタマこんにちわしとんで!!」
大真面目のその言葉に、子どもだけでなく大人までもが周りがどっと笑ってしまい、夏木ちゃんもお腹を押さえて笑い始めます。
「一瞬ナニかと思ったわw」
「ほんま。お尻の割にちっちゃなタマキンやなあ」
「ほれ夏木ちゃんも、男のどうなっとるかよう見ときぃw」
「いやよ!! きたないもん!!」
「ガハハハw竹内、おめえそれセクハラだで!!(笑)」
そんな騒ぎ声を遮ったのは、すすれたような小さな泣き声でした。見れば膝の上で守助くんは顔をくしゃくしゃにして大粒の涙を流しています。次第にその声は大きくなっていき、大泣きに変わりました。
おじさんたちは笑うのを止めてあたふたとして守助くん擁護に入りますが守助くんの泣き声は収まりません。
「あー、俺は知らねぇゾ」父は頭をかいています。
「アンタたち!!」
とうに尻叩きをやめていた母は酔っ払い集団を睨むと、守助くんを起こすと赤ん坊のよう抱きかかえて慰めを始めました。守助くんも珍しく強がらずに母の背中に手を回し、胸に顔を埋めて泣いています。おじさん達はさっきとは打って変わって守助くんが可哀想じゃないかと口を揃えるのですから、大人は都合がいい生き物だなと、僕は思ってしまいました。
結局その日は母は、守助くんを連れて寝室に向かい泣き止むまでずっとあやしていました。僕は守助くんのようにお仕置きなんてされたことがありませんが、同様にあんなに可愛がってもらったことは指で数えるくらいしかありません。
榊原さんたちも守助くんをからかうのは可愛くてしょうがないんだと、僕は子どもながらに分かっていたのかもしれません。その日は、そんな複雑な気持ちを感じた日でもありました。そしてそれはもしかすると、芳彦くんも同じだったかもしれません。

守助くんはその頃になるとクラスで完全に孤立してしまっていました。
以前のようにクラス内でも彼の相手をする子もいなくなり、守助くんも休み時間になると一人で教室から出て行ってしまうことが多くなった気がします。下級生のクラスに行って王様気取りでもしてるんだろ、とクラスメイトが嫌みったらしく言っているのを聞いたことがありますが、きっと本当のことだったと思っています。
ある時、体育の授業中のことです。僕らは運動場で一組と合同で授業を行っている最中のことです。体育の授業は内容によっては自由のものも多いため、その日は体育館近くの第二校舎の屋根を日陰で数人でおしゃべりを楽しんでいました。
すると小鉄くんが国彦くん源太くん、他にも1組のやんちゃグループを率いてこんな話を大声で話し始めたのです。
「なぁなあ、聞いてくれよお。六年にもなってさぁ、母ちゃんにケツたたきくらってるやついるんだってさ~」
「やばいじゃん、はっずかしい!!」
「それほんとかよ?」
「しかもケツ丸出しでピーピー泣いたらしいぜ?(笑)」
小鉄くんのわざとらしいくらいの大声で一気に、周囲の視線は彼らに集まります。ちょうど運動場から水飲み場に駆けてきた守助くんもその声に、少し視線を泳がせましたがどうやら聞こえていない素振りをしているようでした。小鉄くんは続けます。
「本当なんだって。父さんと宇津見のおじさんに聞いたからほぼ確定。ここにも目撃者がいるんだなあ」
小鉄くんは楽しそうに笑って、近くで固まっている女子グループに目をやります。その中にいた夏木ちゃんは照れたような表情でプイッとそっぽをむきました。
「佐藤(夏木ちゃんの名字)さんさー、お前そいつのケツ見たんだろー?」
「うっさいわね、変態」
「ギャハハ、マジ?」
「肛門と金玉の裏も見たんだろ?な?な?」
「ちょっと、男子だまりなさいよー!!」
「そうよいい加減なこと言わないでよね、へーんたーい」
「だまれよブース」
ふざける男集団に、迷惑そうな夏木ちゃん庇うように他の女子が口出します。
男子も負けずと言い返す辺りいつもの光景なのですが、夏木ちゃんが思わず、「別に見たくて見たわけじゃないわよ」と言ってしまったため、注目が小鉄くんから夏木ちゃんへと移りました。
「マジかよ、誰のケツなん?」
「エー、佐藤さん本当なのそれ?」
「佐藤さ~ん言っちゃいなよ」
夏木ちゃんはちょっと頬を赤らめながらちらりと横の水飲み場で顔を洗っている守助くんの背中を見詰めました。その視線は窮屈そうな体操ズボンを履いているそのお尻だったかもしれません。
それだけでも答えは十分でした。
「やべぇ、あのでぶのケツ?」
「てかモリブタって実はマザコンなの?」
「ぷっwやめろ聞こえるって!!」
守助くんはすぐそこにいましたが顔を洗っているため、聞こえているかどうか分かりません。すると小鉄くんがそっと守助くんの背後に忍びよりました。みんながみんな急にシンとなって小鉄くんの動きを目で追いました。なんだか期待の込めた目をその場にいる女子までもがしていたような、そんな不思議な雰囲気でした。
「なあ、お前が見たケツってさあー」
小鉄くんはそう言うと、守助くんの背後でしゃがみ込みそして彼の体操ズボンに手をかけ--。
彼が何をするかもう僕らは気づいていたかもしれません。けれど止めるものはいませんでした。僕もゴクンと唾を飲み込みます。
「………こーんなのだったかよ!?」
小鉄くんのその悪意の満ちた陽気な声と同時に、守助くんのズボンは膝元まで下がりました。いや、ズボンだけじゃありません。ピチピチのズボンのせいでブリーフごと膝まで下りてしまったのです。
運動場の隅で女子の悲鳴と男子の馬鹿笑いが響きます。だって、顔を洗って屈み越しになっていたデブ少年が、運動場の隅で下半身丸出し。更にはその特徴のでかっちりをその場全員に突き出すような格好になっているのですから。(笑)
守助くんは一瞬何が起こったか分からない様子で戸惑いながらも、慌ててパンツとズボンを腰まで引き上げます。その顔は当然ながら怒りと屈辱の色で赤く染まっています。
「見た?見た?」
「見たってやべぇ、ケツでっか!! うんこつまってんじゃね?w」
「おぇえ……給食前にでぶの生尻見ちゃったんだけどー」
男子や女子が固まってわいわい騒いでます。幸運にも前は見られていなかったのでしょが、もう12になる僕らにとってはブリーフさえこんな運動場で晒されたら死にたくなるでしょう。
「てめぇら…おい!!」
守助くんは拳を握りしめ、振るわしながら怒りを露わにしました。これが数年前であれば彼の迫力にたてつく者は誰もいなかったかもしれません。
しかし、今この場で怯えているのは、一部の女子と僕かもしれないとその時僕はふと思いました。彼のまん丸のお尻を見た生徒達は半ば嘲るように笑っているだけなのです。
「誰がやった!! 誰だ!! ぶっころしてやる!!」
守助くんは構わず吠えました。運動場の反対側にいる先生はこちらにはまだ気づいていません。
「なんだー、どうしちゃったんだよ~モリスケくんそんな怒っちゃってさぁ。クラスメイトなんだから仲良くしようぜ~んん?」
まるで今ことを知ったかのような口ぶりで小鉄くんが輪の中からまた出てきます。守助くんは小鉄くんを精一杯睨み付けました。
「てめぇか!!」
「なんだよ?ナンカアッタノー?」
「ざっけんな…てめぇがやったかって聞いてんだよ!!」
「だから、何をって。いってぇ、いちいち服掴むなってぇー!!」
「じゃあ誰だよ!!」
興奮する守助くんは小鉄くんに殴りかかろうとしますが、小鉄くんは相変わらず動じない姿勢を見せています。
「誰かがさぁ、守助のズボン下げたら、でかパンも一緒に下がっちゃったらしいぜ?」
まるで他人事のように言う源太くんの声に、小鉄くんは「うっそー」と楽しそうに声をあげます。
「ごまかすんじゃねぇよ!! てめぇがやったんだろ!? ア!?」
「いてててて……俺じゃねえって、てか守助くんそれ本当なのか?まーたお尻丸出しになっちゃったのかぁ?」
「な、な…なってねぇよ!!」
「だったら怒らなくてもいいじゃんかよ。怒る理由なんてないだろう?」
まるで小鉄くんの言葉の誘導でした。守助くんが自分からお尻を見られましたなんて言えるわけがないんですから。守助くんは突き飛ばすように小鉄くんの服を放すとその場の全員を睨み付けます。もう笑っているものはいません。みんなちょっととぼけてるような、知らん顔をするものがほとんどでした。
守助くんの瞳は怒りや悔しさで燃えていましたが、その莫大な屈辱のせいか、その瞳の奥には光るものがありました。最悪それにいち早く気づいたのも目の前にいる小鉄くんだったのです。
「あれっ、あっれれ?守助くぅん、ちょっと泣いてないか?」
「泣いてねえよ!!」
守助くんはそう言ってもう一度顔を素早く洗いました。最早僕らからすれば涙を隠しているようにしか見えないものでした。悪態を付きながらもその場を立ち去る守助くんの巨体はどこか寂しそうなものでした。それは守助くんへのイジメが始まる前兆だったと思います。

脱糞パンツ

小鉄くんは散々守助くんのおちんちん遊びを終えると、やっと一息ついたところでさっき脱がしたばかりの守助くんのでかパンを拾い上げました。そして、それを広げると目をまん丸くさせて、オェエエと叫んで舌を突き出しました。見ると白のブリーフの内側は所々黄ばんでいます。
「んじゃこれぇ!!…ったねぇえ!!」
「ひょっとしてさ、電気あんまでオマル我慢できなくなっちゃったのかぁ?(笑)」
源太くんたちも横でそう言って笑いを誘います。正直僕としては守助くんの汚れてないブリーフなんて見たことがなかったので、区別なんて付きっこなかったですが(笑)。けれどいつもよりほんの少しばかり黄色の染みが広がって見えたことは気のせいでなかったはずです。
「んなぁなァ、女子ももっと近くで守助のチンチン見ろって~。おもしれぇゾ」
「…えっ、待ってよ!!あたし、絶対嫌だから!!」
「ええや~ん、生のチンコなんて普通見れんやろぉ?チャンスやってえ」
「見たくないわよ!!そんなもん、汚い!!…って、ちょ…ちょっとぉ!!引っ張らないでってばァ!!」
既にほとんど抵抗がなくなった守助くんを源太くんに任せ、手の自由になった国彦くんが進んで女子の腕を引っ張って守助くんの股間の前に座らせようとします。女子はみんな悲鳴をあげてはいるけども、正直あまり嫌がっているようには見えませんでした。いつも女子に嫌がらせばかりする守助くんが初めていたぶられている様子を見て、みんな内心成り行きを楽しんでいたのかもしれません。
「待てって、逃げんなってー」
「やめてよ!!もう見たからいいじゃないのよ」
「ちっこいから分からんやろォ?こっちのが見やすいって(笑)」
そんな彼らの楽しそうな会話が繰り広げられる中、守助くんが黙ってそれを聞き続けられる訳がなく徐々に顔をくしゃくしゃにしていきました。彼にとどめを刺したのはやっぱり小鉄くんでした。
「モリスケ~?どーすんだ?おめえのちっちゃい赤ちゃんチンチン、これから女子全員にじーっくり観察させられちゃうみたいだぜー?」
「…うっ、ぐっ、や…だ、い、い、やだ…」
「泣くなよぉ?大丈夫だって、ちゃーんと女子全員にお前のチンポコ拝ませた後にさ。ちゃんと指でピコピコ弾かせて遊んでやっからよォ、もちろんここにいる全員でな(笑)」
小鉄くんのその言葉が真意だったかどうか、その時はまだわかりませんでした。
しかし小鉄くんの言葉には妙に迫力があるせいか、近くにいる僕でさえもその台詞を聞いて戦慄を覚えてしまいました。小鉄くんが女子全員にその行為をやらせている姿が容易に想像できてしまったからです。もちろん、当人の守助くんにとってはそれ以上の衝撃だったのではないでしょうか。
その言葉を引き金に、守助くんはとうとう爆発したかのようにウワッと声を上げて大泣きしてしまったのです。みんな始めて人前で泣く守助くんの姿にピタリと動きを止め、不安げな顔付きになりました。小鉄くんだけはエッエッと満足げに笑みを浮かべています。
「おいおい~お前らイジメ過ぎだろォ?守助クンが泣いちゃったやんか~」
あくまで小鉄くんは第三者目線で嬉々としてそう言って、源太くんに両腕を放すように指示しました。守助くんはその場に裸で座り込み、股間を覆うようにして丸くなると、声を上げて泣きながら大量の涙をこぼしていました。
それはまるで家で母に怒られた時の守助くんを見ているようでした。逆に言えば外で彼のこんな姿を見たのは何年ぶりかと感じてしまいます。
それから僕は、もしかしてもうパンツを返してあげるのかなと、内心ドキドキしながらもどうしてか半ば残念な気分になっていました。しかし小鉄くんはまだ満足していない様子で…。
「本当はかわいそうだから返してやりたいんだけどさあ、でもこれって約束じゃん?だからしょうがないよなあ」
小鉄くんはそう言うと足下で砂まみれになった守助くんのくしゃくしゃのズボンを拾い上げて、守助くんの着ていたシャツ…パンツごとを丸めて強引に国彦くんに持たせました。それから悪戯っぽくニカッと笑って
「そんじゃ、俺らはかーえろっと」と言いました。
ポカーンとして立ち往生する僕ら。蹲って泣いている守助くんを気にかけながらも、僕らは何とも言えない表情になります。
「ほら、みんなも帰ろうぜ。俺腹減っちゃってさー。あ、そうそう今日おれんちこねーかー?」
小鉄くんは何事もなかったかのように国彦くんと源太くんと話しながら、神社を去って行きます。続いて女子。守助くんの傘下の子分達。全裸で蹲っている太った男子を哀れんだ目で見る子もいれば、もう完全に馬鹿にしている表情の子。それは色とりどりでした。また一人、また一人と、子供達はその場を後にしていきました。

僕も実は帰ろうと誘われて途中まで帰宅をしかけていたんですが、やっぱり弟ですし多少なりとも罪悪感があったのかもしれません。踵を返して、僕は神社に戻ってました。守助くんは同じ位置で、同じ姿勢で蹲っていました。どうやって慰めたらいいのかわからずあたふたしていると、
「……なに……見でん……だ……よ……」
守助くんは涙ぐんだ声でそう僕に言いました。泣きはらした顔を上げて、僕を睨み付けます。
「さ、さっざど……よごぜ!!」
「……え?」
「ズボンに決まってるだろっ!!」
守助くんがもの凄い勢いで怒鳴りました。戸惑いましたが、彼の気迫に押されて慌ててズボンを脱いで渡してしまいました。しかし幸運にもぼくはその日、自分でもきつめの半ズボンを履いていました。ですからそれが守助くんのお尻のサイズに入るわけがなく…。
守助くんはよたよたと立ち上がると、寺の建物の影でズボンに何度か足を通そうとしておりました。しかしいくら力んでもズボンは太股のところで止まってしまいます。死ぬほど隠したい巨大なお尻や、小鉄くんに嫌と言うほど弄られたおちんちんを隠すことはできないようです。
「な……な…んなんだよぉコレえッ!!!こんちくしょおぉお!!!」
守助くんがとうとう苛立ちの声を上げました。そうして彼が試行錯誤しているうちに、神社にいくつかの人影が現れました。すぐに同じ小学校の生徒達だと僕には分かりました。
校則で帰宅時に神社への侵入は禁止されておりましたが、何人かの帰宅生徒がたまにショートカットでここを通るのを僕は知っていました。何より決闘を見学に来てしまった僕が言うのもおかしいでしょう。

慌てて僕は守助くんにそれを伝えました。するとズボンが上がらない守助くんは慌ててそのまま走ろうとするのですが、ズボンに足が突っかかっているため、ヨチヨチ歩きになってしまっています。
パンツ姿の僕が言うのもなんですが、前も後ろも丸出しの状態でヒヨコ走りするデブ少年の姿ほど可笑しいものはありませんでした。僕は笑いを堪えながらも守助くんを連れて逃げるようにして反対側の舗装されていない山道に出ました。そこで守助くんは僕のズボンを僕に投げ返してきました。
「こんなもん…なんで履いてんだよ!」
今度こそ守助くんは素っ裸です。どうするかと思いきや、守助くんはなんとフルチンのまま、ランドセルを股間に押しつけながら走り出したのです。
その光景はというと、十一年間生きてきた僕が今まで見て来た中で一番悲惨で、滑稽なものでした。なんせ太っちょのガキ大将が全裸でお尻や胸、腹をゆっさゆっさと揺らしながら山道を下っていくのですからね。園児だってこんなみっともない真似はごめんでしょう。それを小学校の最高学年の少年がやるのだから凄い光景なのです。
たまに人の声がすると、守助くんは警戒するように木の陰に隠れては、辺りをキョロキョロと不安そうに見渡し、僕に人が来ないかどうが尋ねてきます。学年は同じでも、日常で兄の守助くんに頼られたことがなかった僕はそれだけで優越感に似た感情を覚えました。守助くんはきっとそんな余裕さえなかったんだと思いますがw
「な、なあ…いねえよな?だ、だれも……ほんとに…来てねえよな………」
守助くんの焦りには悪いですが、僕は何とか口元に浮かび上がる笑みを隠しつつ、一応は真剣に辺りを確認しつつ、全裸の守助くんの誘導に務めました。
しかし、山道を抜けると田んぼが並んだ広い路地へたどり着いてしまい、守助くんの肥えた身体を隠す木々もほとんど見当たらなくなってしまいます。家までは目の前の道を真っ直ぐ走るだけでしたが、まだ数百メートルはありました。みんなで喋っていればすぐに辿り着く距離でしたが、ただでさえ足の遅い守助くんが走っても数分はかかってしまいそうです。
登下校の生徒達はちらほら帰路を並んで歩いていましたが、誰一人としてこちらに気づいた様子はありません。
守助くんは側の大木に身を隠しながらしばらく辺りを窺っていましたが、意を決したように大きく深呼吸したかと思うと飛び出して、全速力であぜ道の上を駆け出しました。周囲にできるだけ人がいない瞬間を見計らって飛び出たしたと言えど通学路です。数人の子供にはどうしても出くわしてしまいます。誰もが全裸でランドセルを背負って走り抜ける少年の姿を見ると、一瞬目をまん丸くさせて仲間同士顔を見合わせ、どっと笑い声を上げます。
それがガキ大将の守助くんと認識している子がどれほどいたかわかりません。乱暴者の守助くんは小さな田舎町では有名人でしたので、体型と背丈で気づいていた子も何人かいたはずで。
途中でもちろん大人の人にも会いましたが、呆れたように笑ったり「こら!」と冗談っぽく叱ったりする人だけでした。思えば四年生くらいまで守助くんは素っ裸で外なんて平気で歩いてましたし、大人から見ればたかが二年なんて変わらなく思ったのかもしれません。
幸か不幸か………あの守助くんがまさか素っ裸にされてストリーキングさせられているなんて誰も思わなかったようでした。
守助くんは家につくと早速家の中に猛ダッシュして入り、急いでパンツを履くと床に頭を付けてその場でまた声を上げて泣き始めました。先に帰ってきてテレビを見ていた芳彦くんは、全裸で帰ってきた兄を見て目をまん丸くさせておりました。僕もやっと今日の出来事の実感が湧いてきて、初めて守助くんに同情の視線を投げかけました。しかし僕と芳彦くんが、守助くんの近くに寄ると守助くんは真っ赤な目をこちらに向けて「見てんじゃねえ!!!」と力強く怒鳴ります。僕らに見下ろされて馬鹿にされていると思ったのかもしれません。いつものように暴力を振るう勢いすらない守助くんが、何だか可哀想に思えて仕方がありませんでした。

そう言えば、家での守助くんですが、よくどんな感じか聞かれますが、本当に自由です。朝はいつだって起きるのに時間がやっとかかります。母の怒鳴り声を四度くらい聞いてからやっと身体を起こして、太鼓腹とまん丸の尻をぼりぼり掻きながらやっと食卓にやっくるのが日課です(笑)。
あの事件の翌日も、守助くんが朝食にとりかかる頃には、僕と芳彦くんは既にランドセルの中身を再チェックして登校の準備を整えておりました。守助くんは朝便を快適に終えるとまた寝転がろうとして、母に無理矢理立たされています。幼稚園の時からずっとコレなので僕と芳彦くんは驚きもしません。意外だったのは守助くんは昨日散々泣いた後に一眠りして、その後は特に堪えた様子なく普段通りの傲慢な態度に戻っていたことでした。来年中学になる少年が家から数百メートル先の神社から全裸で走って帰宅。そんなとんでもないことを成し遂げた後のこの開き直りは、当時の僕にはもう一周回って尊敬に値してしまいそうでした。

予想はしていましたが、その日僕と芳彦くんは学校に向かう途中で様々な学年の子に声を掛けられました。山道を登りながら、登校中の子どもはみんな守助くんの話で持ちきりでした。昨日神社にいた少年達の間からデブ少年の全裸帰宅の噂がとんでもない速さで広まっていたようでした。「モリくん、フルチンで帰ったってマジなんか!?」
「ちんちん見たの?」
「なんかさ、花岡くんにボコられて女子もいる前でちんぽこ丸出しにされたらしいぜ、んで全裸で大泣きしたんだってよ(笑)」
「あのモリくんが!?ウッソだろ!?」
守助くんは年下の間で特に恐れられている存在であったせいか、その出来事を半ば信じられない顔付きで聞いている少年は数少なくありませんでした。
僕は守助くんを気遣って彼らの質問に曖昧に答えていましたが、芳彦くんはその話には至極ノリノリで、当事者でないのに何故か自慢げに兄の失態を語っています。芳彦くんは僕に似て大人しいタイプでしたが、僕と異なって守助くんの嫌がらせにも滅多に泣くことはありませんでした。我が儘で天真爛漫な守助くんとは違い、昔から頑固で我慢強い性格のタイプの持ち主なのです。
「俺もいたわ~、しっかもさ寝小便暴露されてやんの、アイツ」
「エ゛ー!! たまに布団干してあんのさ、あれ信二くんかと思っとったわ~w」
五年生の中でもやんちゃの一路くんの言葉にみんなが笑います。
「もう、何で僕なのさぁ」
僕は情けないことに普段から五年生にからかわれることも少なくはありませんでした。昔から守助くんに虐められていたせいか気の弱いイメージが定着してしまっているようでした。
「信二くんなわけないよ。あのデブに決まってんじゃん」
芳彦くん当然と言った口ぶりで僕を庇ってくれました。こう言うときの芳彦くんは本当に頼もしく思えます。実兄を批判して義理兄を助けるなんておかしな話ですが、幼い頃から毎日一緒の芳彦くんは弟と言うより親友みたいなもので
した。
「うげぇ、マジかよ。まあなーとなく気付いてたけどよ。んでもさぁ六年でオネショとかありえないよなあ」
「じゃあ今度、この中の誰かがモリ豚に聞いてみるってのは」
「俺、殴られん嫌やし。お前が聞けってー」
いつにも増して楽しそうな彼らの会話を聞いているといつの間にか古びた小学校の校舎に辿り着いていて、僕らは下駄箱で上履きに履き替えてから別れました。教室に入るとそこでも賑やかな生徒達が目に入ります。
「ああん、チンチン見ないでェ!!」
黒板の前のところで小鉄くんはクラスメイト二人に肩を組まれていました。小鉄くんはオカマみたいな口調で叫んで周囲の注目を浴びています。彼の周りにはいつものようにグループの輪ができているのですが、今日はどうやら女子も数人混ざっているようでした。
「ほれ~、これでも喰らえ!!」
輪の中にはいつものように盛り上げ役の国彦くんも中心にいます。彼は小鉄くんの股間にめがけて、軽く指ぱっちんをします。すると小鉄くんは「いやああん、ボクのおちんちんがァあぁッ!!」とか「ダメェエエ!!」とか次々とガラスを引っ掻いたような声を上げて周囲の生徒を笑わせます。
内容を聞かなくとも昨日の実演をしていることは容易に想像できました。僕は黙って席に着こうとしましたが、そこでちょうど右隣の守助くんの机を見てギョッとしました。守助くんの机の上はびっしりと鉛筆で悪口や落書きが書いてあったのです。守助くんにとってタブーである『デブ』とか『豚』はもちろん『ミニチンポ』『寝小便豚』との彼にとって酷なワードもビッシリと羅列していました。そしてその中央には『ちんぽこ丸出し帰宅 おめでとう』との文字があり、その横には肥満体型の少年の肖像画が描かれていました。絵の少年はパンツ一枚身につけておらず、股の付け根にはその体型に不釣り合いな小さな性器の絵が丁寧に描かれています。
「それやったの、小鉄たちだよ」
近くで席について座っている数人の男子が、僕にこっそりと教えてくれました。
「流石にちょっとやり過ぎだよな」
兄弟の僕を気遣って言ったのか、本心で言ったのか分かりませんでした。しかし彼はそれだけ言っただけで興味なさそうにそっぽを向いてしまいます。まだ守助くんは教室にきていません。僕はランドセルから筆箱やノートを取り出して引き出しにしまい。それから守助くんの机の上の惨状にもう一度目を移しました。消しゴムでそれを消すことは簡単でしたが、目立つ行為はしたくはありませんでした。小鉄くんたちに何か言われるに決まってますし、運悪く守助くんが教室に入ってきたらまるで僕がやったかのように思われてしまいます。
しかしそれと同時に、守助くんがこれを見たら一体どんな気持ちになるのだろうと別の感情が僕の中で渦巻き始めておりました。それは子どもの好奇心から来る一種の興奮に近い感覚だったかもしれません。高鳴る心臓の音を感じながら、僕は守助くんがどんな反応をするのか想像せずにいられません。罪悪感はありました。しかし実際守助くんはこの手のイジメで、大人しい女の子たを何人泣かせてきたことでしょう。先生に注意されても全く反省せずに繰り返し行うため、母が学校に呼ばれたことだって何度かありました。確かに彼の机の落書きの内容は見過ごせないものがありましたが、彼の今までの非道な行いからすればそれに見合った報復…いやもしくはそれ相応のレベルにさえ達していないのが本音です。
それから数分後、守助くんはいつものように遅れて学校に教室に入ってきました。守助くんを見ると小鉄くんたちは話すのを止めて彼に注目します。守助くんは彼らに一つの視線も投げかけず席に向かいます。そして予想通り机を見ると立ち止まり、体を硬直させました。
守助くんは拳を固く握りしめ、丸い頬をぶるぶると震わせておりました。いつもならこの場で怒声を放つ彼も、今日ばかりは唇を噛みしめてランドセルから筆箱を取り出します。そして滅多に使わない筆箱が空のことに気がつくと、僕の筆箱を乱暴にひったくって消しゴムを取り出します。僕の筆箱が音を立てて床に落ちて鉛筆がバラバラになりました。近くにいる女子が疲労のを手伝ってくれましたが、落書きを消す守助くんを助ける生徒は誰一人としていません。
初めて見る守助くんの必死な姿を楽しんでいる生徒もいましたし、彼の怒りに怯えている女子生徒もいました。僕は守助くんが落書きを消し終えてから今にも小鉄くんに殴りかかるのではないだろうかと気が気ではありませんでした。
しかしその小鉄くんは自ら守助くんの席にやってきたのです。
「よお、モリモリスケくん!おはよう~今日も天気がいいですなあー」
やけに明るい声を出して小鉄くんは守助くんのふとましい肩をポンポンと叩きます。そして今その落書きに気付いたようにわざとらしく声を上げました。
「うっわ!! なんだぁ、この落書き!! ひっでえなァ!!? 誰がやったんだよぉ」
守助くんが小鉄くんをギロリと睨みました。小鉄くんは怯みません。
「うはっ。なんか寝小便豚とか書いてあるんだけど、ひどくね!!? つーかコレ誰のことなんだよぉ、なァ…モリスケくーん?」
「…んめェ!! だ、黙りやがれッ!!」
守助くんがとうとう小鉄くんの襟を掴んで近くに引き寄せました。周りの女子から悲鳴があがりますが、小鉄くんはそんな状況でも「まあまあ」とヘラヘラと笑ってこう続けます。
「でもカワイソウだよなぁ、こんな落書き書かれたらさー。まるでモリスケくんがクラスのみんなにイジメられてるみたいだよなァ?」
イジメられている。その言葉を聞いて守助くんは頬を紅潮させました。プライドの高い守助くんとしては絶対に人から言われたくなかった言葉だったんでしょう。しかもクラスメイト全員の前で。
「……もういっぺん言ってみやがれ!! 誰がイジメられてるんだって!? あァ!?」
守助くんは鼻息を荒くさせながら更に小鉄くんの顔を引き寄せて、もの凄い形相で睨み付けました。背が低く丸顔童顔を生まれ持った守助くんでも、ここまで鶏冠に来ていると迫力が並大抵のものではありません。あの国彦くんたちでさえ心配そうに事の成り行きを見詰めていました。しかしここで怯まないところが小鉄くんのすごいところです。
「いちいち近くでうっさいなあ、くっせえツバ飛ばすなってのー」
「…ッ!? なんだとこらァ!!」
申し遅れましたが守助くんこそ町一番の問題児として有名でしたが、小鉄くんも当時はやんちゃな性格においては守助くんに引けをとっていなかったかと思います。ただ小鉄くんの場合は大人の前では建前上礼儀正しくしていたこと、いざという時には身を引くずる賢さもあってか彼の存在があまり目立っていなかっただけかと思います。(もちろん守助くんの悪戯の内容が常識の範囲を逸脱し過ぎてしまっていたのが一番ですが)その小鉄くんを支える狐顔の国彦くんは何かとばかりにキャンキャン騒ぐようなクラス一の盛り上げ役(お調子者?)として知られていましたし、国彦くんとは正反対に無口で無愛想な表情をいつもしている源太くんは、まるで中学生に見えるようながっちりとした体躯の持ち主で、年上でも彼にケンカを売る子は見たことがなかったくらいです。まあでもそんな彼がチビの小鉄くんには頭が上がらないのですから、周りから見るとますます小鉄くんの偉大さが引き立てられるのでしょう。
話は変わりましたが…そんな小鉄くんらグループが守助くんの弱みやコンプレックスを知ってしまったので、守助くんにとっては相当都合が悪かったかもしれません。大泣きした守助くんは口が裂けても昨日のことは大人には話さないでしょうし、ある意味小鉄くんにとっては守助くんを陥れる最高のチャンスだったかもしれないのです。
「こいつ、ぶっ殺す!!!」
守助くんが小鉄くんに殴りかかろうとしたその時、ちょうど始業チャイムが鳴りました。しばらく守助くんは拳を振り上げたままでいましたが、先生が来ると同時に腕を下ろすと小鉄くんを思い切り突き飛ばしました。体重の軽い小鉄くんは軽くよろめくと床に尻餅を付き、痛そうに打った尻をさすっています。
小鉄くんの歪んだ顔を見ると、単純な守助くんはそれだけでちょっと満足したようにニヤリと笑い、どかっと重い腰を下ろしました。クラスメイト全員の前であの小鉄くんを突き飛ばしたことは、守助くんにとってはさぞ気持ちいいものだったかもしれません。太い腕を組んで自分の強さを周囲にアピールするかのようにフンと鼻で笑っています。どう足掻いたって昨日の全裸帰宅の事実は消えないというのに、と僕はさっきは守助くんを同情した気持ちをもう忘れて、半ば呆れた気分になっていました。

小鉄くんは数名の女子に体を支えて起こしてもらっていました。ちょうど教室に入ってきた担任の金子先生は緊迫したクラスの空気に気付いたようでしたが、どうせ守助くん絡みのいつものことかと思ったのでしょう。軽くため息を付くだけで特に何も言いません。
突き飛ばされ小鉄くんも意外にも言葉を発さずに、ニヤニヤ笑っている守助くんの横を通って自分の席に大人しく戻ります。国彦くんと源太くんは相変わらず心配そうに小鉄くんを見ていましたが、号令が始まると真っ先に前を向きました。
担任の金子先生は体育会系の若い男の教師で、子どもには性別年齢関係なく厳しいタイプの人でした。金子先生は二年連続僕と守助くんの担任でしたが、その理由は言わずもがなです。守助くんは教室で毎日問題を起こしていましたし…最近は減りましたが一日一人は女の子が泣いたり早退したりしていた事だって珍しくありませんでした。三年生の時に担任の優しい女の先生が交代したこともありますが、僕も子どもなりにも原因は何となく分かっていたつもりです。
今と比べると体罰だって当たり前だったし、クレームもほとんどない時代でしたが、それでも度を過ぎる守助くんの行いに黙っていられない保護者は毎年毎年後を絶ちませんでしたもの。
金子先生は淡々と本日の連絡を済ませると、朝の会を始めました。
いつもと同じ一日が始まるかと思いきや、そこで事件は起こります。金子先生は教壇の中に入っているあるものに気がついて、唐突にそれを引っ張り出しました。
「なんだァ、これは…???」
その白い物体がナニか分かったとき、途端にクラスが爆笑の渦に包まれます。なんと金子先生が引っ張り出したのは一枚の汚れたブリーフでした。どうやら教壇の引き出しの中にそれは押し込まれていたようで、今やクラス中の視線の的になっております。金子先生の手によって。
「面白くもなんともないぞ!!誰の悪戯だ!?」
金子先生は図太い声で笑っている生徒達を叱責します。いつもはその迫力でみんな静まり返るのですが、今回は目の前のブツがブツだけになかなか笑い声が止まることはありません。金子先生がもう一度声を張り上げてやっとクラスが静まりかえります。
「誰がやった!!」
とは言われても、だいたいこんな悪戯をするのは守助くん以外には通常はあり得ません。あの鬼の金子先生の引き出しに、ダンゴムシを大量に忍ばせたり、ネズミの死体を押し込めることができるのも彼しかいないのです。
極めつけにその通常よりビックサイズのブリーフを履いているのは、どう考えても守助くんしかいないわけで…。ある意味守助くんにとって逃げ場がない状況でした。小鉄くんがさっきやられた姿を敢えて金子先生に見せた意味を、僕はようやくその時に分かった気がしました。
「…正直に言えって言ってんだろう!!」
金子先生は教壇を拳で叩きつけました。僕はやってもいないのにそれだけで怖さで震え上がってしまいそうでした。他の生徒も同じ様子で、さっきまでの賑やかさが嘘のようにシンと静まり返っています。
ただ金子先生も鼻からみんなを疑っているわけではないようで、その目は守助くんを真っ直ぐに捉えています。(ある意味この状況では致し方ないのですが)守助くんはいつも悪戯をしたときは目を反らしてニヤニヤしていますが、今日はもちろん顔を真っ赤にさせて俯いていました。他の生徒の視線も守助くんに集まっている気がしました。
そこで間の延びた声が教室に響きます。
「ねえーセンセー」
小鉄くんでした。と言うよりこんな状況で言葉を発することができるのは、守助くん以外には彼しかいないでしょう(笑)。
「なんだ?!」
金子先生は鋭い瞳を小鉄くんに向けます。小鉄くんは特に怯んだ様子もなく、「あのぉ、そのパンツ……オシッコ付いてませんか?」と、遠慮がちに言いました。
その言葉に教室の雰囲気が少し変わりました。金子先生は怖い顔付きを和らげ、口元にちょっと意地悪な笑みを浮かべて「本当だな」と言って初めて笑いました。その反応に安心した生徒たちも少しずつざわつきます。
「センセー、名前書いてないんですか、それ」
今度は国彦くんがおかしそうに訊ねました。すると金子先生はパンツを広げながら色々な角度で眺め、それから何を思ったのかパンツを裏返しにしました。
所々汚れていてもまだ白い部分もあった布も、裏返しとなると完全に黄色や茶色の濁った色が遠くからでもはっきりと分かります。
「うわ~!! 糞と小便まみれじゃん!!」
小鉄くんがそう言うと吐くまねをして、クラス中が爆笑に包まれます。中には「オェエエ!!!」と吐く真似をしている子もいました。怒りなのか、恥ずかしさなのかそれとも両方なのか、隣の席の守助くんは拳を握りしめて小刻みに体を震わせていました。
「でも、恥っずかしいよなあ、だってあれやろォ!? そいつは脱糞パンツ履いて毎日登校してるってことやろぉ!?」
「脱糞パンツって言えてるw」
「あれじゃね?毎日でかいケツ揺らしながら、糞プリプリ垂れ流して歩いてん
じゃねーのソイツ」
国彦くんも調子付いて、お尻を左右に振って「ブリッブリッ!!」と下品な声を上げて周りを沸かせます。
「ギャハハ!!クッセークッセー、てかそいつの席からここまで臭ってきそうだわ~」
国彦くんの言葉に、守助くんの近くの席の男女が顔をしかめると、机と席の位置をできるだけ遠くに移動させました。守助くんは俯いて唇を噛んだまま何もいいません。
「コラー、静かに。そんなこと言ったらこのパンツの持ち主が可哀想だろう」
金子先生も口元を曲げながら、珍しく大人しくなっている守助くんをチラリと見ると満足げにブリーフの両端を手に持ち、パン!!パン!!と音を立てて広げました。またもや生徒の歓声が湧き上がる中、なんと金子先生は黒板の上部についたレールの上に守助くんのブリーフを引っかけたのです。しかも、ちょうどシミの集中した部分がクラスに向けられるような位置で。
女子が軽く悲鳴を上げて、男子生徒からはけたたましい笑い声が響いています。朝の会でこれほど騒がしくなったのは初めてかもしれませんw
金子先生は一端みんなを静かにさせると、「パンツをここに入れたってことは、みんなに見てもらいたいって言ってるのと同じだもんなァ?」と、守助くんの方に目をやりながら言いました。小鉄くんもまさか守助くんのパンツが黒板に貼り付けられるなんて思ってもしなかったのでしょう、もう笑い声を抑えるのに必死な様子でした。席の近い国彦くんと源太くんは笑いすぎたのかヒーヒーと苦しそうに息を整えています。
「そんなに自慢のパンツを見て欲しいんだったら、お望み通り今日一日みんなに見てもらおうな。その…花岡なんつったっけ?」
「脱糞パンツ!!」
小鉄くんのその言葉にどっと生徒達が吹き出しました。
その後、一時間目の授業は国語でしたが、誰もがみんな授業内容なんて頭に入っていなかったと思います。金子先生の背後で広げられたブリーフは恥ずかしい部分を強調させながら、窓からたまに流れてくる風によってひらひらと揺れているわけなのですから。授業中守助くんは一言も発さず、教科書やノートすら開かずに無言で拳を握りしめ、何もない机をひたすら睨んでいました。金子先生は守助くんのそんな様子を気にも留めず、授業を続けていたかと思います。

パンツ下ろし

普段は静かな神社に、守助くんのまだ声変わりのしていない焦りと恐怖の入り交じった叫びが響き渡っていました。守助くんは両腕を両サイドから源太くんたち二人にガッチリ組まれているせいで身動き取れずにいました。何度もそれを振りほどこうとしていましたが、例の電気あんまによって体力を消耗し切っていることから、まともな抵抗はできない様子でした。小鉄くんはニタニタしながら無防備なデブ少年の目の前まで歩き、彼の目の前で屈みます。そして、ニヤッと笑うと彼のブリーフの両端を両方の手の指先で摘まみました。
「…や………やめろぉ…」
守助くんは恐怖と焦りの入り交じった声を発します。その表情は僕が立っている位置からは見えませんでしたが、だいたい想像がつきます。
「…嘘でしょ?」
女子の数人の声が聞こえました。さっきの小鉄くんの過激な発言は周囲を湧かせておりましたが、あまりにも現実味がなかったためみんな笑っていたんだと思います。だってまさか、あの守助くんを本当に素っ裸にしようとしてるなんて、思いもよりませんし。しかし、次の瞬間。小鉄くんは声を上げました。
「おっしゃ~!!んじゃ、みんなしっかり見とけよぉ~~!!それでは、守助くんのチンタマ公開十秒前~!!」
小鉄くんがカウントを始める。気づいた国彦くんと源太くんも楽しそうに声を揃えた。嘘だよね?と僕は心の中で何度もその言葉を反芻させました。やんちゃな小鉄くんでも流石に女子や下級生のいる前で、こんなこと…。五、四とそのカウントは徐々に少なくなります。半ば半信半疑だった守助くんもカウントに徐々に焦り始めたのか、興奮した口調で小鉄くんに叫びました。
「てめえ…おい!!…ま、まじで…そ、そんなことやったら…絶対ぶっコロす!!!!……ぜ、ぜったい…殺して…や、やる…から!!」
守助くんは何だか最後の力を振り絞って、全身全霊で吠えているように見えま
した。しかしその言葉はいつになく震えていて語尾に力がありませんでした。半ばパニックになったな表情で周囲を不安げに見渡す守助くんのその瞳は、助けを請うような縋る色さえ含んでいました。
そんな守助くんが始めて見せる表情も気にせず、三人組は益々ヒートアップしていきます。
「ウオーッ!!これさ、ひょっとして歴史的な瞬間来ちゃうんじゃね!?w」
「アッハ、小鉄くん。マジかよ!?マジでやっちゃうんか!?」
国彦くんと源太くんも守助くんを押さえつけながらはしゃいでいます。その様子は今思えば、これから刑を執行される死刑囚のようでした。そして誰もが見守る中、その残酷な公開処刑が行われたのです。
「……にーっ、いち…!!……でわ~みなさんお待ちかね!!」
小鉄くんは興奮した口調でそう言うと、改めて周囲をなめるように見回し、それから守助くんに向き直り、その指先に力を込めました。
「ブタのケツとチンコ大公開(笑)!!そんじゃ、イッキマース!」
「…だッ、ダメ!!!」と叫ぶ守助くんの意思を無視して、楽しそうな「せーの」
と言う小鉄くん達のかけ声が上がりました。次の瞬間、守助くんの真っ白なブリーフは彼の太い膝まで一気にズリ下がったのです。

僕はちょうど守助くんの後方に立っていたので、まず目に飛び込んだのが守助くんの大福餅みたいな色白のまん丸なお尻でした。下着が下がった反動で彼の頼りない尻肉がプリンと波打ったのが分かります。義理とは言え、僕も同じ屋根の下に住む兄弟です。守助くんのお尻なんて家で腐るほど見てましたけど、外で見ると改めて大きく、その脂肪詰まったもちもち感が何とも情けなく見えてしまいます。
守助くんの子分として見学に来ていた少年達も、まさか守助くんがケンカに負けた挙げ句こんな醜態を晒してしまうとは思ってもいなかったんでしょう。
腹を抱えてゲラゲラ笑ってます。女子も予想外の出来事に悲鳴を上げ、そして女の子同士で固まって囁き、笑い合い「なにあれえ」とか、「さいてえ」とか好き放題言いながらも決してその場を立ち去ろうとはしません。
その中でも一番ウケていたのは近くで見ていた三人組でした。だって小鉄くんなんてぶぶーっと吹き出してしまってたし、国彦くんなんて彼の腕を固めるのを忘れて、地面に尻をつけて笑い転がっている状態…。
「ギャッハッハッハ!! オイ、源太も見ろって!!コレコレ!!!びっくりするほどちっこいてぇー!!」
「バカ!!国彦!! 手放すなって!! この豚逃げんだろうが〜」
地べたで笑い転げる国彦の代わりに、源太くんが守助くんの両腕を押さえる羽目となっておりましたが、図体のでかい彼はどんなに守助くんが暴れようとも涼しい顔を見せていました。そして普段は無口でポーカーフェイスで知られている彼も、この時ばかりは周囲の反応を楽しむかのように口元をいやらしくにやつかせていたのです。
「わりぃな、源太。でもよぉ、コンナノ誰だって笑うぜ?」
国彦くんが「コンナノ」と言いながら守助くんの下半身を指さしたように見えました。守助くんは沸騰したように赤くなり、国彦くんに飛びかかろうとしましたが、学年一力の強い源太くんには到底敵いません。
「おーい、お前らもこっち側来いってw守助くんのおちんちん見えるぞ〜?」
「や…やめろ!! やめろお!! はなせよ!!」
守助くんは無我夢中で喚きますが、全裸で喚いているデブ少年の言葉なんて誰が聞きますでしょうか。それに年頃の僕ら子どもにとってはこんな面白い出来事、滅多にありませんし…。
後方(守助くんのお尻側)で見物していた生徒達はみんな揃ってぞろぞろと前方へと移動しました。男子はもちろんのこと、女子もキャーキャー言いつつとすんなりと動いたのは意外だったかもしれません。やっぱり女子もそれだけ普段拝めない男子生徒の股間の代物に興味津々だったと思います。
ちょうど守助くんのいちもつが見える位置に移動すると、そこには国彦くんたちに羽交い締めされた守助くんのなんとも痛ましい姿がありました。守助くんは今にも泣き出しそうな顔で、喉の奥から嗚咽を何度も何度もこぼしていました。自由の効かない裸体を右に左に捩って抵抗していますが、ただでさえ力の強い源太くんたち二人に両脇を固定された今、座りこむ仕草さえ許されないようでした。
彼のコンプレックスでもとも言えるとんでものサイズの小さなおちんちんはとうにさらけ出されていて、まるでその性器を乗せているだけのような役目に見える小さな玉袋も丸出しです。
面白いことにみるなァみるなァと彼が叫んで身体を揺する度に、おちんちんがぷるんぷるんと震えるので却って滑稽なのです。僕は見慣れていましたけど、やっぱりみんなには新鮮みたいでした。
数年前まで裸なんてへっちゃらだった守助くんですが、六年生にもなると普段は意識して隠すようにはなります。とは言えどんなに守助くんが努力しようとしても六年生になってもおねしょ癖が治らない守助くんは、朝になって下半身裸で母に尻叩きされてるなんてこともよくありました。それでも反省が見られないときは納屋に裸のまま放り込まれる時もあるくらいなので…。(当然これは口が裂けても人に言えないですが)

思い返せば守助くんが裸を恥ずかしがるようになったのも、五年生になった頃からでした。
確か母が近所のおばさんの赤ちゃんの面倒を見ることになった時。父がいつものように仕事仲間を家に集めて酒を飲んでました。酔っ払った父がオムツ替えしてる赤ん坊とたまたま風呂上がりの守助くんのおちんちんを不意に見比べて、
「おんめえ、赤ちゃんとおちんちんのサイズ一緒じゃねえか~?」
とか言ったもんですから、大勢のおじさんたちが、赤ちゃんと守助くんの股間のちょびっと付いたものを見比べ、それから一斉に吹き出しました。
「同じっちゅうか、モリモリちゃん微妙に負けてねーか?w」
「アッハ、そういや守助くん去年まで寝小便垂れとったくらいだもんなあ?」
「はァ?去年だってェ?なぁに言ってんだよ!!今年どころか、今朝も一発ドでかい水鉄砲かましてんぜ、コイツァよぉ!!」
彼らの楽しそうな言葉に酔った父が反論してピシャリと守助くんのお尻を叩きます。
「ほんま、勘弁して欲しいわ!!」
それを聞いたおじさんたちは一斉にガハハハと笑います。守助くんは耳たぶまで真っ赤になっておりましたが、父が怖いのは知っているので刃向かおうとしません。酒飲みのおっさん達には守助くんのオネショトークをつまみにしながら、何も言わない守助くんをいいことに父に様々な質問をぶつけていました。
普段から小生意気で悪ガキの守助くんの恥ずかしい欠点を弄るのを、この大人達は大好きなのです。中でも榊原と言う近所のおじさんが特に目立って守助くん弄りが大のお気に入りのようでした。
榊原さんは、ちょうどオムツ替えが終わった赤ん坊を指さし、
「モリスケちゃんもさ、ホレ、せっかくだで。赤ちゃんの横にオネンネしてママにオムツ付けてもらい行きぃ!!」
と言って父の真似をして守助くんの生尻を叩いて茶化します。母はと言うと、「みんな下品ねえ」だとか暢気な事を言いながらも全くもって気にしてない様子でした。
逆にテレビを見ていた僕と芳彦くんは彼らの非常識なやりとりにはケタケタと笑ってしまっておりました。僕らだって守助くんがからかわれるのは大歓迎なのです。
ただその時の守助くんと言えば、今まで見たことがないくらい真っ赤になっておりまして、表情は怒りと悔しさに満ちていました。根っから仕切りたがりの守助くんは、プライドだけはいっちょまえのところがあったのです。特に普段から格下に見ている僕ら弟の前でそれを言われたくなかったのでしょう。
ぼくと芳彦くんがそれに気がついた時には遅く、怒り狂った守助くんは僕らに裸のまま突進して背中や腹を蹴り上げました。母が怒鳴り声を上げましたが守助くんは、今度は酔っ払いのおじさんたちに向かって飛びかかっていき机の上の残った料理を握っては、彼らに投げつけました。結局いつもの尻叩きと納屋コースになったかと思います。
長くなりましたが、特に去年のその事件からは守助くんは特に裸を見られることを辟易していたかと思うんです。
そんな守助くんが六年になった今になって、女子や子分がいる前で一糸まとわぬ姿にされて観察されているわけですから、その屈辱と言ったら言葉で形容しようがありません。

守助くんの気持ちとは裏腹に、国彦くんと源太くんは口々に感想を言い合っています。
「ふぇー!!それにしてもすんげぇなあ~!!俺こんな近くで生んぽ見たの初めてやわ~」
「んだな。んにしてもこれってさあ、さっすがにチッコ過ぎでねえの?w」
「あっはっは!!だなあ~!!こいつこんなんもん股にくっつけて今まで調子こいてたんやろ~?クッソだっせえんだけど(笑)」
彼らの楽しげな会話に同調するかのように、最早守助くんの子分や女子達までもが薄ら笑みを浮かべ、素っ裸でとうに半べそをかいている守助くんの股間の代物を凝視しています。
「あれれェ、モリスケくん?…もしかしておちんちんちっちゃいのすっごく気にしてたのかなァ」
やっぱり一番楽しそうなのは小鉄くんだったかもしれません。守助くんの目の前でしゃがみ込んで、彼の小ぶりのいちもつをなめ回すように見つめ、ニタニタしながら守助くんの泣きそうな表情を下から眺めています。
「……はな…せよ……は、はなせよぉおお!!!」
守助くんは怒声を何度も発していますがほとんどが枯れて嗄れた涙声でした。
小鉄くんは守助くんの話なんて全く聞かずに、
「ほらほら~おしっこパンチュも脱ぎ脱ぎしまちゅよー」
と赤ちゃん言葉でそう言って彼の膝下まで下がっていたブリーフを丁寧に足首から抜き取ります。そして小馬鹿にするように守助くんにこう言い放ちました。
「家でさあ、いっつも朝かーちゃんにこうやってもらってるんだってなァ?」
「…な、何のことだよ………」
頬を硬直させた守助くんは思わず、動揺して小鉄くんから目を反らしました。でもそれ程分かり易い反応もありません。国彦くん源太くんは興味津々に身を乗り出して「え?どういうことなん?」と小鉄くんに尋ねます。おかしそうな、そして小馬鹿にしたような目を時折守助くんに向けながら。小鉄くんはニヤニヤが止まらないようです。
「言ってもいいんけどさァ~こんなとこでこの秘密バラされたらさ、守助くんのプライドズタズタになっちゃうぜ?自殺モンかもよ?」
それから答え合わせをするように、顔を僕の方にやって、「なあ?」と問いかけてきます。慌てて僕は顔を背けました。小鉄くんが言わんとしていることは、何となく分かりました。誰から聞いたかって。それを知ってる人はおのずと限られてきます。
「ええやん、既にこの状況でプライドも糞もないやろ」
源太くんの尤もすぎる台詞に一同がどっと笑いました。
「せやって。せっかくやし、洗いざらい話してもらおか?なっ、ぷるぷるおちんちんくーん?」
国彦くんが守助くんの赤ちゃんみたいな丸い頬をぺちぺちと叩いて冷やかしています。あの守助くんがもう完全に赤子扱いの状態でした。
守助くんはと言うと怒りと悔しさで頬を震わせながらも、小鉄くんを威嚇するように睨むしかできないようでした。
既にその瞳は涙で潤んでいるため、何の迫力も持っておりませんでしたが…。
「まあまァ、そんな怖い顔すんなって。どうせバレんのも時間の問題やろォ?俺も父ちゃんに色々聞いってけどさ、母ちゃんに口止めされてたんよな、守助くんが可哀想でしょうとか言ってさあ。んだからさぁ、いつか虐める機会があったら暴露してやろうと思ってたんだよな。んまっw今日がちょうど良さそうだなぁ~」
僕はふと、小鉄くんはどこまで知ってるんだろうと不思議な気持ちになりました。しかし思えば家に父の友達の酒飲みが集まることは多いので、家庭内の守助くんの知られたくないことは、意外にも簡単に外に駄々漏れしている事実に気がついたのです。
「んじゃ、ええやーん、小鉄くんシブンなってぇ。はよ教えてよお」
国彦くんがじれったそうに声をあげました。小鉄くんはエッエッエッと笑ってから守助くんに向き直り、「こいつさあ」と切り出します。そこで一端言葉を切ってからみんなの方を振り返って、皆が注目しているのを確認して……。
「毎朝、オネショしてるらしいぜ?」
小鉄くんのその言葉に、一瞬周りはシーンとなり、女子から「うそでしょ?」とか「マジなのそれ?」とか半ば半信半疑のような声があがりました。
守助くんの子分の下級生達も、初めて聞く事実に驚きの様子は隠せていないようでした。しかし数人は笑う代わりに小さく頷いていたので、やはり知られていたんだなと僕は確信しました。実際、守助くんのオネショ布団は三日に一度のペースで庭に堂々と干してありましたし、友人に聞かれても僕も芳彦くんは苦笑いするだけで何も答えられず会話を濁すだけ。聞いてきた子達も事情を察したのか、それ以上突っ込んで掘り下げてこようとはしなかったのです。
「マジなんだよなあ、なあ信二?」
急に僕に話を振られて僕は固まりました。違うよと言おうとしましたけど時既に遅く。返事がないことを真実と見抜いた彼らは騒ぎ始めました。
「衝撃の事実じゃね!?コレ!!」
「おい!!マジかよデブ!!まだオネショしてんの?おめえイクツだよ!!(笑)」
源太くんたちはゲラゲラ笑いながら守助くんの両肩を掴んだまま、彼の身体を揺らします。その拍子で守助くんの小さなおちんちんがフルフルと揺れてしまい、気づいた子ども達は手を叩いて笑います。
「………ち!!ちがっ!!…ちがう!!…ちがうって!!」
守助くんは頬を赤く染めながらも、必死に否定するのに精一杯な様子でした。
違うと言いつつもすっかり動揺してしまっている守助くんの瞳は、もう完全に泳いでしまっているので、あからさまにバレバレなのです。元々単純な性格の守助くんは嘘なんてつけっこないため、わざわざ僕に聞くまでもなかった事だったかもしれません。それにそもそも…裸の状態で弄ばれてる彼の言葉は誰の耳にも届いていないようでしたし…。
強いて彼を庇うなら、毎日ではなくて三日に一回くらいが正しい気がします。
去年まではもっと酷かったですが、これでも大分回数は減ったと母なりに褒めていました。酒飲みの父は相変わらず守助くんをからかっていましたけどw
「ヘヘッ、しかもさあオネショの度に、ママに洗ってもらってんだってなァ?
…おめえのコノ、ちっちゃな、ち~~~っちゃな……」
不意に小鉄くんが右手を守助くんの股間辺りに伸ばしました。何かをされると察した守助くんは表情を強ばらせて、咄嗟に腰を引こうと身体をがむしゃらに動かします。しかし両サイドの二人は阿吽の呼吸で彼の体を力強く押さえつけました。小鉄くんの指が伸びたのは、案の定守助くんの股間の手前でした。小鉄くんはそのまま狐みたいな指の形を作ったかと思うと、折りたたんでいた中指をピーンと弾いて、守助くんの股間に命中させました。
「オチン・チィーン」
その言葉と同時に守助くんの小ぶりのおちんちんがぷるっと揺れました。
「…ンア゙ァ!!!」と守助くんは喘いでしまい、その何とも情けない有様や光景に、その場の全員がけたたましく笑い声を上げました。
守助くんは完全に怯えた目を小鉄くんに向けて、言葉にならない奇声を発して国彦くん達の腕から逃れようとします。しかし小鉄くんの優秀な部下たちの腕からはどう足掻いても逃れられないようでした。
守助くんとしても、年下や女子のいる前で自らのコンプレックスの部位を遊ばれることだけは絶対に避けたかったのでしょう。しかし時既に遅し。小鉄くんの魔の手は止まることなく動き、まるでビー玉でも弾くかのようにリズミカルにデブ少年のおちんちんを弾きます。
「………ングッ!!………ダアッ!!…ン…め………ろぉッ!!」
「ハハッ!!ホレホレ、どーしたデブ?ケツ振って避けてみろよォ~」
小鉄くんはまるで新しいオモチャを発見したような子供じみた笑みを浮かべながら、その『遊び』を楽しんでおりました。今考えても年頃の少年にとってそれはどれほど残酷な行為だったことか…。その時受けた守助くんの莫大な屈辱は計り知れないものでしょう。
守助くんのおちんちんは小鉄くんの指に弾かれる度にバネのようにピョコピョコと跳ねては戻り、また揺れては元の位置へと戻ります。その度に守助くんは声変わりのしていない高い声で呻いて、太い図体をびくんびくんと痙攣させます。肉付きのいい身体をくねくねと動かせば、脂肪たっぷりのおっぱいやお腹がブルンブルンと波打ち、同時にまん丸のお尻の肉も小刻みに揺れるので、もう周囲からは笑い声が途切れることはないのです。
「ソーレソレ~踊れデブ♪みんな見てんゾ~。ヨ!!!もっとケツ振れ、ポコチン揺らせ。ア、ソーレソレ♪」
小鉄くんは歌でも唄うように言いながら、守助くんのおちんちんを弾くのを繰り返しました。守助くんは小鉄くんの指先から逃げるように、肉厚のお尻をプリプリと左右に動かして避けようとするのですが、彼の剥き出しの生尻を今度は国彦くんたちはケラケラ笑いながら平手で打つので、その反動で守助助くんは体をのけぞってしまい、情けなくもクラスメイトにおちんちんを突き出す体勢になってしまうのです。
「ほ〜れ、もいっちょいくぞ〜w」
その瞬間を待っていたかのように小鉄くんは彼のおちんちんに指を近づけて容赦なく弾きます。まるで守助くんが、小鉄くの小さな指先だけで恥ずかしい裸踊りを強要されているようにも見えなくもありませんでした。
六年生になっても家では相変わらずの守助くんでしたが、外では傲慢な態度を貫いていて、僕らの前ではそれを決して崩すことはありませんでした。一度たりとも。しかしそこにいるのはもうガキ大将の守助くんではなく、完全に股間の代物をオモチャにされている、惨めで哀れなデブ少年だったのです。

ケンカ

事件は夏になる前に起きました。
僕はその日学校が終わると、神社にダッシュで向かいました。そこには既に人だかりができていて、守助くんと同じクラスの小鉄くんを囲むようにしてみんな立っています。守助くんの側には子分の三、四年生の子達を横にして立っていて、その前にいる小鉄くんはと言うと同じクラスの一組のお調子者の国彦くんがいます。そしてもう一人は無口ではあるもののクラス一背が高く強面で知られている源太くんです。がっちりとした体型の源太くんはいかにも強そうに腕組みして守助くんを見下ろすようにして立っています。
守助くんと同じくらいチビの小鉄くんはいかにも弱そうですが、あの騒がしい国彦くんやがっちりとした体躯を持った源太くんでも決して小鉄くんには逆らいません。ある意味一組ののクラスのトラブルメーカーが神社の中央に集結したような形になっています。
「わざわざ俺に泣かされに来たのか?」
守助くんが太い腕を組んで、余裕の笑みを向けながら低い声で唸ります。小鉄くんはと言うと守助くんの威圧したような言葉に負けず涼しい顔をしていました。二人は向かい合って仁王立ちして、それを見守るかのように数人の女子も側でそわそわしている姿もありました。
「さあ、どっちが泣くんだろうな?そっちこそ女子なんて呼んじゃっていいのか?お前の泣く姿でも見せようってのかよ」
「ケッ、バッカだな。お前が泣く姿を見せに来たに決まってンだろ?」
二人とも低身長でしたが、小鉄くんは痩せているのでまるでお猿さんと子豚が向き合ってるように見えました。
「負けたら何でも言うこと聞くって約束。忘れんなよ、ブタあ」
初めて小鉄くんがブタという言葉を使って僕ら傍観者は息をのみました。守助くんにブタなんて上級生でも簡単に言えないんですもの。そしてそのあからさまな挑発にまんまと乗ってしまった守助くんの頬はみるみるうちに赤くなって
いきます。
「当たりめーだろ!!負けてぜっっってぇ土下座させてやらぁ!!」
低い声でそう叫んで最初に飛びかかったのは守助くんでした。しかし小鉄くんはするりと守助くんの巨体を避け、彼のTシャツの襟を掴んで鳩尾に向かって膝蹴りを食らわしました。守助くんは「ぐふっ」と声を漏らし女子からは歓声が上がります。狐顔の小鉄くんはそれほど女子から人気があるとも思えませんでしたが、今日の決闘では女子からもかなり期待が寄せられているようでした。
結果によっては一気に名を上げることになるかもしれません。
「…っちくしょぉお!!」
守助くんは腹を押さえながらも小鉄くんの手を解き、小鉄くんに向かって肉団子みたいな体を突進させました。結果、今度は小鉄くんに足をかけられその場あっけなく転倒します。神社の砂のズザーと乾いた音がしたかと思うと小鉄くんは間髪を入れず彼の背中に飛び乗り、彼の後頭部を殴りつけます。暫く両手で頭を押さえていた守助くんでしたが、大きな身体を捻って仰向けになりました。
そしてその巨体を起こして反撃すると思いきやーーーー。
小鉄くんは守助くんのまん丸の腹に跨がったままが悪戯っぽくにやっと笑ったのです。そして彼の両足を両手でがっちりと掴みます。
「おっしゃ、豚足ゲット!!」
予想外の小鉄くんの動きに守助くんは戸惑いながらも短い足をジタバタさせますが、巨体のせいなのかうまく身体が動かないようです。
「実はさいっしょから、コレ狙ってたんだよなぁ」
小鉄くんが舌なめずりをして、ニヤリと笑いました。
「…お、おい…た、タンマ……」
小鉄くんが何をしようとしているか、最初に気づいたのは守助くんだったようです。守助くんは地べたに両手をついて身を起こそうとしますが、掴まれた両足はずるずると小鉄くんの体の方へと引き寄せられ、背中から地面にまた倒れ込んでしまいます。
「うっしゃ~!!ミサイル攻撃準備、カマエー!!」
楽しそうに小鉄くんは言うと、片足を守助くんの股間にセットしました。もう周りのみんなも何が起きるか分かっていたと思います。
「ブタチンタマに向けて、ミサイル発射!」
小鉄くんの靴が勢いよく守助くんの股間に食い込みました、そしてそれが上下に細かく振動します。守助くんは歯を食いしばりながらブギギギグググブと、悲痛の声をあげます。
「ヒャハハハハ、おーいwどーった?気持ちエエかあ?」
もう息も上がっていない小鉄くんは完全に余裕の表情に戻っていました。それもそのはず守助くんの手足は僕らより短いため、その足を捕まれると彼は身動きが思うようにとれないようです。加えて腹筋を一回さえもできない彼がその状態で起き上がる事は非常に困難でしょう。しかも、今回は彼の苦手な電気あんまが発動しているわけですから、どんなに力を入れようとしても腹を横に捻って抵抗するくらいしかできないようでした。小鉄くんの足は完全に守助くん
の股間の上で遊んでいます。
「…グブ……やァ………め……ろってエェエエエ………」
「ほらー降参しないと、もっとやっちゃうぞー?最後までー?」
小鉄くんは意味ありげにそう言いました。どうやら彼は守助くんの弱点を知っているようでした。でもどうして。
その時の僕は守助くんが赤子のように同級生に弄ばれているという事実が依然として認識できずにいて、ただ呆然と僕や芳彦くんたちだけが知っているあの秘密を何故小鉄くんが知っているのかと、単純に考え込んでしまっていたのです。

小鉄くんは守助くんが反撃できないのが分かると、楽しそうに足の力を彼の股間の上でぴょんぴょんと弾ませて強めます。不意に守助くんは「ングぅ」とあえぎ声のような高い、なんとも情けない声を漏らしてしまって、見ていた女子、更には守助くんサイドの子分達も思わず吹き出してしまっていました。気がついた守助くんの頬はみるみると真っ赤になります。
「んお、っくしょ、はな………せ!!……ヤバイ…って……ほんと…!!」
守助くんの歯切れは徐々に悪くなり、額からは汗が噴き出しています。目や口もほとんど固く閉じ、彼なりの限界が近づいているようでした。この先で起こることは、この場にいるこの中で見たのは僕だけかもしれません。
「ンンン?モリスケちゃーん、何がヤバイんだぁ?さっさと降参しねえとさ、もーっと強いミサイルいっちゃうぞぉ~~?」
「ッグガ………ムフううう」
「おらおら。どうした~子豚ちゃん。もしかして、もう出ちゃーーー」
「…!!……わ、わか!!…ったよ!!こうさん!!…降参するって!!」
守助くんの苦しそうな声が聞こえ、やっと小鉄くんの足の動きが止まりした。誰がどう見たって小鉄くんの圧勝でした。
「さーて」
小鉄くんは満面の笑みで立ち上がってズボンの砂を払います。国彦くん、源太くんは小鉄くんと何度もハイタッチしています。守助くんは体操座りして、惨めにも地面で股間を手で抑えて体操座りしてます。小鉄くんは守助くんをコケにしたように笑いながら、子分の二人に何か小声で指示を出しました。二人は頷いてニヤニヤ笑いながら守助くんの手を引いて立ち上がらせました。二人ともいいところがあるなと感じた僕はバカだったのでしょう。
「んでさ、何でも言うこと聞くって、男同士の約束だったよな?な?」
確認するように小鉄くんは未だに平べったい鼻から息をフンガーフンガーと荒げている守助くんに問いかけます。肩で息をしている守助くんは答える余裕もないようでした。
小鉄くんは守助くんの返事も待たずに「みんなも聞いてたよなー」と周りの男女にも問いかけていました。いつもは守助くんの前で無口の彼らも不思議と今日はすんなりと首を縦に振りました。
「……だ、だからなんだってんだよ…土下座でもすりゃいいんかよ!!なんだってやってやらあ」
守助くんはやっと言葉を吐き出しながらも額の汗を拭いつつ、それから小鉄くんを鋭い目つき睨みました。その瞳は怒りで煮えたぎっているようでした。きっとこの場の誰もが彼の土下座を見たがっていたことでしょう。けれど小鉄く
んはこう言ったのです。
「ちっちっち、土下座とか全然面白くないしよお。せっかくみんないんだから、もっと楽しいことのが盛り上がりがあると思うんよ」
「楽しいって何がだよ?」
「例えばさー」
小鉄くんがにやりと笑いました。
「おめーの着てる服ぜーんぶ没収とかさ、どう?」
これにはどっと周りが笑います。きっとみんな守助くんの醜いぶよぶよの裸体を思わず想像してしまったんでしょう。女子だけが顔をしかめて黄色い声を上げています。
「はあん?みんなして馬鹿にしやがって。服?上等だよ!持ってくだけもってけよ」
守助くんは間髪を入れずにシャツを脱ぎわざと汗を擦りつけるようにしてから、
それを小鉄くんに投げつけました。Tシャツだけ身につけていた彼は、上半身裸になって脂肪まみれの腹と胸が露わになりますが本人は気にした様子はありません。
「へっ、洗濯でもして、明日学校に持ってきな馬鹿野郎」
そう言って立ち去ろうとした守助くんですが、すぐさま小鉄くんの声がかかります。
「なーにいってんだ。ズボンもだよ、ズ・ボ・ンも」
「…な!?…ば、馬鹿言うなよ!!?」
流石にこれは予想外だったのか守助くんは動揺して言葉を詰まらせました。
「別に気にすることないやろ?体育の時見てるしさ、女子だってお前のデカパンくらい知ってるぜ?」
「…こ、こんなとこで脱げるわけねーだろ!!変態!!」
「去年までパンツ一丁でヘーキで外歩き回ってたバカはどこのどいつだよ、お前だろバキャは」
意地悪な小鉄くんの言葉には妙な説得力がありました。確かに守助くんと言えば昔からパンツ一丁で町を走り回っている姿がとても有名でしたもの。近所の十人の人たちも守助くんの姿には慣れてしまっていて、逆にここ数年服を着ている姿の方が慣れないだとかなんだとか。そんな噂まで聞いたことがあります。
それでもそんな守助くんももう六年生。流石に体育でもないのにパンツ一丁は恥ずかしい年頃だったのでしょう。上半身裸の状態で五分ほど彼はズボンを下ろすのを躊躇っていました。
「……む、無理だろ…!! オ、オレ、パンツでなんて…帰れねえよ…」
「バーカ、ンなこと知っとるわ。だから、ここでパンいちになったら許してやるつってンの。一瞬だけ俺にズボン渡せば許してやっよ」
「…で、でもさぁ…」
いつになく守助くんは弱気でした。もしかすると去年だったらパンツ一丁くらい平気だったかもしれません。視線を女子の方へと泳がせているところから見ると、やはり女子の目を意識しているのが一番の理由でしょう。なんせ今日は小鉄くんを土下座を見せつけるために自ら女子生徒を集めたもののようでしたから。それがまさか自分のパンツ姿を見せるなんて…考えてもいなかったと思います。
「んまいいけどっさー。おめえ約束破るんなら男失格だでよ~んでさ、さっきの続きもう一回こっから始めたっていいんやからなあ」
小鉄くんが電気あんまのように、足を小刻みに動かす素振りを見せて周りを笑わせました。
「わ…わかったよ!!脱げばいいだろ!!…ちくしょおッ!!」
守助くんはほぼ自棄になったかのように叫んで、勢いよく半ズボンを下げました。そして投げるようにそれを地面にたたき付けます。今度こそ本当の本当にパンツ一丁。白ブリーフ一丁です。完全に女子からも味方の下級生からも失笑の声上がって
る中、小鉄くんは汚いものでも拾うかのように半ズボンとシャツを二本指でつまんで拾い上げました。
「これで満足か、変態!!さっさと返せよ!!」
鼻息をまた荒くしながら守助くんは小鉄くんを睨んで手を差しのばします。しかし小鉄くんはそれを足下に落とすと靴底でぐしゃりと踏みつけました。守助くんの表情が瞬時に強ばります。
「………おいッ!!」
「バーカ。そのまま帰るに決まってるだろ」
当然だろ?とでも言うように小鉄くんは微笑みました。不気味な笑顔で。
「…てんめえ………最初ッから…!!」
飛びかかろうとする守助くんを両サイドから国彦くん源太くんが押さえます。
「いんやまだだね。まだ終わりじゃないって」
その時、その意味を僕らはまだ気づいていなかったのでした。小鉄くんの恐ろしい本当の狙いに。
「そのきたねーパンツも脱ぐに決まってんじゃん、んな?」
この時、その場にいる全員の空気が固まったのを覚えています。つられて笑ってしまった数人の子もいましたが、もちろんジョークだと思ったのでしょう。けれど小鉄くんは大真面目で、そして楽しそうで史た。まるで新しいおもちゃを見つけた子供みたいな笑みを浮かべているのです。
「…な、な、ちょ…なんだってそんな約束………」
「んだから、最初から言ってんやん、俺。着てる物ぜーんぶ没収って。そのパンツも没収対象なんだよなぁ?ンだからさ~、お前は今日はフルチンランドセルで家まで歩いて帰るんだよ!!アヒャヒャヒャ!!」
周囲で緊張感が高鳴る中、なぜかぼくはドキドキしていました。

兄からの暴力

まずは僕の自己紹介から書きます。
小学生の時に両親が離婚、母親に引き取られるも僅か数年で母親が死去。
酒飲みのぐうたらな父親の再婚相手は二人の子連れの母親。けれどその母は意外にも父からは想像もできないようなまともな人でした。若く美人の取り繕うようなタイプではなく、きちんと躾のできる強くて明るい女性です。
当時の僕の年齢は四、五歳程度だったので母との出会いの記憶はほとんどありません。ただ記憶に強いことは、母に連れられて来た一人の少年がとてつもなく怖かったことです。
名は守助と言いました。背は僕よりも低いですが、僕より一ヶ月早生まれのため、同じ学年でも兄と言う認識になると、その頃から親に言い聞かせられておりました。
しかし彼の気性は荒く、性格は酷く乱暴で気に入らないことがあるとすかさず暴力を振るいました。低身長の割に彼はコロコロと太った体型をしておりましたので、幼い僕から見ればそれだけでも近寄りがたかったかもしれません。
唯一救いだったことは、守助くんと一緒に家にやってきた芳彦くんと言う名の少年でした。僕よりも一つ下の小柄な少年は、生まれて初めてできる僕の新しい弟でした。もちろんその子と僕は血が繋がっていませんが、僕と同じように守助くんの暴力を嫌っていたこともあり、僕らは意気投合して毎日遊ぶようになったのです。
芳彦くんは守助くんと真逆の体型で、僕に似た華奢な体格をしていました。
醤油顔で、目鼻整った綺麗な顔をしていたと思います。そして守助くんは前述の通りのまるんまるんした子でした。ただ太っていると聞くと不細工と思われがちですが、守助くんも芳彦くんと同じ血を引いてるだけあって、色白で整った顔立ちをしています。寧ろ痩せると芳彦くんとは異なった彫りの浅い美男子になってたいたんではないでしょうか。
残念ながらその顔は脂肪ぱんぱんに膨らんでしまっていて、目も普段開いてるのか閉じてるのか分からない程ではありましたが…ただ良くも悪くも一般的なデブっ子の典型的な丸顔をしていたと思います。子ども三人でいるときは、だいたいその守助くんの我が儘に付き合わされたり、暴力振るわれたりすることは日常茶飯事。幼稚園だとまだ可愛いもんですけど、小学生になると力も付いてくるので余計に酷になる。義理の母は血の繋がりのない僕に優しく接してくれる人だったため、家庭環境で僕がハブられることはなかったですが、守助くんからの暴力は小学校に年齢が上がるにつれて酷くなる一方でした。
僕は毎日のように泣かされていて母にあやされておりましたが、子育てに興味がない父は目もくれません。「ケンカに負ける方が悪い」と、戯れ言を言って泣いている僕の頭を新聞紙で叩いて高々と笑うくらいです。

ちなみに学校はと言うととびきり田舎の戦後からあるような古い校舎だったのですが、その割には子どもが多く。珍しく二クラスまでありました。毎年クラス替えが行われますが、だいたい僕は守助くんとは同じクラスにさせられておりました。先生なりの配慮だったんでしょうけど、僕としては良い迷惑でしたね。
ボス気取りの守助くんはご想像の通り学校では友達はできず、常に近所の年少組の子どもを集めて親分気取りをしていました。僕と芳彦くんは常に強制参加だったので、放課後もお休みの日も全く関係ありません。空き地に集められて、ジャイアン面の守助くんの命令に渋々付き合うだけの日常です。まるで意思のない人形みたいなものです。楽しくなんてありません。守助くんのやりたいことをやる。やらなければ殴られる。それが毎日だったんです

そんな守助くんの弱点は母親でした。僕と芳彦くんだって母親は怖かったですが、守助くんが普段町で行う悪戯のレベルは桁が違います。近所で有名な雷親父の家に爆竹を投げ込んだり、ミミズやダンゴムシをポケットに大量に忍ばせて登校すれば、担任の引き出しに平気で入れます。ドアを開くと黒板消しが落ちる?そんなカワイイレベルではないのです。彼は。
子分に危ない命令を出しては怪我をさせたことだって幾度とあります。その子の両親が家に怒鳴り込んでくると母は毎回頭を深々と下げて、押し入れに隠れている守助くんを引っ張り出すと彼のズボンとパンツを下ろし、勢いよく尻を叩き始めます。
守助くんのでっぷりとしたお尻を見るのは、幼い僕にとっては不快でしかありませんでしたが、普段王様気取りの守助くんがお尻を叩かれているのを見るのは密かに僕と芳彦くんの楽しみの時間でした。守助くんは母の膝の上でお尻を突き出しているのが分かると、僕と芳彦くんはさりげなく守助くんの表情が見える位置に移動し、彼の半べそをかいた表情を見てはお互いに目配せして小声で笑い合います。その瞬間だけ出来る、細やかな復讐だったかと思います。そんなニヤニヤ顔の僕らの様子に守助くんは気がつくと、決まって低い声で吠えるように威嚇してくるのですが、すぐに母親の厳しい平手を尻に受け、結局は顔を涙と鼻水でぐちゃぐちゃに濡らしてしまうのです。
他にも守助くんが苦手なものとして「お化け」があげられます。ただ子どもの僕らはだいたいお化けが怖いですし守助くんに限ったお話ではないんですが…。ただ彼の場合は成長してもその怖がり用はすごかったと思います。いくつかの面白おかしなエピソードがあるのでまた機会があればそれもお話ししていきたいです。

もう一つの弱点はと言うと四年生くらいで学校で流行っていた遊びです。浣腸や電気あんまの類いの下品な遊びは、賑やかなタイプの男同士がふざけてやっていたものの、乱暴者の守助くんを狙う子なんてまずいませんでした。と言うより彼の大尻を狙う物好きなんて現れることがまずあり得えなかったかもしれません。
だから守助くんはいつもそれをやる側で、男にも、そしてスカートの上からならば女子にやっていたので驚き桃の木です。守助くんは子分を集めて一人ずつ何秒耐えられるかって遊びをよくしてましたが、一人守助くんに嫌われている司くんだけ毎日長時間やられて可哀想でした。よく泣いてましたしからね。ただそんなある時、偶然の事故によって僕は守助くんの弱点を発見してしまうのです。
僕はその日、芳彦くんと彼の同学年の司くんといつもの空き地で遊んでおりました。そこへ守助くんがやってきたのです。守助くんのシルエットは遠くからでもすぐ分かるので、警戒していれば鉢合わせを避けることもできますが、その時は既に遅し。彼は空き地まで足を踏み入れていたため、完全に僕たちは籠の中の鳥状態でした。
守助くんは面白いゲームをしようといって、一人ずつ電気あんまを順番に仕掛けると言い始めました。逆らうことなどできないため、大人しく足を持たれます。彼の泥の付いた汚れた靴がズボン越しに股間に食い込み、僕らは悶えます。僕と芳彦くんが順に仕掛けられ、その様子を守助くんは散々馬鹿にした後に、最後に司くんに向き直りました。
「司、おめえ今日はスペシャルコースだかんなあ」
「…なに…それ」
司くんが怯えているのは、その声だけで分かりました。
「なにそれじゃねえよ!!おまえんちの鬼ババが昨日家に来たんだけどな!?おめえがどうせチクったんだろ?!」
「ち、ちがう…だって…」
確かに守助くんの尻叩きの様子を僕と芳彦くんは楽しんでいたのを思い出します。
「いいから、足貸せやい」
守助くんはウッシッシと下品に笑うと司くんの足を掴んで、彼の股間辺りにいつもより力を込めて半ば蹴り上げるように靴をめり込ませます。司くんは砂の上でのけぞりながら、今にも泣き出しそうな顔で呻き、悶えました。僕と芳彦くんはどうすることもできずオロオロとしていると、そこへ富田くんと言う、僕の隣の家に住む一つ上の学年の少年がやってきました。五年生の割に背が高く、女子からも人気があると有名な子です。
「お前ナニしとんよ」
「電気あんまで何秒ガマンできるかやってんねん。おもろいやろ」
守助くんはすました顔で言って笑います。
「司くん泣いとるやん、自分がされたことあんのか」
「ハ~?俺はボスなんやし、される必要ないんやけど?」
守助くんが惚けてふざけた口調で言います。守助くんの暴力は町中知らない人がいないくらい有名でしたし、富田くんもそれを分かって割り込んできたのでしょう。しかし次の瞬間富田くんは守助くんの両足を逆に掴んで、司くんを解放し、守助くんの股間に足をぎゅうぎゅうに押し込んだんです。油断していた守助くんは「ンア゛!!」と声を上げましたが、すぐに猛獣のような目つきで富田くんを睨み付けました。しかし富田くんは怯みません。
「噂で聞いとったけど、最近特にやりたい放題らしいなあ。母ちゃんにケツ叩きされ足りねえってか?」
「てめえ……ぶっ殺す!!」
隣の家の富田くんはほぼ家族で付き合いのため、家の情報なんて筒抜けなのです。
守助くんは勢いよく足をばたつかせますが、富田くんが両手でしっかりと固定しているため身動きはもう取れません。それから富田くんは守助くんの股間に乗せている足を激しく振動させたんです。守助くんが腹の底から張り裂けそうな声を上げました。
「お前のちっこい金玉潰しちゃるから」
「んうア゛ア゛!!………ンう゛ぁ……やめろてぇえ!!…はなせてえ!!」
「うへえ、泣きそうぢゃんこのデヴぅ」
富田くんは地べたで藻掻き苦しむ守助くんの股間を踏みにじりながらも、僕らに満面の笑顔を向けました。守助くんがやられているのを見るのは初めてでしたが、まさかあの守助くんが泣くとも思っていなかった僕らはただ守助くんの怒りの矛先がこちらにこないかだけの心配をしていました。しかし次の瞬間驚くべきことが起こったのです。守助くんが急に声を発しなくなくなり、彼が我武者羅にバタつかせていた手足の動きがピタリと止まりました。見れば守助くんは顔をくしゃくしゃにして啜り泣いています。
え?あの守助くんが?電気あんまで?と僕は目を疑うような光景に絶句しました。そしてその瞬間、僕の目に次に留まったのは更に信じられないものでした。
守助くんの大きなお尻の下に、水溜まりが広がっていたのです。しかも進行形で。じわりじわりと面積を広げていきます。
「ウェエエ!!ったねぇえ!!エンガッチョ!!このデブ漏らしてんじゃん!!」
富田くんは脇に抱えていた守助くんの足を地に下ろし、腹を抱えて笑います。
守助くんは濡れた股間を覆い隠すこともできず、寝転がった状態で今度は、ワンワンと大泣きを始めます。大の字で股間を濡らして泣いている守助くんは気の毒と言うよりむしろおかしくて、僕ら三人は顔を見合わせては、含み笑いをこぼしておりました。

あの場には僕らしかいなかったことや、富田くんは意外と人が良かったことも重なって、守助くんのお漏らしについては、次の日学校で広まっていませんでした。広まっていたとしてもそれくらいで守助くんの地位が揺らぐことはなかったかもしれません。ただその秘密を知っている僕らは度々その話で盛り上がったりしていました。
告白すると守助くんに家でプロレス技をかけられたときに、一度だけ電気あんまで反撃しようと思いついたことがあるんです。しかし、彼の両足を掴んだ瞬間、守助くんは僕の意図に気づいたのか目を大きく見開き、激しく激高してきました。結局泣くまで蹴られてしまったので、それ以降は彼に反撃しようとなんて思わなくなったのです。
そんな守助くんが窮地に追い込まれることになったのは僕と彼が六年生になった頃の事です。